海外在住者が知っておきたい親の見守りと在宅介護

海外在住という立場にいると、日本に暮らす親の様子が見えにくく、「何かあってもすぐに駆けつけられない」という不安を抱えがちです。特に高齢になると、転倒や体調の急変、認知症の初期症状など、日常の小さな変化が大きな問題につながることもあります。
だからこそ、物理的な距離を理由に見守りを諦めるのではなく、日本で使える制度やサービスを知っておくことが重要です。海外在住者でも、日本で暮らす親の生活を遠隔で支える方法は確実に増えています。本記事では、遠距離だからこそ知っておきたい「見守り」という視点から、親の介護や認知症への備えを考えていきます。
※本記事は、海外在住者の老後・介護をサポートする一般社団法人Hearth(ハース)代表・よこばたけあやみ氏が、日刊サンで連載中のコラムに基づき、再構成したものです。
日本で暮らす親の「見守り」は大きな課題のひとつ
日本では、多くの高齢の親が「できるだけ自宅で過ごしたい」と願っています。
厚生労働省の「介護保険事業状況報告」によると、2025年3月時点で要介護認定を受けている65歳以上の方は、約720.7万人(約19.7%)。このうち、居宅(在宅)サービスを受けている方は、約432.6万人とされています。
要介護認定を受けている方の約60%が、在宅支援を受けているという状況です。

一方で、在宅介護は転倒や急変などのリスクがあるため、海外で暮らす家族にとっては、日本にいる親の介護や見守りは大きな悩みのひとつです。特に認知症や身体能力の低下が進む中で、海外からどのように安全・安心を確保できるかは非常に重要な課題といえます。
参考:厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)」
離れて暮らす海外在住の家族にとって、安心できる見守り体制を構築することは不可欠です。見守り体制の構築には、公的なサービスだけでなく、民間の見守りサービスを活用することがカギになります。
自治体や民間で提供されている「見守りサービス」を把握し、賢く活用するのがポイントです。日本で暮らす親を見守る方法としては、主に以下の5つがあります。

それぞれのサービスは目的が異なるため、親の状況に応じて上手く組み合わせながら活用しましょう。
親と離れて暮らしている場合、SNSやLINE、ビデオ通話などのツールを「見守り手段」として活用することも有効です。LINEやビデオ通話で定期的に会話をすることで、声の張りや表情、反応の速さなど、ちょっとした変化に気づきやすくなります。
こうした小さな変化への気づきが、認知症の早期発見につながるケースも少なくありません。公益社団法人「認知症の人と家族の会」がまとめた「認知症早期発見のめやす」は、以下の通りです。日常のやり取りが「認知症の早期発見」につながることがよく分かります。
また、高齢者にとっても「誰かとつながっている」という安心感は大きく、孤立感の軽減や気持ちの安定にも役立ちます。操作が不安な場合でも、日本では高齢者向けのスマホ教室やサポート体制が整ってきているので便利です。海外在住の子ども世代が少し背中を押すだけで、親の生活の質が大きく変わることもあるでしょう。
家族だけで抱え込まず、見守りサービスの活用を
24時間365日、家族だけで高齢の親をずっと見守り続けるのは、決して容易ではありません。特に、海外から遠距離で日本に暮らす親の在宅介護を支えていると、限界を感じてしまうケースもあるでしょう。
日本では自治体による見守りサービスも増えつつあるため、専門家や地域の支援をうまく取り入れることが、在宅介護の負担を軽減するカギになります。
日本で暮らす親の遠距離介護を続けるためには、ケアマネジャーや地域包括支援センター、民間サービスのほか、各分野の専門家と連携することが重要です。専門家と相談しながら、高齢の親の状況に合ったより良い仕組みを整えていきましょう。
海外から日本で暮らす親の在宅介護を続けるために知っておきたい3つのコツは、以下の通りです。

海外在住の方が日本の介護や認知症の対応で悩むのは自然なことです。個々のケースで状況や必要なサービスは異なるため、早めに専門家へ相談し「見守り体制」や「介護プラン」を一緒に考えることが安心につながります。
もしこの記事を読んで「うちの場合はどうしたら?」と感じた方は、ぜひ「サロンドハースの個別相談」をご利用ください。親の認知症や遠距離介護のお悩みにプロの視点から寄り添い、解決策をご提案します。
※この記事のオリジナル版は、日刊サン連載『日本の介護最新情報』に掲載されました。
※執筆:海外暮らしINFO/監修:一般社団法人Hearth(ハース)代表 よこばたけあやみ氏









