運転免許

海外在住者が日本の運転免許証を更新するには?

海外在住者が困ることのひとつが、運転免許証の更新です。更新期間に帰国できないと無効になってしまうのでは、と心配している人も多いのではないでしょうか。

しかし、更新期間中に海外に滞在していていた(する予定)場合、やむを得ない理由があったとみなされ、いくつかの特例に沿って免許の更新・再交付が可能です。そこで今回は、海外在住者が知っておくべき日本の免許の更新方法について、詳しくお伝えします

通常の更新方法を確認しよう

海外在住者の特例を見ていく前に、通常の更新方法について確認しておきましょう。更新期間に帰国できる場合は、通常通りの手続きを踏まなければなりません。

誕生日の前後1か月間に更新するのが原則

運転免許を更新できるのは、有効期間が満了になる直前の誕生日の前後1か月間です。免許の有効期限の前後1か月間ではないので注意しましょう。有効期間の満了日(誕生日の1か月後)日)が土日祝日もしくは年末年始にあたる場合は、その翌日まで手続きが可能です。

通常は有効期間が満了を迎える年の誕生日の35~40日前頃、免許証に記載されている住所に「運転免許更新連絡書」というハガキが届きます。万が一、葉書を紛失してしまっても更新はできますが、講習区分などを確認するために手続きに時間がかかることだけ注意してください。

非居住者は一時滞在先を住所地として更新可能

住民票が日本にある場合には、通常通り各都道府県の運転免許試験場・運転免許センターにて更新が可能です。さらに優良運転者であれば、住所地管轄の公安委員会管内にある警察署でも手続きができます。

日本に住民票がない非居住者の場合は、一時滞在先の免許試験場・免許センターなどで通常の手続きと同じように更新が可能です。免許証に記載されている住所地と一時滞在先が同じ場合、特別な手続きは必要ありません

ただし、登録住所と一時滞在先が異なる場合は、「運転免許記載事項変更届」を提出し、滞在先の住所への変更が必要です。滞在先住所の確認として、滞在証明書や消印付郵便物なども持参しましょう。

免許試験場は即日交付対応・警察署は後日交付

免許更新時に課せられる講習の時間は、優良運転者が30分、一般運転者は1時間、初回講習者と違反運転者は2時間です。免許試験場や免許センターの場合、即日交付に対応していますが、会場によって講習時間が異なります。遅い時間帯に受付した場合は、後日交付になる可能性があるので注意してください。

また、指定警察署で更新する場合も後日交付となる場合がほとんどです。即日交付を希望する場合は免許試験場などで更新し、早めに受付するとよいでしょう。

誰もが必要なのは、免許証と手数料のみ

通常の更新時に必ず持参しなければならないものは、運転免許証と更新手数料(2,500円)です。さらに講習区分に応じて、優良運転者が500円、一般運転者は800円、初回講習者と違反運転者は1,350円がかかります。

東京都など一部の地域ではキャッシュレス決済(クレジットカード・電子マネー)に対応していますが、現金でしか受け付けていないところもあるので注意しましょう。

これ以外には申請する人、場所によって必要なものが異なります。以下の表も参考に確認してください。

運転免許証 ・運転免許証
・更新手数料+講習料
・更新連絡ハガキ(なくても可)
更新手数料 2,500円
講習料 ・優良運転者:500円
・一般運転者:800円
・初回講習者・違反運転者:1,350円
更新連絡ハガキ なくても可
証明用写真 ・持参写真での更新手続きを希望される場合
・警察署で更新する場合は必須
・申請前6か月以内に撮影したもの
眼鏡・コンタクト・補聴器等 ・条件等欄に「眼鏡等」「補聴器等」の記載がある場合
・適性検査で視力・聴力の基準を満たせるか不安な場合
※普通自動車免許の合格基準:両眼で0.7以上、かつ片眼で各0.3以上
高齢者講習終了証明書等 70歳以上の免許更新者の場合
在留資格を確認できる書類等 ・外国籍の人の場合
・在留カード・特別永住者証明書・住民票など

なお免許を更新する際、IC免許証に登録する4桁の数字2組を提示しなければなりません。あらかじめ、前回更新時に指定した数字を確認したり、新たに指定する数字などを検討したりしておくとよいでしょう。

海外在住者の免許更新に関する特例

海外在住者の運転免許証の更新に関して、警視庁ではいくつかの特例を用意しています。更新期間に手続きが難しい場合や、更新できずに無効となってしまった場合には、特例を活用して適切に対処してみてください。

出国により手続きが難しい場合は、期間前更新が可能

海外滞在により、次の更新期間に日本で手続きするのが難しいと予想される場合には、住所地を管轄する免許試験場・免許センターにていつでも期間前更新が可能です。

期間前更新では、通常の手続きの際に必要となるものに加え、理由を証明する書類の提出が求められます。期間前更新を行う理由が海外滞在によるものであれば、パスポートや搭乗券等を持参し、受付で海外に出国するために手続きができない旨を伝えましょう。

一般的な更新と同様、必要な適性検査と講習を受ければ、優良運転者・一般運転者の場合、更新時から5年間有効の運転免許証が交付(初回更新者や違反運転者の場合は3年間)されます。

<道路交通法第101条の2>

失効後3年以内、かつ帰国後1か月以内なら更新可能

運転免許証が失効して6か月以内であればいつでも、失効後6か月を超えて3年以内なら帰国後1か月以内に限り、更新手続きが可能です。通常と同じ適性検査・講習を受けるだけで更新でき、優良運転者のステータスなども継続できます。

申請時に必要なものは、以下の通りです。

失効した日本の運転免許証
日本の出入国印が確認できるパスポート
戸籍謄本または戸籍抄本
一時帰国証明書
(一時帰国証明書に記載のある)証明者の身分証明書
申請用写真1枚:運転免許証用の写真とは別
外国の運転免許証(ある場合)
手数料

一時帰国証明書は、各都道府県の警察庁のホームページからダウンロードできます。なかには、滞在証明書・居住証明書としているところもありますが、形式は一緒です。証明者は一時滞在先に住んでいる家族などが該当します。

なお、住民票を日本に残している居住者の場合は、戸籍謄本・一時帰国証明書等の代わりに、本籍が記載された住民票のコピーが必要です。海外から帰国し、日本に転入届を出した場合も居住者として更新申請ができます。

<道路交通法第97条の2第1項第3号>

外国免許保持者は、失効後も適正検査のみで再取得可能

過去に日本の免許を取得したことがあり、外国でも運転免許を取得している場合には、視力などの適性検査だけで、日本の免許を取得可能です。通常の更新時に課せられる講習を受ける必要もありません。ただし、日本の免許を取得したことがあることを証明するために、失効したものであっても日本の免許証が必要です。

外国の免許には現地で新たに取得したものはもちろん、日本の免許を切り替えて取得した場合も含まれます。海外で免許が交付された後、その国に3か月(90日)以上滞在しているのであれば、失効後の期間は問わず、帰国したときにいつでも申請が可能です。

通常の必要書類以外に準備すべきものは、以下の通りです。

有効な外国の運転免許証
失効した日本の運転免許証
一時帰国証明書
(一時帰国証明書に記載のある)証明者の身分証明書
パスポート
滞在期間を証明できるもの(パスポート・在職証明書・給料明細書など)
※パスポートの場合、滞在国での出入国印が必要(日本の出入国印だけでは不可)

免許の取得国や取得状況によって必要な書類は異なります。手続きできる機関も限定されており、場合によっては事前予約が必要です。申請前には、必ず管轄の運転免許試験場などに確認しておきましょう。

<道路交通法第97条の2第2項>

事前申し出により、有効期間を3か月延長可能

新型コロナウイルスの影響により、更新期間内に手続きが行えない(帰国できない)場合には、運転および更新可能期間を3か月延長できます。有効期間満了前に必要書類をそろえ、運転免許証の住所を管轄する各運転免許試験宛てに、簡易書留にて郵送してください。申請が受理されると、裏面措置した備考欄シールが返送されます。

郵送申請時に必要な書類は以下の通りです。

・更新手続開始申請書(都道府県の警察庁ホームページからダウンロード)
・更新手続継続申請書(再延長依頼時)
・運転免許証の表・裏のコピー
・返信用封筒(簡易書留用切手を貼り、宛先に運転免許証記載の住所を記入)

海外在住者の場合、切手の購入や返信封筒の受け取りが困難なため、日本に住んでいる家族に協力してもらうとよいでしょう。

なお更新期間を延長した場合でも、有効期間が切れる前であれば、さらに3か月延長が可能です。延長が認められた期間までに通常の適性検査と講習を受け、免許を更新しましょう。詳細は、各都道府県警察にお問い合わせください。

参考)都道府県の警察庁ホームページ一覧(申請書のDLページ)

国際運転免許証を活用しよう

免許が失効した状態で帰国し、免許の更新手続きをするまでの期間に運転をしたい場合は、国際運転免許証を活用しましょう。滞在先の国で発給されてから1年間、かつ日本に入国してから1年以内であれば、日本で運転ができます。

なお、帰国前に連続して3か月以上日本国外に滞在していたことが条件となり、ジュネーブ条約に定める様式で発行されたもののみ有効です。パリ条約・ワシントン条約・ウィーン条約による様式で発行されたものでは運転できないので注意してください。

まとめ

免許の更新機関に帰国できないことが事前にわかっている場合には、多少有効期間が短くなったとしても、期間前更新をしておくのが一番スムーズです。

とはいえ、次の帰国予定が未定であったり、帰国予定であっても更新期間に間に合わなかったりする人もいることでしょう。やむを得ず帰国できなかった場合には、できるだけ失効後3年以内に帰国し、すぐに再申請することをおすすめします。