「老後は日本に帰りたい」海外移住者が本帰国すべきか悩む理由と課題

海外で長年暮らしていても「老後は日本で暮らしたい」と考える人は少なくありません。しかし、実際に本帰国するには、住居の確保や医療・介護の手続き、年金・税金の問題など、多くの課題が伴います。
この記事では、海外在住者が老後の帰国を検討する際に直面する悩みと、帰国を成功させるための対策をわかりやすく解説。長年海外で暮らした人が「日本に帰ってよかった」と思えるためのヒントをまとめました。
- 老後に帰国を望む主な理由は、医療・介護制度や日本語生活への安心感
- 住居確保や年金・税金の手続きなど、帰国には多くの課題がある
- 本帰国を後悔しないためには、老後資金の把握や生活設計の検討が重要
- 海外と日本の二拠点生活など、完全帰国以外の選択肢もある
- 事前準備と専門家への相談が、後悔しない帰国の鍵となる
※ 本記事は、海外在住者が老後に日本へ本帰国する際の一般的な情報をまとめたものです。掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、各自治体や関係機関での最新の制度・手続き内容を保証するものではありません。実際の手続きや条件については、厚生労働省・外務省・各市区町村の公式サイトなどでご確認ください。
海外移住者が「老後に日本に帰りたい」と感じる理由

海外での生活が長くなるにつれ、老後は慣れ親しんだ日本で過ごしたいと考える人は少なくありません。医療や介護への不安、言葉の壁、孤独感など、海外在住者が帰国を考える背景にはさまざまな理由があります。
海外移住者が「老後に日本に帰りたい」と感じる理由
- 日本の公的医療・介護体制への安心感
- 日本語での生活や人間関係の築きやすさ
- 海外生活での孤独や将来への不安
日本の公的医療・介護体制への安心感
海外在住者が老後に本帰国を考える大きな理由のひとつが、日本の充実した医療・介護制度です。日本には国民皆保険制度があり、高額療養費制度によって医療費の自己負担が抑えられる仕組みが整っています。介護保険制度により、要介護状態になっても適切なサービスを比較的低コストで受けられることも安心材料です。
一方で、海外では高額な医療費や言葉の壁などにより、治療を受けることへの不安を抱える人は多くいます。持病の治療や介護が必要になった際に、母国語で安心して医療・介護サービスを受けられることを望み、帰国を検討する人が多いといえるでしょう。
日本語での生活や人間関係の築きやすさ
日本語での生活や人間関係の築きやすさを求めて、本帰国を検討する人もいます。海外生活では、どれだけ現地の言語を習得しても、微妙なニュアンスや文化の違いにストレスを感じることはあるものです。特に高齢になると新しい言語の習得や維持が難しくなり、母国語でスムーズに意思疎通したいと考える人も多いでしょう。
日本に帰国すれば、買い物、病院、役所の手続きなど、生活全般を日本語で行えるため、精神的な負担が軽減されます。同世代との会話や地域活動を通じて、自然と人間関係を築きやすく「やっぱり日本が落ち着く」と感じる人も少なくありません。
海外生活での孤独や将来への不安
海外での生活は自由で刺激的な一方、老後になると孤独を感じやすくなることも理由に挙げられます。子どもが現地で独立したり、配偶者を亡くしたりして一人暮らしになることも。現地に頼れる友人や知人が少ない場合は、将来への不安が募ってしまうものです。
日本には兄弟姉妹や親戚、学生時代の友人が残っていることも多く、万が一の時に頼れる存在がいるという安心感は、帰国を考える大きな動機となります。将来への不安から老後は日本で過ごしたいという願望が強くなりやすいといえるでしょう。
在米邦人・日系人の「高齢者問題に対する意識調査」報告書によると、米国に住む50歳以上の日本人に「将来的に日本に帰国する意思があるか」と質問したときの回答は以下のとおりです。
- 日本に帰国する意思がある:15.9%
- 日本に帰国する意思がない:28.5%
- わからない、決めていない:54.2%
- 無回答、その他:1.4%
調査の結果、帰国を考えている人と、迷っている人を合わせた割合は約70%。ミドル~シニア世代の多くの人が何らかの理由により、将来的に日本への帰国を視野に入れていることがわかります。
参考:JAA法人・日系人高齢者問題協議会「在米邦人・日系人の高齢者問題に対する意識調査報告書(p55)」
老後に日本へ帰国する際の主な課題

「老後は日本に帰りたい」と思っても、実際に帰国を実現するにはさまざまな壁があります。住居の確保から医療・介護の手続き、老後資金の準備など、現実的な課題を理解しておくことが重要です。
老後に日本へ帰国する際の主な課題
- 住居の確保
- 医療・介護サービスを受けるための手続き
- 老後資金の準備
- 社会的つながりの再構築
- 本帰国に関する手続き(外国籍取得者の場合)
1.住居の確保
長年海外で暮らしていると日本に住居の基盤がないケースも多く、帰国後の住まいの確保は大きな課題のひとつです。特に高齢であることや海外在住という事情が、賃貸契約や施設入居時のハードルとなることがあります。
賃貸契約
高齢者が日本で新たに賃貸物件を契約する際には、「年齢」や「保証人の有無」がネックになる場合があります。特に海外生活が長く「国内に保証人を立てられない」「日本国内での収入証明が提出できない」といった事情があると、契約のハードルは高くなるでしょう。
最近では、高齢者向け賃貸や見守りサービス付き住宅なども増えていますが、エリアや予算によって選択肢が限られます。帰国前に家族や不動産会社と連携して住まい探しを進め、受け入れ可能な物件を確保しておくことが重要です。
老人ホーム
高齢者向け施設への入居を検討する場合も、いくつかの条件をクリアする必要があります。「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、比較的自立した高齢者向けで、連帯保証人(身元引受人)が必要です。空き状況にもよるため、すぐに入居できるとは限りません。
一方、介護が必要な場合は「介護付き有料老人ホーム」や「軽費老人ホーム(ケアハウス)」などの利用が選択肢に入ります。ただし、要介護認定が必要なため、帰国後すぐの入居は難しいのが実情です。老人ホームへの入居を検討する場合は、自治体の窓口や地域包括支援センター、民間の介護施設紹介サイトなどに相談することをおすすめします。
参考:厚生労働省「地域包括ケアシステムにおける高齢者向け住まいについて」
2.医療・介護サービスを受けるための手続き
日本の医療・介護制度を利用するには、住民票の登録や各種保険への加入など、複数の手続きが必要です。帰国後すぐにサービスを受けられるわけではないので注意しましょう。
医療制度
日本で医療保険を利用するには、まず市区町村に住民登録し、国民健康保険または後期高齢者医療制度(75歳以上)に加入する必要があります。医療機関を受診する際は、マイナ保険証(または資格確認証)が必要なため、住民登録と同時に申請を済ませておくと安心です。
海外で治療中の持病がある場合、日本の医療機関で治療を継続するための紹介状や、診療情報の翻訳が必要になるケースもあります。長期間日本を離れていた場合、かかりつけ医を新たに見つける必要があるため、地域の医療機関について情報収集することも重要です。
介護保険・サービス
介護保険サービスを利用するには、市区町村の窓口で要介護認定の申請を行う必要があります。申請から認定までには1か月ほどかかるため、帰国直後はすぐ介護サービスを受けられません。認定後、ケアマネージャーがケアプランを作成した後にサービスを利用できます。
できるだけ早く介護サービスを受けたい場合は、事前に自治体の窓口へ相談し、必要書類を確認しておくとスムーズです。将来的に必要となる介護サービスの内容や、地域での提供状況も調べておくことが望ましいでしょう。
参考:
日本医師会「日本の医療保険制度の仕組み」
厚生労働省「介護保険制度について」
3.老後資金の準備
老後に日本で生活するには、年金・税金などの制度を把握し、貯蓄や海外資産をどのように管理するかも検討する必要があります。計画的に準備することが安心した老後につながるでしょう。
年金
日本の年金制度では、国民年金の受給資格を得るために原則10年以上の加入期間が必要です。海外在住中に国民年金に任意加入していなかった場合、受給額が減額されたり、受給資格を満たせなかったりする可能性があります。
ただし、海外での滞在期間は合算対象となるため、加入期間と合わせて10年となるか確認が必要です。また、社会保障協定国(米国、英国、ドイツ、フランスなど)の年金加入期間は、日本の年金加入期間として通算できる場合があります。
帰国後に年金を得るためには受給資格を満たしているか確認し、必要に応じて海外での加入証明書類を準備しておくとスムーズでしょう。受給できる年金額をあらかじめ試算し、不足分は貯蓄や資産運用で補う計画を立てることが重要です。

税金
日本に帰国すると、再び日本の「居住者」として課税の対象になります。主な税金は、以下のとおりです。
- 住民税:前年所得に基づき翌年課税
- 所得税:年金や資産運用益などの所得に対して課税
- 固定資産税:不動産を所有している場合に課税
帰国前に「どの所得が課税対象となるのか」「どのような控除が適用できるのか」を確認しておくことが重要です。想定外の税負担が発生しないよう、老後資金の計画に税金も含めて考慮しましょう。
海外資金の取り扱い
海外に保有している銀行口座や投資口座、不動産などの資産を、帰国後どのように管理・活用するかも重要な課題です。海外の銀行口座は、日本に居住者登録すると維持が難しくなり、口座の閉鎖を求められることもあります。日本に資金移動する場合は、為替レートや送金手数料、送金上限などを確認し、複数回に分けて段階的に行うのが望ましいでしょう。
海外で得た所得や資産運用益は、日本との租税条約によって二重課税を回避できる場合がありますが、一般的には確定申告が必要です。年末時点での海外資産の合計額が5,000万円を超えると「国外財産調書制度」により税務署への申告義務も発生します。
海外資産の管理や資金移動は税務リスクがあり、手続きも複雑です。ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談し、最適な資産運用と管理計画を立てることをおすすめします。
参考:国税庁「居住者と非居住者の区分」「国外財産調書の提出義務」
4.社会的つながりの再構築
長く海外で生活していると、日本での人間関係が薄れている場合があります。高齢になってから新たに交友関係を作るのも容易ではありません。しかし、帰国後はできる限り、地域コミュニティへの参加や同世代の交流を通じて、新たなつながりを築くことが大切です。
地域によっては、自治体主催のサークルや高齢者支援センターなどが充実しています。同じように海外生活経験を持つ帰国者のコミュニティや、地域の国際交流団体なども、共通の話題を持つ仲間と出会える場となるでしょう。孤立を防ぐためには、自分から積極的に地域とのつながりを求める姿勢が重要です。
5.本帰国に関する手続き(外国籍取得者の場合)
海外移住後に外国籍を取得した人が、日本に帰国して長期滞在または永住を希望する場合、特別な手続きが必要です。在留資格の取得や再帰化申請について説明します。
在留資格の取得
外国籍を取得して日本国籍を喪失した人が日本に長期滞在するには、在留資格の取得が必要です。日本人の配偶者や子どもとして「日本人の配偶者等」の資格を得るか「定住者」「永住者」などの資格を申請しなければなりません。
在留資格の申請には、滞在目的や経済的基盤を証明する書類の提出が求められます。書類や手続きの準備は難しいケースも多いため、専門家のアドバイスを受けながら準備するのがおすすめです。
日本人の配偶者や特別養子、日本人の子として出生した者に与えられる在留資格のこと。「日本人の配偶者等」の資格があれば、日本での滞在や就労がほぼ制限なく認められます。申請には「戸籍謄本」や「結婚もしくは出生証明書」「経済的安定性を証明できる書類」などの提出が必要です。
日本国籍を喪失して
外国籍を取得した後に日本国籍へ戻りたい場合、再帰化申請が必要です。通常の帰化申請と同様に法務局で行われ、居住年数や生活基盤、経済状況などを総合的に審査されます。帰化の審査には通常6か月から1年以上かかるため、早めに準備を始めることが重要です。
ただし、国籍法第8条により、日本に住所を有する元日本人の場合、通常の外国人よりも要件が緩和される可能性があります。帰化が認められると、元の外国籍は離脱しなければならないため、外国籍喪失の影響(海外資産の管理、年金受給権など)も慎重に検討しましょう。
外国の永住権を持つ人が日本へ長期帰国する際は、永住権を維持するための要件に注意が必要です。一定期間以上、母国を離れると永住権が失効するリスクがあります。
例えば米国では、1年以上米国外に滞在予定なら「再入国許可」が必要です。将来的に再び海外に戻る可能性がある場合、帰国前に当該国の移民局や専門家に維持要件を確認し、必要な手続きを済ませておきましょう。
参考:
出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』」
e-GOV「国籍法 第八条」法務省「国籍Q&A Q9」
在日米国大使館と領事館「永住資格の維持」
老後の帰国を後悔しないために検討すべき5つのこと

老後に本帰国して後悔しないためには、生活面・経済面・心理面の準備が欠かせません。本帰国を決断する前に、じっくり検討したい5つのポイントを紹介します。
老後の帰国を後悔しないために検討すべき5つのこと
- 自身や家族の価値観・ライフスタイル
- 日本と海外の介護・医療制度
- 帰国後の生活設計
- 日本とのデュアルライフ(二拠点生活)
- 現地生活と日本での生活の違い
1.自身や家族の価値観・ライフスタイル
まず大切なのは「なぜ帰国したいのか」を明確にすることです。人によって理想とする老後の過ごし方が異なります。「日本で安心して暮らしたい」「海外に根を下ろしたい」など、価値観は人それぞれです。
特に配偶者が外国籍の場合や、子どもが海外に定住している場合、家族全体のライフスタイルや、帰国による精神的な影響も考慮する必要があります。夫婦・子どもと話し合い、どこでどんな暮らしを望むのか、現実的な選択肢を整理することが後悔を防ぐ第一歩です。
2.日本と海外の介護・医療制度
帰国を決める前に、現在住んでいる国と日本の医療・介護制度を比較しましょう。日本は国民皆保険制度と介護保険制度が整備され、自己負担が比較的少ない点が大きな魅力です。しかし、介護職の人材不足や施設待機の問題があり、必ずしも日本なら安心とは限りません。
一方、海外では保険料が高く、介護サービスが限られる国もある反面、一部の欧州諸国では在宅医療やホスピスケアが充実しています。北米では、最先端の医療技術や治療法を受けられる可能性もあるでしょう。現地での医療・介護環境と日本の制度を比較し、自分の健康状態や経済状況を踏まえて冷静に検討することが重要です。
3.帰国後の生活設計
帰国後に日本でどの程度の資金が必要なのか、具体的に試算することも欠かせません。食費や住居費、光熱費などの生活費だけでなく、医療・介護費、税金なども含めて考える必要があります。
総務省の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の収入と支出の実態は以下の通りです。
| 家計収支 | 実収入 (年金・医療給付など) | 非消費支出 (税金・保険料など) | 可処分所得 (実収入-非消費支出) | 消費支出 (生活費) | 差額/不足分 (可処分所得-消費支出) |
| 65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 252,818円 | 30,356円 | 222,462円 | 256,521円 | -34,059円 |
| 65歳以上の単身無職世帯 | 134,116円 | 12,647円 | 121,469円 | 149,286円 | -27,817円 |
高齢夫婦無職世帯の平均的な月間生活費は約25万円前後、単身世帯の場合は約15万円前後ですが、住む地域や生活スタイルによって大きく変動します。年金収入だけでは生活が難しいケースが多いため、不足分をどのように補うのか、貯蓄や資産をどのように取り崩していくのかなど、収支計画を立てることが必須です。
帰国後の生活で経済的に苦しむことがないよう、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、現実的な資金計画を立てることをおすすめします。
参考:総務省「家計調査報告(家計収支編)2024年」
4.日本とのデュアルライフ(二拠点生活)
「老後は日本に帰りたい」と悩む人にとっては「完全帰国」だけが選択肢ではありません。最近では、日本と海外の両方に生活拠点を持つ「デュアルライフ(二拠点生活)」を選ぶ人も増えています。一定期間だけ日本に滞在し、医療・介護の備えをしながら、普段は海外で自由に暮らすというスタイルです。
老後に日本と海外でデュアルライフを送るメリット・デメリットを以下にまとめます。
- 自分の健康状態に合わせて、柔軟に生活場所を変えられる
- 気候や季節に合わせて移動し、より快適な場所で過ごせる
- 海外で長年培った友人関係や、慣れ親しんだ生活環境を維持できる
- 日本にいる家族や海外の子や孫と交流でき、家族関係を保ちやすい
- 物価や資産の状況に応じて滞在先を調整し、経済的に柔軟な対応が可能
- 二拠点分の住居費用・移動による交通費など、経済的負担が大きい
- 海外の永住権保持者は、資格維持のための制約(滞在日数など)がある
- 海外と日本での医療・介護サービスの連携や緊急対応が難しくなる
- 二拠点の税金、保険、年金などの制度管理や手続きが複雑になりやすい
- 移動による体力的・精神的なストレスが増える可能性がある
海外と日本でデュアル生活を送ることのメリットとデメリットを把握し、よく考えて決断する必要があります。健康状態が許す限り二拠点生活を続け、介護が必要になったら日本に完全帰国するという段階的な移行もひとつの選択肢です。
5.現地生活と日本での生活の違い
長く海外で暮らしていると、日本の生活リズムや社会的ルールに戸惑うことがあります。帰国後に感じる戸惑いは「逆カルチャーショック」と呼ばれ、日本の生活に再び適応するまで時間がかかる人も少なくありません。
たとえば、日本の細かいルールやマナー、行政手続きの複雑さ、人付き合いの距離感、地域社会への参加意識など、海外との文化差を感じる場面も多いでしょう。帰国後にストレスを感じないためには、本帰国前に短期滞在を繰り返すなど、ギャップを少しでも埋める準備をしておくことが大切です。
「日本に帰国してよかった」を実現するための対策

老後の帰国を後悔しないためには、計画的な準備が欠かせません。帰国後の生活をスムーズに始め、充実した老後を送るための実践的な対策を紹介します。
「日本に帰国してよかった」を実現するための対策
- 帰国後の準備・手続きを事前に済ませておく
- シニア世代のための相談先を調べておく
- 行政に関わる専門家に相談する
- 海外での経験を前向きに活かす
帰国後の準備・手続きを事前に済ませておく
帰国後の生活を円滑に進めるためには、可能な限り事前に準備を整えておくことが重要です。特に、住まいの確保や国民健康保険の再加入、年金の受給手続きは、帰国直後の生活基盤を整える上で欠かせません。
帰国後に手続きが集中すると、役所や銀行での待ち時間が長くなる場合もあるため、オンラインで事前準備を進めるとスムーズです。チェックリストを作成し計画的に準備を進めることで、帰国直後の混乱を最小限に抑えられるでしょう。
シニア世代のための相談先を調べておく
帰国後に不安や疑問が生じたとき、相談できる窓口を知っておくと安心です。各自治体には「地域包括支援センター」や「シニアサポート窓口」があり、介護・医療・生活支援などを相談できます。「社会福祉協議会」でも、日常生活や福祉サービスの相談が可能です。
海外からの帰国者特有の悩みについては、「The Village」のような海外在住者の帰国支援を行うNPOが役立つ場合もあります。高齢者向けの法律相談、消費生活相談、医療相談など、分野別の専門相談窓口も調べておくとよいでしょう。
参考:
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
NPO法人 The Village
行政に関わる専門家に相談する
帰国に関する複雑な手続きは、専門家のサポートを受けるとスムーズに進められます。年金・税金・在留資格など、自力で調べて対応するのは限界があり、誤った申請をしてしまうケースもあるでしょう。専門家に相談すれば、必要な書類や手続きの流れを的確に把握できます。
- 行政書士:在留資格の取得、帰化申請、各種許認可申請など
- 社会保険労務士:年金の相談、社会保険の加入手続き、海外との年金通算など
- 税理士:海外資産の申告、確定申告、相続税対策の税務相談など
- ファイナンシャルプランナー:老後資金の計画、資産運用、保険の見直しなど
各専門家は、それぞれの分野で最新の法律や制度に精通しており、個別の状況に応じた最適なアドバイスを提供してくれます。相談料は発生しますが、専門家の知識を活用することで、長期的には時間とコストの節約につながることが多いでしょう。
海外での経験を前向きに活かす
海外での生活経験は、日本での暮らしにも大きな価値があります。海外での暮らしで培った柔軟性、語学力、国際的な視野は、日本社会でも大きな強みとなるでしょう。国際交流団体でのボランティア、語学を活かした活動、海外経験を若い世代に伝える講演活動など、自分の経験を活かせる活動に参加することで、新たな生きがいや人間関係を築けます。
本帰国は“終わり”ではなく“新しい始まり”
老後に「日本に帰りたい」と考える海外在住者は多くいますが、帰国には多くの準備と現実的な課題があります。医療・介護・住居・資金などを早めに検討し、家族や専門家と連携して進めることが大切です。
海外で培った経験や価値観を活かしながら、日本の地域社会に新しい居場所を見つけることで、帰国後の生活を豊かにできます。本帰国を“終わり”ではなく“新しいスタート”として、充実した老後を迎えるために、少しずつ準備を進めていきましょう。


