外国の運転免許証で日本国内を運転できる?外免切替の方法も解説

一般的に外国の運転免許しか持っていない人が日本国内で運転するには、国際運転免許を取得する必要があります。しかし、一部の国の免許であればそのまま運転できたり、日本の免許へ切り替えたりすることも可能です。
今回の記事では、海外から日本への帰国時に、外国の免許で国内を運転したい人に向けて、国際運転免許の取得方法や、3ヶ月ルール、有効期限についてまとめました。ドイツ・フランス・台湾など一部の国の免許で運転できるケースや、外国の免許を日本の免許に切り替える方法(外免切替)についても解説します。
外国の運転免許で日本国内を運転できる?

海外在住の日本人が、外国の運転免許証で日本国内を運転できるかどうかは、免許の発給国がジュネーブ条約に加盟しているかどうかで決まります。加盟国の免許証を持つ場合、運転免許証に加え「日本語翻訳文」や「国際運転免許証」があれば、条件付きで運転可能です。
一方、ジュネーブ条約非加盟国の免許はそのままでは無効なので、切り替え手続き(外免切替)をする必要があります。外免切替は、日本での住民登録の有無や一時帰国の滞在期間にもよっても対応が異なるため、海外在住者は事前の確認が不可欠です。
国際運転免許証を取得しておこう

外国の運転免許証しか持っていない場合、居住している国で国際運転免許証を取得しておくのが確実です。しかし、使用するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。取得したのに運転できないという事態にならないよう、事前に使用条件を確認しておきましょう。
ジュネーブ条約締結国で取得したもののみ有効
日本で運転できる国際運転免許証は、ジュネーブ条約締約国が同条約の様式に基づき発給されたもののみ有効です。ジュネーブ条約締約国であっても、ウィーン条約などの様式で発給された国際免許証では運転が認められません。
国によってはウィーン条約による様式でのみ発給していたり、ジュネーブ条約・ウィーン条約の両方の形式に対応していたりする場合があるため、申請時には確認が必要です。
主要国・地域の国際運転免許証の発給状況は、以下のとおりです。
ジュネーブ条約の様式で発給 | アメリカ合衆国・アルゼンチン・アイルランド・インド・エジプト・オーストラリア・オランダ・カナダ・スペイン・シンガポール・韓国・トルコ・ニュージーランド・マレーシア・香港・マカオなど |
ジュネーブ条約・ウィーン条約 の両様式に対応 | イタリア・英国・オーストリア・ギリシャ・スウェーデン・タイ・チェコ・デンマーク・ノルウェー・ハンガリー・フィリピン・フィンランド・ポーランドなど |
ウィーン条約の様式で発給 | フランス・ベルギー・モナコ・スイス ※ジュネーブ条約加盟国ですが、発給様式には非対応 ※当該国の運転免許証に日本語の翻訳文を添付すれば運転可能 |
参考:警察庁「国際運転免許様式資料(令和7年7月現在)」
有効期間は取得時から1年かつ入国時から1年以内
国際運転免許証の有効期間は、取得後1年以内、かつ入国した日から1年以内と決められています。取得してから数日後に入国(出国)した場合、実際に使用できるのは1年よりも短くなるので注意が必要です。
たとえば、2020年4月1日に取得して4月10日に入国した場合、2020年4月10日から2021年3月31日までの期間だけ使用できます。出入国時は必ずスタンプを押してもらい、帰国日(再上陸日)を証明できるようにしておきましょう。
入国前、取得国に3ヶ月以上の滞在歴があることが原則
国際運転免許証は、日本を出国してから3ヶ月以上海外に滞在していた場合のみ有効(3ヶ月ルール)です。それまで長く海外で暮らしていたとしても、一時的に日本に滞在し、出国から3ヶ月未満の間に取得して再び日本に戻ってきた場合は使用できません。
参考:警察庁「日本で運転できる国際運転免許証」
一部の国の免許証はそのままでも有効

ドイツ・フランス・スイス・ベルギー・モナコ・台湾で発給された運転免許証を持っている場合、次の3つの要件を満たしていれば、日本国内でも運転が可能です。
免許証の日本語翻訳文添付が必須
当該国で発給された免許証の日本語翻訳文が必要です。翻訳文の作成者は、以下のとおり、法令で定められている機関に限定されます。
- 免許証の発給機関またはその国の在日大使館・領事館等
- 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)
- ドイツ自動車連盟 (ドイツ発給免許のみ)
- 台湾日本関係協会(台湾発給免許のみ)
- ジップラス株式会社(台湾発給免許のみ)
日本に入国してから翻訳文を作成したい場合は、JAFのホームページから申請が可能です。JAFでオンライン申請をすると、通常は1週間ほどで通知が届き、コンビニで翻訳文を発行(印刷)する流れで入手できます。JAFでのオンライン申請の詳細は以下のとおりです。
必要書類 | ・外国運転免許証(表・裏両面の画像ファイル/JPEG形式) ・在留カード・住民票またはパスポート (韓国・ミャンマー・アラビア語表記の免許証の翻訳時) ※フィリピン・中国、アフガニスタン、イスラエルは別途書類が必要 |
翻訳文発行料金 | ・日本語翻訳文:4,000円 ・中国語翻訳文:4,400円 ※クレジットカード払い、コンビニでの現金払いのみ |
所要日数 | ・通常、申込みから1週間程度 ・韓国・ミャンマー・アラビア語表記の免許証は2~3週間程度 |
※ JAFの窓口・郵送での申込みは、2025年3月末をもって終了しています。
参考:JAF「翻訳文の申請方法」
有効期間は入国時から1年以内
日本に上陸した日を起算日とし、1年以内であれば運転できます。
日本出国日から3ヶ月以上経過していなければならない
国際運転免許証同様、3ヶ月ルールが適用されます。日本を出国後、再入国するまでの期間が3ヶ月以上経過している場合のみ運転が可能です。
日本の免許証への切り替え(外免切替)も検討しよう

日本に1年以上滞在する場合や、日本と海外を頻繁に行き来する場合には、日本の免許証への切り替え(外免切替)も一つの方法です。免許証を取得した国によって手続きが異なるため、よく確認して検討しましょう。
一部の国等の免許であれば、知識や技能の確認は免除
日本の免許への切り替えにあたり、必要な条件は以下のとおりです。
- 外国で免許を取得後、発給国などに通算3ヶ月以上の滞在実績がある
- 申請時点で外国の運転免許証が有効である(国際運転免許は不可)
- 適性試験をクリアしている
なお、一部の国・地域の運転免許証を所持している場合は、知識や技能の確認が免除されます。通常の免許更新時に行われる講習を受ける必要もありません。
アイスランド・アイルランド・アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る)・イギリス・イタリア・オーストラリア・オーストリア・オランダ・カナダ・韓国・ギリシャ・スイス・スウェーデン・スペイン・スロベニア・チェコ・デンマーク・ドイツ・ニュージーランド・ノルウェ-・ハンガリー・フィンランド・フランス・ベルギー・ポーランド・ポルトガル・モナコ・ルクセンブルク・台湾
知識・技能の確認が免除される国で発給された運転免許証を持っている場合、必要書類の提出だけで日本の免許への切り替えが可能です。書類に不備がなければ、即日または数日以内に交付されます。
アメリカ合衆国(インディアナ州に限る)
技能確認が免除される国の運転免許証を切り替える場合、知識確認と書類審査が必要です。知識確認は、50問中45問以上の正解で合格となります(2025年10月以降)。
免許切替は書類審査と知識・技能確認への合格が必須
知識・技能の確認が必要な国の運転免許証を切り替える場合、書類審査・知識確認・技能確認(実技試験)のすべてに合格する必要があります。不合格になっても再受験できますが、申請手数料を再度支払わなければなりません。
なお、2025年10月以降、道交法施行規則の改正により、各審査や試験が厳格化されます。新規取得時と同様、日本の道路環境や交通ルールに沿った運転技術が問われ、知識確認は50問中9割以上の正解を通過ラインとして基準が引き上げられる予定です。
ホテルなどを滞在先として申請することも不可となり、住民票の写しの提出が求められます。海外転出届を提出し、日本に住民票がない場合は、申請予定の運転免許センターや警察署などに問い合わせましょう。
申請には外国免許証・日本語翻訳文・パスポートが必要
申請時に必要な書類は以下のとおりです。外国の免許証だけでなく、指定機関で翻訳された書類も必要なため、申請前に余裕を持って準備しておきましょう。
有効な外国の運転免許証 | 免許取得日が記載されているもの |
外国免許証の日本語翻訳文 (作成機関指定) | ・当該国の駐日大使館(台湾の免許証:台湾日本関係協会) ・日本自動車連盟(JAF) ・ドイツ自動車連盟(ドイツの免許証のみ) ・ジップラス株式会社 (台湾・米国・ベトナム・中国・フィリピン・香港などの免許証) |
パスポート | 出入国スタンプ(海外滞在歴3ヶ月以上)を確認できるもの |
申請用写真 | 縦3cm×横2.4cm、撮影後6ヶ月以内の写真1枚 |
本籍記載の住民票の写し | マイナンバー(個人番号)が記載されていないもの |
本人確認書類(提示のみ) | 健康保険の被保険者証、マイナンバーカードなど |
日本の運転免許証 | 過去に取得したことがある場合(失効免許証を含む) |
過去の外国の免許証等 | 運転経歴・滞在期間が分かるもの ※初心運転者等に該当するかどうか確認するため |
手数料 | ・試験手数料:2,550円(普通免許の場合) ・交付手数料:2,350円 |
運転免許証の発給国により、必要な書類や証明資料が異なります。事前予約が必要な場合もあるため、申請前に管轄の運転免許試験場に確認しておきましょう。
参考:警視庁
「外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替えるには」
「外国の運転免許をお持ちの方・日本の免許を取得する場合」
「国別必要書類一覧」
交付日から3回目の誕生日の1ヶ月後までが有効
取得した運転免許証は、交付日から3回目の誕生日の1ヶ月後までが有効です。通常の運転免許同様、有効期間満了日直前の誕生日の1ヶ月前から更新ができ、免許の継続期間や交通違反等の有無次第では、有効期間が5年になる場合もあります。
まとめ
外国の運転免許証で日本国内を運転したい場合、発給された国によって対応が異なります。また日本での滞在期間や渡航スケジュールによっても、対応が変わってくるでしょう。それぞれの事情を考慮して適切な方法を選択し、日本での運転を楽しんでください。
