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一時帰国でスマホを使うには?SIM・Wi-Fi・ローミングを比較

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海外在住者が一時帰国する際、スマホの通信手段をどう確保するかは重要な課題です。SIMカード、eSIM、ポケットWi-Fi、海外ローミングなど、選択肢は複数ありますが、滞在期間や利用目的によって最適な方法は異なります。

本記事では、各通信手段の特徴やメリット・デメリット、選び方のポイントまで詳しく解説します。自分に合った通信手段を利用し、日本滞在中も快適にスマホを使いましょう。

この記事のポイント
  • 一時帰国時の通信手段は、SIM・eSIM・ポケットWi-Fi・ローミングの4つ
  • プリペイド型SIM・eSIMは、安価で短期利用に向いている
  • 各種手続きやSMS認証には、電話番号付きSIM・eSIMが必要
  • ポケットWi-Fiは、複数人での帰国時にシェアして使うと便利
  • 海外ローミングは、ビジネス目的でも使いたい人におすすめ
  • 一時帰国での滞在期間と用途に合った通信手段を選ぶことが重要

※ 本記事は、一時帰国時のスマホ利用に関する一般的な情報をまとめたものであり、各通信事業者の最新プランや料金体系を保証するものではありません。実際の契約条件や利用可能エリアは、各公式サイトで最新情報をご確認ください。

一時帰国中にスマホでネットを使うにはどうする?

海外在住者が一時帰国する際、日本でも現地と同様にスマホを活用するには、通信手段の確保が必要です。一時帰国時にスマホの通信環境を整える必要がある理由と、日本で利用できる主な選択肢について解説します。

一時帰国で通信手段が必要な理由

一時帰国中にスマホの通信環境を整えることは、日常のあらゆる場面で必要不可欠です。海外で契約しているスマホは、そのままでは日本国内で通信ができなかったり、高額な海外ローミング料金が発生したりする可能性があります。

一時帰国中にスマホでの通信手段が必要になる主な場面は、以下のとおりです。

  • 空港到着後の地図検索、乗換案内、タクシー呼出などのアプリ利用
  • 家族や友人への到着連絡・待ち合わせ調整(LINEや通話)
  • キャッシュレス決済での買い物や交通利用
  • 宿泊施設や店舗でのWEB予約・受付連絡
  • 役所や銀行、病院などへの連絡と各種手続きの情報取得
  • SNS投稿、写真・動画の共有
  • マイナンバー関連・各種認証(ワンタイムパスワードSMS等)
  • 飲食店・観光地の検索やクーポン利用
  • オンライン会議やリモートワーク(Zoom、Teamsなど)

日本滞在中は、通信手段がなければ不便が生じる場面が少なくありません。空港到着時から帰国まで、日本国内での安定した通信手段を確保することが、快適な一時帰国の前提条件です。帰国前に通信手段を準備し、現地と同様、日本滞在中もスマホを快適に使いましょう。

一時帰国時に利用できる通信手段の選択肢

一時帰国中に使える通信手段には、大きく分けて4つの方法があります。

  • 既存のSIMを差し替えて使用する「SIMカード」
  • スマホに直接設定できる「eSIM」
  • 複数の端末で共有できる「ポケットWi-Fi」のレンタル
  • 海外の契約SIMをそのまま使える「海外ローミング」

料金やデータ容量、利用開始までの手軽さなどは通信手段によって異なるため、自分の滞在期間や利用シーンに合わせて選ぶのがおすすめです。それぞれの特徴は、この後の見出しで詳しく解説します。

一時帰国で使える4つの通信手段を徹底比較

一時帰国中にスマホを快適に使うには、通信手段の選び方がポイントです。SIMカード、eSIM、ポケットWi-Fi、海外ローミングの4つの選択肢について、詳しく見ていきましょう。

1.SIMカード(プリペイドSIM)

一時帰国で利用する通信手段の定番ともいえるのが、日本のSIMカードです。短期滞在向けプランも多く、コスパの良さと入手の手軽さから海外在住者に人気があります。

SIMカードとは

SIMカードとは、スマホに挿入することで通信キャリアのネットワークに接続できる小型のICカードのことです。日本の通信事業者が提供するSIMカードを購入することで、海外在住者でも日本国内でデータ通信や音声通話を利用できるようになります。

一時帰国者には数日〜数週間単位で使えるプリペイド(前払い)SIMの利用が一般的で、空港や家電量販店、オンラインで購入が可能です。MVNO(格安SIM)事業者からも旅行者向けのプランが多く販売されており、滞在期間や必要なデータ容量に合わせて選べます。

SIMカードのメリット

  • データ容量や利用期間に応じて選べる
  • 音声通話やSMS付きプランも選択できる
  • 数日〜数週間単位で購入でき、無駄なコストを抑えられる
  • 空港・家電量販店・オンラインで簡単に入手可能

SIMカードの最大のメリットは、データ容量や利用期間を自分のニーズに合わせて柔軟に選べることです。1日1GB、7日間3GB、30日間10GBなど、滞在日数と使用量に応じたプランから選択できるため、無駄な支出を抑えられます。

音声通話やSMS認証に対応したサービスもあり、行政手続きや銀行の二段階認証などにも対応可能。海外在住者にとって、日本の電話番号が使えることは大きな利点といえます。空港や通販サイトで手軽に入手できる点もポイントです。

SIMカードのデメリット

  • 到着後の受け取りや設定に手間がかかる場合がある
  • SIMカードの差し替え作業が必要
  • 長期契約型は解約手続きが面倒なケースがある
  • データ専用SIM以外は、本人確認書類の提示を求められる

SIMカードは、受け取りと設定に少し手間がかかる点がデメリットです。空港や指定場所で受け取る必要があり、到着直後には通信できない場合もあります。現在使用中のSIMカードから日本のSIMへの差し替えが必要なので、紛失や破損のリスクがあることも難点です。

長期契約型のSIMを選ぶと、解約手続きが面倒になるケースもあります。データ専用SIMでない限り、本人確認書類の提示を求められるため、海外在住者には手続きが難しいケースもあるでしょう。事前にプラン内容や手続き方法をよく確認しておくことが重要です。

SIMカードの購入・利用方法

SIMカードは、主要空港のカウンターや自販機、Amazon・楽天などの通販サイトで購入可能です。ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダデンキといった家電量販店や、コンビニ(ローソン、ファミリーマートのみ)でも入手できます。

購入後は、説明書に沿ってスマホにSIMを挿入し、APN設定(通信設定)を行えばすぐ利用可能です。多くのプリペイドSIMはAPN設定が自動で行われますが、手動設定が必要な場合は、パッケージに記載された情報を入力することで設定が完了します。

2.eSIM

近年、一時帰国する海外在住者に注目されているのが「eSIM」です。オンラインで申し込みから開通まで完結できるため、手軽に通信手段を確保したい方にとっては、有力な選択肢の一つといえるでしょう。

eSIMとは

eSIMとは、スマホに内蔵されているチップに通信プロファイルをダウンロードして利用する新しい通信方式です。物理的なカードを挿入する代わりに、QRコードをスキャンしたりアプリから設定したりして利用します。

eSIMには「月額型」と「プリペイド型」があり、一時帰国者には契約不要のプリペイド型が人気です。2018年頃から対応端末が増え始め、現在ではiPhone XS以降、Google Pixel 4以降、Samsung Galaxy S20以降など、多くのスマホがeSIMに対応しています。

eSIMのメリット

  • 渡航前にオンラインで申し込みから開通まで完結
  • 空港到着後すぐ利用可能
  • SIMの差し替えが不要
  • プリペイド型は契約の縛りがなく、1日単位で利用可能
  • 一部サービスではデータ無制限プランあり
  • デュアルSIM対応スマホで海外番号と併用可能

eSIMの最大のメリットは、渡航前にオンラインで申し込みから開通まで全てが完結することです。出発前にeSIMをスマホに登録しておけば、到着後にすぐインターネットに接続できます。SIMカードの抜き差しも不要なので、紛失や破損のリスクもありません。

プリペイド型のeSIMなら、契約期間の縛りが一切なく、1日単位から利用できます。一部サービスではデータ無制限プランを提供しており、データ容量を気にせず動画視聴やビデオ通話も可能です。デュアルSIM対応スマホであれば、海外の番号を維持したまま日本の回線も同時に利用できるため、仕事や家族との連絡が途切れる心配がありません。

eSIMのデメリット

  • eSIM対応端末が必要
  • 自分で設定が必要
  • データ専用のeSIMは日本の電話番号が使えない
  • 多くのサービスで再発行不可

eSIMは、対応端末でなければ利用できません。設定は基本的に自分で行う必要があり、QRコードのスキャンやAPN設定、モバイルデータ通信の切り替えなど、ある程度の技術的な知識が求められます。不慣れな場合は、設定に手間取る場合もあるでしょう。

多くのプリペイドeSIMはデータ専用で、日本の電話番号が使えないため、SMS認証や通話が必要な場面では不便です。eSIMは再発行が難しく、誤って削除してしまうと再購入が必要になります。初心者は、使い方ガイドやサポート対応が整っている事業者を選ぶと安心です。

eSIMの購入・利用方法

eSIMは、各サービスのWebサイトからオンラインで申し込み、メールで届くQRコードをスマホで読み取るだけで利用できます。多くのeSIM事業者は即時発行に対応しているため、渡航前に設定を済ませておくとスムーズです。

日本到着後、再起動もしくは機内モードをオフにすると、自動的に日本のネットワークに接続されます。うまく接続されない場合は、モバイルデータ通信がオンになっているか、データローミングが有効になっているかを確認しましょう。多くのeSIMは、初めて日本のネットワークに接続した時点から利用期間がカウントされます。

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3.ポケットWi-FiモバイルWi-Fi)

家族や友人との一時帰国で、複数のデバイスを使いたい人に人気なのが「ポケットWi-Fi(モバイルWi-Fi)」です。レンタルして利用するのが一般的で、誰でも簡単に利用できます。

ポケットWi-Fiとは

ポケットWi-Fi(モバイルWi-Fi)とは、手のひらサイズの小型ルーターのことです。ルーターが日本の通信キャリアの回線に接続し、Wi-Fi電波を発信することにより、スマホやタブレット、ノートパソコンなどをインターネットに接続できます。

一時帰国者はレンタルして使用するのが一般的で、1日単位でも申し込みが可能です。最近では、ドコモ・au・ソフトバンクの4G/5G回線を使用した高速通信対応ルーターも増えており、データ容量無制限プランも豊富に用意されています。

ポケットWi-Fiのメリット

  • 複数端末を同時に接続できる
  • スマホ以外のPCやタブレットでも利用可能
  • 通信が安定しており、大容量データの通信も可能
  • 設定が簡単

ポケットWi-Fiの最大のメリットは、1台で複数のデバイスを同時に接続できることです。通常5〜10台程度の機器を接続できるため、家族や友人と一緒に帰国する場合、1台をレンタルして全員でシェアすれば、1人あたりのコストを大幅に抑えられます。

スマホだけでなく、ノートパソコン、タブレット、ゲーム機など、Wi-Fi対応機器ならどれでも接続が可能。ルーターの電源を入れてパスワードを入力するだけなので、設定も簡単です。通信の安定性も優れており、無制限プランを選べば、動画視聴やビデオ会議、大容量ファイルのダウンロードも気兼ねなく行えます。

ポケットWi-Fiのデメリット

  • 受け取り・返却が必要(空港・コンビニなど)
  • 持ち歩く必要がある
  • バッテリーが切れると通信できず、充電が必要
  • 一人で利用する場合は割高になりやすい

ポケットWi-Fiのデメリットは、ルーターの受け取りと返却が必要なことです。空港や宅配で受け取る必要があり、返却時には指定の返却ボックスや郵便ポスト、空港カウンターまで持っていかなければなりません。返却を忘れると延滞料金が発生します。

外出時にはデバイスを持ち歩く必要があり、ルーター自体のバッテリーが切れると通信できなくなるため、定期的な充電が必要です。複数人での利用はコスト抑えられる反面、1人で利用する場合は、eSIMやプリペイドSIMと比較して割高になる傾向があります。

ポケットWi-Fiのレンタル・利用方法

ポケットWi-Fiは、出発の数日前までにオンラインで予約し、空港や宅配で受け取り・返却するのが一般的です。空港ではカウンターで受け取り、宅配受け取りの場合は、実家や宿泊先に配送されます。レンタル期間終了後は、指定の方法で返却すれば完了です。

利用する際は、ルーターの電源を入れ、本体に記載されているSSID(Wi-Fiネットワーク名)とパスワードを確認します。スマホのWi-Fi設定画面から、そのSSIDを選択してパスワードを入力すれば接続できるので簡単です。

4.現地キャリアの海外ローミング

今使っている海外のスマホ回線をそのまま日本で使う方法が「海外ローミング」です。SIMの差し替えが不要で、使い慣れたスマホをそのまま利用できるため、緊急の一時帰国や数日間の短期滞在に向いています。

海外ローミングとは

海外ローミングとは、海外の通信キャリアが、日本の通信キャリアのネットワークを経由して通信サービスを利用する仕組みです。自分のスマホと電話番号をそのまま使い続けられるため、新たなSIMカードやeSIMを用意する必要がありません。

多くの海外キャリアは、日本国内ではドコモ、au、ソフトバンクのいずれかと提携しており、日本到着後にデータローミングをオンにするだけで、自動的に提携キャリアのネットワークに接続が可能です。AT&T、Verizon、Vodafoneなど、主要な海外キャリアの多くが日本でのローミングサービスを提供しています。

海外ローミングのメリット

  • SIMや端末の設定変更なしで使用可能
  • 現地到着直後から通信可能
  • 使い慣れたスマホをそのまま利用できる
  • 対象エリアを心配せずに日本全国どこでも利用可能

海外ローミングの最大の利点は、新しいSIMやデバイスを準備しなくても手軽に使えること。使い慣れたスマホをそのまま利用できます。事前の購入手続きやSIMの交換・設定が不要で、日本到着後すぐに通信できるため、緊急の一時帰国時にも対応が可能です。

海外の番号を維持したまま日本で通話・通信ができ、海外の職場や友人からの着信・メッセージをいつも通り受け取れます。現地のキャリアを選ばず、自動的に最適なネットワークにつながる仕組みなので、対象エリアを心配せずに日本全国どこでも利用可能です。

海外ローミングのデメリット

  • 通信料金が高くなりやすい
  • データ容量制限が厳しい場合が多い
  • 1週間以上の長期滞在には不向き
  • 一部キャリアは日本で利用できない場合がある

海外ローミングの最大のデメリットは、料金が非常に高額になりやすいことです。定額制でも割高な傾向があり、従量課金制の場合は、うっかり大容量のデータを使うと数万円の請求が来る可能性があります。長期利用は負担が大きいため、1週間以上の滞在には不向きです。

データ通信容量の制限も厳しく、動画視聴やビデオ通話はほとんどできないケースも少なくありません。容量を超過すると通信速度が極端に低下するか、制限がかかります。キャリアによっては日本でのローミングに対応していない場合もあるため、事前に確認が必要です。

海外ローミングの設定・利用方法

ほとんどの場合、スマホの「データローミング設定」をオンにするだけで利用できます。事前に契約している海外キャリアで、日本での海外ローミングが有効かを確認しておくと安心です。利用後は必要に応じてオフにすることで高額請求を防げます。

現地キャリア(例:T-Mobile、Three、Optusなど)によっては、日本の通信会社との提携プランや、定額プランを提供している場合があります。コストの負担を抑えたい場合は、出発前に専用ローミングプランへの加入も検討しましょう。

海外在住者におすすめのスマホ利用方法

どの通信手段を選ぶべきかは、滞在期間や利用目的、同行者の有無によって異なります。海外在住者の状況別に、最適な選択肢を具体的に見ていきましょう。

滞在期間別の選び方

滞在期間によっておすすめの通信手段は変わります。無駄な費用や通信トラブルを避けるには、滞在日数に合わせた通信手段と利用プランを選ぶことが重要です。

短期滞在:eSIMか、海外ローミング

2週間以内の短期滞在では、プリペイド型eSIMが最もおすすめです。たとえば、trifaの7日間10GBプランは3,820円、Airaloの10日間無制限プランは5,500円で利用できます。データ容量も1日500MB〜無制限まで幅広く選べるため、利用スタイルに合わせて調整可能です。

3〜5日程度の短期滞在、または緊急帰国の場合は、海外ローミングも選択肢に入ります。コストを抑えたいなら、緊急時や海外との連絡が必要なときのみ海外ローミングをオンにし、通常時はプリペイド型eSIMを使うのも一つの方法です。

中長期滞在:SIMカードか、ポケットWi-Fi

1か月以上の中長期滞在は、プリペイドSIMカードを検討しましょう。プリペイドSIMは、30日間10GB〜50GBのプランで3,000円〜6,000円程度、データ無制限プランでも5,000円〜8,000円程度で、長期になるほどコスパが高くなります。

長期滞在でノートパソコンやタブレットも頻繁に使う場合は、ポケットWi-Fiもおすすめです。1か月のレンタル費は5,000円〜15,000円程度が相場で、データ無制限プランも多く提供されています。Wi-Fi環境が整っていない実家に長期滞在する場合にも最適です。

家族・同行者の有無による選び方

一人で帰国するか、家族や友人と一緒に帰国するかによって、最適な通信手段は大きく変わります。同行者がいる場合は、コストをシェアできる選択肢を検討しましょう。

複数人での帰国:ポケットWi-Fi

家族や友人と複数人で一時帰国する場合は、ポケットWi-Fiを1台レンタルして全員でシェアするのが最も経済的です。個別にeSIMやSIMカードを購入するよりコストを抑えられ、全員が無制限または大容量のデータ通信を利用できます。

ただし、別行動が多くなる場合は注意が必要です。例えば、親が出かけて子どもが実家に残る場合、Wi-Fiを持っている方しかインターネットに接続できません。複数人で帰国しても別行動する機会が多いなら、各自が個別にeSIMやプリペイドSIMを用意した方が便利です。

一人での帰国:eSIM

一人で一時帰国する場合は、eSIMが最も便利でコストパフォーマンスに優れています。1週間のデータ無制限プランで3,000円〜6,000円程度、2週間でも4,000円〜8,000円程度で利用可能です。荷物も最小限に抑えられ、身軽に移動できます。

デュアルSIM対応のスマホを使っている場合、海外の電話番号とeSIMを同時に有効化できるのも利点です。一時帰国中、仕事の連絡が入る可能性がある海外在住者には、特におすすめできます。

目的・利用シーン別の選び方

通信手段を選ぶ際は、一時帰国中に何をするかという利用目的も重要なポイントです。音声通話、SMS認証、データ通信のみなど、必要な機能に応じて選びましょう。

電話番号が必要:音声通話付きSIM/eSIM

本人確認やオンライン手続き、銀行やレンタルサービスなどで日本の電話番号が必要な場合は、音声通話付きのSIMやeSIMを利用しましょう。データ専用のeSIMやポケットWi-Fiでは日本の電話番号が付与されないため、連絡先の番号が必要な手続きに対応できません。

ただし、音声通話付きのSIMやeSIMを利用するには、本人確認が必要です。海外在住者で本人確認書類の提示が難しい場合は、HanaCell「ジャパンSIM」や「GTNモバイル」のように、パスポートや海外のIDカードで契約できるサービスを検討しましょう。

参考:「HanaCell」「GTNモバイル

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ネット検索・SNS利用が中心:データ専用eSIM

一時帰国での滞在中、主にネット検索やSNSの利用だけに使う場合は、データ専用のプリペイド型eSIMが最適です。契約のしばりがなく、データ容量も滞在日数に応じて選べます。音声通話機能がない分、料金が安く設定されているのでコストを抑えられるでしょう。

動画視聴やビデオ通話をよく使うなら、データ無制限プランがおすすめです。実家や旅行先でWi-Fi環境がない場合もデータ容量を気にせず、動画視聴やビデオ通話を楽しめます。日本滞在中の写真や動画をSNSにたくさん投稿したい方も、データ無制限プランなら安心です。

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ビジネスでも利用:海外ローミング、日本のeSIMとの併用

日本滞在中にビジネスでも利用する場合は、海外ローミングが便利です。海外の番号のまま着信・発信できるので、仕事用の連絡が途切れる心配がありません。ただし、データ通信料金が高額になるため、Wi-Fi環境がある場所ではWi-Fiを優先的に使い、外出時のみローミングを使うなどの工夫が必要です。

デュアルSIM対応のスマホなら、海外のSIMカードと日本のeSIMを併用も検討しましょう。海外のSIMは音声通話専用として残し、データ通信は日本のeSIMで行えば、海外からの電話を受けながら日本国内では安価なデータ通信を利用できます。

一時帰国前に確認したいスマホの設定と注意点

一時帰国でスマホを快適に使うためには、事前の設定や注意点を確認しておくことが重要です。通信トラブルを防ぎ、スムーズに利用できるよう準備しましょう。

SIMロック解除の確認

海外在住者が日本でSIMカードやeSIMを利用する際、SIMロックの状態を確認する必要があります。SIMロックとは、特定の通信事業者のSIMカードしか使えないよう端末に制限がかけられていること。SIMロックされた状態だと、SIMカードやeSIMで通信できません。

SIMロックされている場合は、現在契約している通信事業者に連絡してSIMロック解除の手続きが必要です。多くの海外キャリアでは、オンラインまたは電話で解除申請ができます。ただし、解除するには条件があったり、時間を要したりすることがあるため、早めに確認しておきましょう。

データ通信量の目安

一時帰国中にどれくらいのデータ容量が必要かを事前に把握しておくと、適切なプランを選びやすくなります。利用シーンごとのデータ容量の目安は、以下のとおりです。

  • SNS・メッセージアプリ
    • 1通あたり:数KB程度(ごくわずか)
    • 1日に100通メッセージを送受信:1MB未満
    • タイムライン閲覧:1時間あたり100MB〜200MB程度
  • 地図・ナビゲーション
    • 1時間使用:20MB〜50MB程度
    • 1日に数回の経路検索:50MB〜100MB程度
  • ウェブ閲覧
    • 画像の多いページを閲覧(1ページ):2MB〜5MB程度
    • 1日に30ページ閲覧:60MB〜150MB程度
  • 動画視聴
    • 標準画質(480p)で1時間視聴:約500MB〜700MB程度
    • 高画質(720p)で1時間視聴:約1GB〜1.5GB程度
    • フルHD(1080p)で1時間視聴:2GB〜3GB程度
    • 毎日2時間動画視聴:1日で2GB〜6GB、2週間で30GB〜80GB前後必要
  • ビデオ通話
    • ビデオ通話1時間:300MB〜500MB程度
    • 音声通話のみ1時間:30MB〜50MB程度

たとえば、2週間の滞在で、毎日Google Mapを30分、SNSを1時間、ウェブ閲覧を30ページ、動画視聴を1時間、ビデオ通話を30分程度利用すると仮定すると、1日あたり約2GB〜3GB、2週間で28GB〜42GB程度必要になります。

動画視聴をほとんどしない場合は、2週間で5GB〜10GBあれば十分です。一方、動画をよく見たり、リモートワークでビデオ会議をしたりする場合は、データ無制限プランをおすすめします。滞在日数や利用シーンに応じた通信容量を把握して、プランを選ぶと安心です。

通信トラブルを防ぐポイント

一時帰国中の通信トラブルを避けるには、スマホの設定や開通のタイミングを確認しておく必要があります。事前準備をしておけば、スムーズにインターネットに接続できるでしょう。

開通のタイミング

SIMカードやeSIMは、いつから通信が開始され、いつから利用期間がカウントされるかを事前に確認しておくことが重要です。ポケットWi-Fiも受け取り日とレンタル開始日を把握して利用する必要があります。

  • SIMカード
    • 多くのSIMカードは、スマホに挿入して電源を入れた時点で開通し、利用期間がスタート。誤って海外で開封・挿入してしまうと、日本に到着する前に利用期間が始まる場合があるので注意が必要
  • eSIM
    • eSIMの多くは、日本国内のネットワークに初めて接続した時点で開通し、利用期間のカウントが開始。ただし、一部のサービスでは、QRコードをスキャンして設定を完了した時点で開通する場合もあるため、購入時に確認が必須
  • ポケットWi-Fi
    • レンタル開始日として指定した日から課金が開始。空港受け取りの場合は受け取り日、宅配受け取りの場合は配送日か、その翌日が開始日となることが多い。予定変更の可能性がある場合は、余裕を持った日程での予約が必要

無駄な料金が発生しないよう、各サービスの開通タイミングを理解して、適切なタイミングで設定や受け取りを行うことが大切です。

対応エリアと通信方式

通信トラブルを防ぐには、利用する通信サービスが対応しているエリアと通信方式(4G/5G)を事前に確認しておくことが大切です。都市部ではほとんどのSIM・eSIM・ポケットWi-Fiが快適に利用できますが、地方や山間部、離島では4G(LTE)までしか対応していなかったり、電波が弱かったりするケースがあります。

5G対応のSIMや端末を使う場合でも、まだ一部地域では利用範囲が限られているため注意が必要です。実家や旅行先が4G/5Gの対応エリアに含まれているか、サービス提供元の公式サイトで確認しておくことをおすすめします。

APN設定

SIMカードやeSIMを利用する際、APN(アクセスポイント名)の設定が必要な場合があります。APNとは、スマホがインターネットに接続するために必要な通信事業者の接続先情報です。APN設定が正しく行われていないと、電波は受信できてもインターネットに接続できません。

大手キャリアの回線を使用する場合、SIMを挿入または設定した時点で自動的にAPNが設定されます。しかし、一部のMVNO(格安SIM)やeSIMでは、手動でのAPN設定が必要です。APN情報の入力ミスは、通信トラブルにつながります。特に、大文字・小文字の違い、スペースの有無、「.」(ドット)の位置などに注意して正確に入力しましょう。

自分に合った方法で快適にスマホを使おう

海外在住者が一時帰国する際、日本でスマホを使う通信手段は、滞在期間、利用目的、同行者の有無、予算などによって最適な選択肢が異なります。空港に到着した瞬間から家族との連絡、移動のナビゲーション、観光情報の検索、SNSでの思い出のシェアまで、適切な通信環境があれば、すべてスムーズに行えるでしょう。

日本での限られた時間を有意義に過ごすためには、事前の準備が非常に重要です。自分の状況に合った通信手段を選び、一時帰国中もストレスなく快適にインターネットを活用しましょう。

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