海外移住後も維持できる日本の銀行口座を比較|非居住者向けのおすすめは?
海外赴任や留学、あるいは海外移住が決まった際、多くの方が頭を悩ませるのが「いま使っている日本の銀行口座をどうするか」という問題です。
日本の銀行口座は、原則として「日本国内に居住していること」を利用条件としています。そのため、何も手続きをせずに出国してしまうと、口座が凍結されたり、解約を求められたりするトラブルに発展しかねません。
しかし、適切な手続きを踏めば、非居住者(海外在住者)になっても合法的に維持・利用できる日本の銀行が存在します。
この記事では、海外移住後も利用可能な主要6行のサービス内容、月額維持手数料、渡航前に必要な手続きなどを比較し、主な特徴やメリットについて解説します。渡航目的や滞在期間に合った銀行選びにお役立てください。
- 海外移住後も解約せずに合法的に維持できる日本の主要銀6行
- 非居住者向けサービスの「手数料」と「海外での使い勝手」の違い
- 赴任・留学・永住など「滞在期間」に合わせた最適な口座の残し方
- 海外在住中に日本の銀行を維持するうえでの注意点
- すでに海外へ渡航してしまった場合の現実的な対処法
海外移住後も使える日本の銀行口座6選【比較表】
まずは、海外在住者の口座維持に対応している主要6行の概要を比較表で確認しましょう。
※1:所定の預金残高条件(前月分が50万円相当額以上)などを満たすと無料(通常2,200円/月・税込)となります。
※各行のサービス内容や手数料は変更される場合があるため、最新情報は必ず各行の公式サイトをご確認ください。
非居住者も使える銀行の特徴と注意点
海外移住後も使える日本の6つの銀行について、非居住者向けサービスの詳細やメリット・デメリットを詳しく解説します。
1.SMBC信託銀行プレスティア(PRESTIA)
グローバルな金融サービスに強みを持つ銀行で、海外在住者や外貨運用を行うユーザーから非常に高い支持を得ています。
メリット・特徴
- 外貨をそのまま運用・管理可能
- 「マルチマネー口座」により、17種類の通貨を一つの口座で保有・運用できます。海外送金や外貨受け取りの利便性は、6行の中で群を抜いています。
- 海外送金手数料の優遇
- 多通貨Visaデビット一体型の「GLOBAL PASS」を利用すれば、海外での決済・現地通貨の引き出しができて便利です。
- 海外からの資金送金がスムーズ
- 海外の金融機関から外貨のまま日本国内の金融機関で受け取れます。送金時の為替取扱手数料(リフティング・チャージ)も無料です。
デメリット・注意点
- 口座維持手数料の発生
- 口座の取引状況や残高(例: 前月分の口座残高が50万円相当額以上あることなど)に応じて月額2,200円(税込)の口座維持手数料が発生します。
- 国内店舗数が限られる
- 日本国内の店舗が主要都市に集中しているため、出国前の対面手続きの際に足を運ぶ手間がかかる場合があります。
- 海外で外貨のまま資産を運用したい方
- 高額な海外送金を頻繁に行う方
2.ソニー銀行
ネット銀行の中で唯一、公式に「非居住者向けの口座維持サービス(事前届出制)」を明確に提供している貴重な存在です。
メリット・特徴
- 維持コストが完全無料
- 非居住者手続きを行っても、月額管理手数料などは一切かかりません。
- Sony Bank WALLET(デビットカード)の利便性
- 海外のVISA加盟店で買い物をした際、外貨預金口座からダイレクトにお金が引き落とされるため、余計な為替手数料をかけずにショッピングができます。
- 多通貨での資金管理に対応
- 外貨普通預金は12通貨、外貨定期預金は11通貨で取引でき、海外からも利用できます。国内外からの外貨送金の受取にも制限がありません(所定の審査あり)
デメリット・注意点
- 国内代理人・納税者番号の届出が必要
- 日本国内で郵便物の受取・連絡ができる人を登録する必要があります。納税者番号が発行される国に居住する場合は、納税者番号の届け出も必要です。
- 外貨送金・外貨振込は不可
- 国外居住中は、ソニー銀行からの外貨送金(仕向け)や、ソニー銀行間の外貨振込を利用できません(受取は可能)。投資信託の新規購入・売却はできず、積立も停止します。
- 無駄な維持費をかけずに日本の口座を保有したい方
- 海外でデビットカード決済・現地通貨引き出しを活用したい方
3.三菱UFJ銀行
非居住者向けサービス「グローバルダイレクト」を提供しており、大手企業の外資・海外赴任規定でも推奨される定番の銀行です。
メリット・特徴
- 赴任者向け手続きのノウハウが豊富
- 企業の海外赴任手続きとして利用されるケースが多く、行員の知識やサポート窓口の案内が非常にスムーズです。
- ネットバンキングでの外国送金に対応
- インターネットバンキングから、月500万円相当以下の外国送金ができ、海外で開設する口座への送金にも使えます。
- ワンタイムパスワードカード等の海外発送
- インターネットバンキング利用時に必要な「ワンタイムパスワードカード」を海外の自宅に発送してもらえます。電池切れや故障、紛失などによる再発行にも対応可能です。
デメリット・注意点
- 申込は出国予定日の10~15営業日前まで
- 申込期限は出国予定日の10営業日前まで、三菱UFJダイレクト未契約の人は15営業日前までです。来店予約のうえ銀行窓口で手続きをする必要があります。
- 帰国予定のある人が対象
- 海外赴任や留学など、帰国予定のある人のみ、グローバルダイレクトの利用が可能です。申込時に「海外赴任証明書」「留学証明書」などを提出する必要があります。
- 企業の海外赴任で渡航する方
- 信頼性と安全性を最重視して日本の資産を管理したい方
4.三井住友銀行
メガバンクの手厚いインフラと信頼性を維持したまま海外へ渡航できる「SMBCダイレクト・グローバルサービス」を提供しています。
メリット・特徴
- 充実したネットバンキング機能
- 海外からでも「SMBCダイレクト」を通じて、残高・入出金明細確認、日本国内への振込・振替、外国送金(事前申込が必要)などが行えます。
- 帰国後の利便性
- 帰国後もすぐに国内メイン口座として復帰させることができ、給与振込や各種自動引き落としの再設定が不要です。
- 取引総合レポートの海外発送
- 毎月の取引総合レポートが海外の届出住所へ郵送されるため、国内口座の状況を把握しやすくなります。また、定期預金満期案内・取引受付完了通知などの情報もメールで受け取れます。
デメリット・注意点
- 申込は出国予定日の3週間前まで
- 出国予定日の3週間前までに郵送での申込が必要です。総合口座や投資信託、住宅ローンなどの取引状況によっては、店頭での手続きが必要な場合もあります。
- 帰国予定のある人が対象
- 海外赴任や留学などの渡航で帰国予定があり、海外居住地等の届出書(日本大使館発行の在留証明書など)を提出できる方のみ利用できます。海外赴任に同伴する家族の場合は「海外勤務証明書」の提出が必要です。
- 日本国内の住宅ローンや保険料の自動引き落としが残っている方
- 帰国後にそのままメインバンクとして使いたい方
5.みずほ銀行
海外勤務・居住中の人が日本国内の口座へ円で送金できる「海外勤務者向け日本国内送金サービス(非居住者向けみずほダイレクト)」を利用できます。
メリット・特徴
- 既存の給与口座・決済口座を維持できる
- 公共料金やクレジットカードの引き落とし口座としてみずほ銀行を使っている場合、口座番号を変えずに維持できます。
- 日本国内向けの円送金に便利
- 1日あたり500万円まで、日本国内向けの円送金を行えます。送金手数料は、みずほ銀行宛が無料、他行宛が100円(非課税)と抑えられています。
デメリット・注意点
- 申込から送金完了までの日数
- 申込から送金完了まで約4営業日かかります。土曜22時〜日曜8時は利用できません。
- 利用範囲の制限
- 国内向けの円建て送金サービスであり、外国送金や外貨建送金には対応していません。キャッシュカードを利用した現地通貨の引き出しも対象外です。
- すでにみずほ銀行を長年メインバンクとして利用しており、決済口座を変更したくない方
6.ゆうちょ銀行
日本全国どこにでも店舗があり、非居住者となった場合でも「代理人指定」などの手続きを行うことで口座を維持できます。
メリット・特徴
- 維持費が完全無料
- 月額の手数料や維持費がかかりません。
- 代理人設定の安心感
- 日本国内に住む家族などを「代理人」として届け出ておくことで、本人が海外にいても通帳記帳や各種届出を国内で代行してもらえます。
デメリット・注意点
- ゆうちょダイレクトの利用は限定的
- 海外転出後は、可能な限り解約することを推奨しており、海外から利用できる範囲は限定的です。給与の振込み・払戻し・預け入れなど、特定の目的に利用する場合にのみ適しています。
- 海外送金コスト
- ゆうちょ銀行を通じた海外送金は手数料が高く、手続きも煩雑なため、送金メインの口座としてはおすすめできません。
- 海外から定期的に送金・振込をする予定がなく、帰国時や一時帰国時の「保管用口座」として無料で保持したい方
りそな銀行・東京スター銀行・一部の地方銀行(千葉銀行・中国銀行など)では、非居住者向けの預金サービスを提供している場合もあります。
ただし、出国前の手続きが前提の「非居住者向けサービス」を展開する銀行とは、対象者や扱いが異なります。申込条件等の詳細は、各銀行に直接お問い合わせください。
【海外赴任・留学・永住】状況別にみる銀行口座の選び方

滞在期間や目的に応じて、優先すべき機能や持っておくべき口座の組み合わせが変わります。
渡航後に「使わない口座の維持費がかかり続けている」「ログインできず資産が凍結された」といったトラブルを防ぐためにも、滞在スタイルに合わせた運用戦略を押さえておきましょう。
短期・中期滞在(海外赴任・留学など帰国予定がある方)
数年後に日本へ帰国することが決まっている方は、「帰国後の生活基盤」と「日本での固定費支払いを滞りなく維持できるか」が最優先事項となります。
日本国内での自動引き落としなどに利用する場合は、メガバンク(三菱UFJ・三井住友など)の非居住者向けサービス(グローバルダイレクト等)をメイン口座として維持することをおすすめします。
また、ソニー銀行などのネット銀行をサブ口座として併用するのもおすすめです。維持費が無料で、海外での外貨決済や現地通貨の引き出しをお得に利用できます。
長期・永住予定(帰国予定がない・未定の方)
日本に戻る予定がない、あるいは将来的に現地での生活を基本とする場合は「維持コストの最小化」と「保有口座の厳選」が何よりも重要になります。
月額維持手数料がかかる口座は長期化するほど大きな負担となるため、手数料無料の銀行(ソニー銀行やゆうちょ銀行などへ集約するのがおすすめです。
日本国内での金融取引(給与受取やローン決済)が発生しないのであれば、必要最小限の口座を残し、管理の手間を徹底的に削減するのが賢い選択といえます。

非居住者が銀行口座を維持する場合の注意点

どの銀行を選ぶ場合でも、非居住者として日本の銀行口座を維持する際には、以下の点に注意しましょう。
1.日本出国「前」の申し込みが必須
ほとんどの銀行において、「出国後に海外から非居住者手続きを行うこと」は原則できません。多くの金融機関では、店頭窓口へのご本人来店や、日本国内の住所へ郵送される本人確認書類の受け取りが必須条件となっているためです。
出国直前はビザ発給、引越し、役所手続きなどで非常に慌ただしくなります。書類の不備や銀行側の審査・郵送期間を考慮し、渡航の1〜2ヶ月前には銀行の窓口やWebサイトで手続きを開始しましょう。
もし事前の手続きをしないまま出国してしまい、海外で手続き漏れに気づいた場合は、以下の対処法・選択肢を検討してください。
・一時帰国時に窓口で手続きを行う
一時帰国の予定がある場合は、滞在中に必要書類(パスポート、在留証明書、マイナンバー関連書類など)を持参し、店頭窓口で非居住者への変更手続き(または必要に応じた解約手続き)を行いましょう。
・親族による「代理人手続き」を利用する
ゆうちょ銀行や一部のメガバンクでは、日本国内に居住する親族を「代理人」としてあらかじめ指定・登録することで、代理人が日本国内で届出や手続きを行える制度があります。
・放置せず、カスタマーサポートへ相談する
「バレないだろう」と日本の住所のまま放置すると、郵便物の不着などから口座が凍結(取引停止)される恐れがあります。各行の「海外在住者専用サポート窓口」や電話問い合わせ窓口へ連絡し、現時点で取れる手続きを確認するのが安全です。
2.認証方法の海外受取設定
ネットバンキングでのログインや送金、振込相手の登録時には、本人確認として「日本の携帯電話番号宛てのSMS(ショートメッセージ)」にワンタイムパスワードが送信される仕組みが多く採用されています。
事前に対策を講じずに出国してしまうと、海外到着後にネットバンキングへ一切ログインできなくなるという致命的な事態になりかねません。渡航前に次のような設定を行っておきましょう。
日本の携帯電話番号(SMS受信用)を維持・契約しておく
月額基本料が格安の日本キャリア(povo2.0、LINEMO、楽天モバイルなど)に契約変更し、海外ローミング機能を使って海外でも日本のSMSを無料で受信できる状態にしておくのが最も確実で主流な方法です。
ワンタイムパスワードアプリ(スマホアプリ)に切り替える
SMS認証ではなく、銀行公式の「ワンタイムパスワードアプリ」や「生体認証(指紋・顔認証)」による認証方式へあらかじめ切り替えておきます。
ハードウェアトークンを発行しておく
アプリやSMSが使えない場合に備え、液晶画面に暗証番号が表示される物理的な「ハードウェアトークン」を日本国内にいるうちに郵送で取り寄せ、設定を完了させておきます。
3.投資口座(NISA・特定口座など)の取り扱い
日本の銀行口座(普通預金・定期預金)は非居住者手続きにより維持できる場合があります。一方、同じ金融機関で保有している「投資信託」「株式」「NISA口座」などは原則として制限がかかります。
原則:非居住者は新規買付が不可(取引制限)
非居住者となると、原則として投資商品の「新規買付」はできません。売却手続き自体は可能な場合もありますが、対象商品や金融機関によって対応が異なるため注意が必要です。
NISA・特定口座を継続するための特例制度
一定の条件を満たして出国前に所定の届出を行うことで、一定期間口座を維持できる制度があります。
- NISA口座の継続特例
- 海外転勤等の一定要件を満たし、出国前に「非課税口座継続適用届出書」を提出すれば、最長約5年間、保有分を非課税のまま継続保持できる場合があります。
- 特定口座の扱い
- 金融機関によっては、出国前に「特定口座継続適用届出書」を提出することで、帰国後に特定口座へ戻せる場合があります。ただし、非居住者期間中は原則として一般口座での管理となり、運用取引は制限されます。
出国前に必ず確認すべきこと
銀行の非居住者サービスを申し込む際は、預金口座の手続きだけでなく、保有している投資信託・株式・外貨建保険などの「継続取引」や「売却」の可否を必ず行員に確認し、必要な手続きを出国前に完了させておきましょう。
4.長期滞在によるリスクや手続きの負担
海外に長期滞在・永住するにあたっては、日本の口座を維持し続けることで以下のような固有のリスクや手続き負担が発生します。
手数料負担の積み重なり
月額200~300円(税抜)程度の維持サービスであっても、10年・20年と長期化すれば数万円単位の固定コストになります。
本人確認・証明書類の定期更新手続き
非居住者口座を維持するためには、定期的にマイナンバー関連書類や現地での「在留証明」「非居住者証明書」などの郵送・提出を求められる場合があります。海外からの書類取り寄せややり取りは大きな手間となります。
休眠口座化と口座凍結
住所変更届を提出しないまま長期間取引がないと、郵便物の不着などから「休眠口座」として口座が制限され、海外からの解約・資金移動が極めて困難になります。休眠口座から預金を引き出すには、日本の銀行口座窓口での手続きが必要です。
不正利用・セキュリティリスク
海外在住中はログイン通知や通知メールを見落としやすく、万が一口座情報が流出した際の早期発見が遅れる原因となります。気がついたときにすぐ適切な対応できるよう、海外から問い合わせできるサポートデスクを控えておきましょう。
日本にいる間に使っていた口座を「念のため」と複数放置したまま出国するのは非常に危険です。使っていない口座を放置すると、さまざまなリスクを伴います。使わない口座は「日本滞在中にすべて解約手続きを完了させる」ことが鉄則です。
参考:金融庁「金融機関窓口や郵送書類等による確認手続にご協力ください」「休眠預金等について」
まとめ:この記事のポイント
海外移住後も日本の銀行口座を維持するためには「渡航前の事前手続き」が絶対条件となります。
- 手数料無料で無駄なく維持したい・海外で外貨を使いたいなら 「ソニー銀行」や「SMBC信託銀行プレスティア」
- 帰国後の利便性や日本の固定費決済を重視するなら「三菱UFJ銀行」や「三井住友銀行」の海外ダイレクトサービス
ご自身の滞在スタイル(赴任・留学・永住)に合わせて適切な銀行を選び、出国前に余裕を持って手続きを完了させましょう。
※ 本記事は海外在住者の日本国内銀行口座の維持および非居住者手続きに関する一般的な情報をまとめたものであり、金融機関との契約や取引を保証するものではありません。銀行の規約や手数料、取り扱いサービスは変更される場合があるため、最新情報は各銀行の公式サイトや窓口にてご確認ください。







