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在留届はいつ出す?留学・駐在・移住時のケース別に提出方法を解説

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「在留届」をいつ出すべきなのか知りたい方も多いでしょう。海外に3か月以上滞在する場合は「在留届」の提出が義務付けられているため、適切な時期に届け出る必要があります。この記事では、留学・駐在・移住のケース別に「在留届」の出し方についてまとめました。在留届の取得方法や必要書類、帰国・転出時の対応方法についても詳しく解説します。

在留届を出す時期

「在留届」は、海外に3か月以上滞在する日本人に義務付けられている届け出です。出発前後のいつ出すべきなのか、「在留届」を提出するタイミングについて説明します。

在留届は日本出発の90日前から提出が可能

「在留届」は、日本を出発する日の90日前から「オンライン在留届(ORRネット)」にて提出が可能です。出国前に余裕を持って届け出を済ませておくことで、現地での生活開始時に余計な手間が省けます。渡航前に「在留届」を提出しておくと、現地の大使館や総領事館から安全情報や災害時の支援をスムーズに受け取れることもメリットです。

「在留届」は現地の居住地が未定でも申請できますが、現地に到着する「到着日」を記入する必要があります。渡航前に届け出る場合は、日本を出国する日(現地到着日)が決まってから申請するとよいでしょう。

出国前に未申請なら渡航後できるだけ早くに提出

「在留届」を提出せずに日本を出国した場合は、現地到着後できるだけ早く提出しましょう。「在留届」の提出期限は決まっておらず、出さなくても罰則はありません。

しかし、提出が遅れると有事の際に支援が受けられなかったり、パスポートの更新などの領事手続きに時間がかかったりする場合があります。台風やハリケーンの接近、現地の重大事件・事故などに関する安全情報も受け取ることができません。

大使館や領事館などの在外公館が提供する安全情報や領事サービスの対象となるためには、滞在先の情報を届け出ることが重要です。オンラインまたは現地の大使館や総領事館の窓口で申請できるので、到着後は速やかに手続きしましょう。

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在留届の提出方法

在留届はオンライン・書面のいずれかで提出できます。出発前または現地到着後の状況に応じて最適な方法を選び、確実に手続きを完了させましょう。

外務省の届出システムからオンラインで提出

オンラインでの提出は、外務省の「在留届電子届出システム(ORRネット)」を利用して行います。日本にいる間に提出できるほか、現地到着後でもインターネット環境が整っていればすぐに申請が可能です。24時間いつでも対応しているため、忙しい渡航準備の合間にも手続きができます。

ORRネットでの登録手順

出国前に在留届を提出する場合、滞在先の住所や連絡先が分からなくても、ORRネットを使って事前に登録できます。特に渡航直前は手続きが立て込むため、早めに対応しておくと安心です。ORRネットでの登録は、以下の順序で進めます。

ORRネット」にアクセスし「在留届を提出する」を選択します。

利用者ID(メールアドレス)を登録し、仮登録を完了します。

登録したアドレスに届いたメールのURLをクリックし、パスワードを入力します。

滞在先の地域、国、州・県・省等を選択します。

滞在先を管轄する在外公館が表示されます(滞在先から自動的に表示)。

現在の状況に合わせて「日本出発前」「在留国に滞在(住所が決定)」「在留国に滞在(住所未定)」の3つから選択します。

各項目を入力もしくは選択し、確認を終えれば登録完了です。家族を追加する場合は、一番下の「家族追加」を選択後に、遷移先のページで各項目を入力すれば完了します。

登録時に入力する項目

「在外届」に登録する内容は、一部の項目を除き、日本出国前と出国後(在留国に滞在中)で違いはありません。申請時に入力する項目を確認しておきましょう。

基本項目
  • 氏名 (ローマ字) :旅券の記載どおりに記入
  • 氏名 (漢字):戸籍に記載されている氏名どおりに記入
  • 旧姓、別姓・別名 (ローマ字):パスポートに旧姓、別姓・別名の記載がある場合は表記どおりに記入
  • 生年月日 :西暦で記入
  • 性別
  • 在留国国籍 :あり/なしから選択
  • 本籍:分かるところまででも可
  • 職業 :民間企業関係者/留学生・研究者・教師/自由業及び専門的職業関係者/報道関係者/政府関係機関職員/その他から選択
  • パスポート情報 :日本のパスポート番号、有効期間満了日
  • 筆頭者メールアドレス :ログイン時のワンタイムパスワード受信に使用
在留に関する項目
  • 滞在目的 :長期滞在/永住から選択
  • 到着日 (※1):在留地に入国した日
  • 滞在期間 :未定の場合は予定の日付でも可。滞在目的が永住の場合は項目なし
  • 在留地の電話番号 (※2)
  • 住所又は一時滞在先の確認 :未定/住所/ホテルなどの一時滞在先から選択
  • 在留地の住所又は一時滞在先等 :未定の場合、滞在国/地域を自動表示
  • 在留地の緊急連絡先 :氏名又は所属先、本人との関係、電話番号、郵便番号、住所、メールアドレスを記入
※1:「入国前申請」「在留国に滞在(住所未定)」で申請時のみ必須
※2:「在留国に滞在(住所が決定)」で申請時のみ必須
日本国内に関する項目
  • 日本国内の連絡先の有無 :あり/なしから選択
  • 日本国内の連絡先 :氏名、本人との関係、電話番号、郵便番号、住所、メールアドレスを記入。連絡先がない場合、記入欄はあるが必須ではない
  • 日本国内の所属先:所属先名、電話番号
※ 必須項目は「太字 

居住地を管轄する在外公館に書面を提出

インターネット環境がない、またはオンライン申請が難しい場合は、在外公館(大使館や総領事館)に直接出向いて書面で提出することも可能です。所定の用紙に必要事項を記入し、本人確認書類(パスポートなど)を添えて提出します。

ただし、書面で提出した場合、オンラインで情報を変更できません。「オンライン在留届(ORRネット)」への切り替えを希望する際には、在外公館での手続きが必要になる場合があります。書面で提出すると、変更事項が生じるたびに在外公館に「変更届」を出さなければならないため、できる限り「ORRネット」で申請しておくと便利です。

【ケース別】在留届の出し方

在留届の提出は、留学・駐在・移住など目的によって必要なタイミングや注意点が異なります。渡航の目的に合わせて適切な提出方法を事前に把握し、安心して海外生活をスタートさせましょう。

留学の場合

留学での海外滞在が3か月を超える場合は「在留届」の提出が必須です。災害やトラブル発生時に安全確保の連絡が届くほか、パスポートを紛失した場合の再発行手続きもスムーズになります。エージェントを通して留学する場合でも「在留届」は個人で提出が必要です。

「在留届」を出すタイミング

留学のために海外へ渡航する場合、できるだけ日本出国前にオンラインで提出を済ませておくと安心です。留学先の学生寮やホームステイ先などの現地住所と、渡航日が決まった時点で「在留届」を提出しましょう。渡航後でも提出は可能ですが、慣れない環境で生活を始めると手続きが先延ばしになりやすいため、事前に届けておくことをおすすめします。

「在留届」の提出に必要な情報

「在留届」の提出には、氏名・生年月日・パスポート番号・現地の住所・連絡先・滞在予定期間(留学期間)などの情報が必要です。国内の緊急連絡先として、日本にいる家族の情報も求められます。

在留地の住所には、留学先の学生寮やホームステイ先などの滞在先を記入してください。在留地の緊急連絡先には、留学先の学校等の情報を記入します。届ける時点で留学期間が未定の場合は予定(留学ビザの期限など)を記入し、必要に応じて滞在期間を変更しましょう。

迷いやすい項目記入例
在留地の住所留学先の学生寮、ホームステイ先、現地のアパートなど
在留地の緊急連絡先留学先の学校、現地エージェント、ホームステイ先など
日本国内の連絡先国内の家族、親族、友人、学校など
日本国内の所属先日本の大学など(所属先がある場合のみ記入)

「在留届」提出時の注意点

ホームステイやシェアハウスなど、1~2か月後に住所が変わる予定であっても、一時的な滞在先を記入して在留届を提出しましょう。住所が変わった時点で変更届を提出すれば、問題ありません。

もし住所未定で提出した場合は、渡航日から3か月以内の提出が必要です。3か月を経過しても滞在先の住所が登録されない場合、「在留届」の情報が抹消される可能性があるので注意してください。

駐在の場合

海外赴任として会社から派遣される駐在員は、会社からサポートを受けられますが、「在留届」の提出は個人の責任で行う必要があります。現地で家族を帯同する場合は、家族全員分の「在留届」を提出しなければなりません。赴任中に住所や任期が変更した場合は、必ず変更届を出し、常に情報を最新に保ちましょう。

「在留届」を出すタイミング

会社から駐在の辞令が出て渡航日と現地の住所が決まった段階で、できるだけ早く提出しましょう。日本出国の90日前から提出できるため、出発準備と並行して進めることをおすすめします。急に派遣が決まった場合など、出発前に提出できなかった場合は、現地に到着してから速やかに提出してください。

なお、赴任者が先に現地に行き、家族が遅れて帯同する場合は、別々に「在留届」を提出します。赴任者の登録時に家族を追加すると、到着日が同日になってしまうためです。赴任者と異なる日に家族が出国する場合、赴任者が筆頭者として先に「在留届」を提出し、家族の渡航日が決まった時点(もしくは現地に到着後)で、筆頭者が家族の分を追加しましょう。

「在留届」の提出に必要な情報

個人の基本情報(氏名・パスポート番号・生年月日)に加え、帯同家族全員の情報も必要です。駐在先の企業・機関名と住所、現地での滞在先、連絡先などが求められます。

会社からの派遣で駐在する場合でも「日本国内の連絡先」には、家族や親族を記入しましょう。家族を帯同する場合には、緊急時に連絡が取りやすく、かつ本人の状況を把握しやすい親族の連絡先を記入します。家族や親族以外では、友人・知人や勤務先の上司・同僚なども可能です。

迷いやすい項目記入例
在留地の住所現地のアパートなど
在留地の緊急連絡先駐在先の企業・機関名など
日本国内の連絡先国内の家族、親族、友人、勤務先など
日本国内の所属先日本の勤務先

「在留届」提出時の注意点

「在留届」の提出・更新は、会社に頼らず自身で責任をもって管理することが大切です。特に、現地でのトラブルや自然災害発生時は、「在留届」の情報をもとにして支援が行われます。家族全員分を忘れずに申請し、勤務中の急な転勤や帰任にも対応できるよう、提出内容を定期的に確認しましょう。

移住の場合

永住や長期滞在を目的として海外に移住する場合も「在留届」の提出が義務です。観光や短期滞在と異なり、生活拠点を国外に移すため、日本政府に滞在先を登録しておくことで、災害や紛争時の支援が受けられます。移住前後で早めの手続きを心がけましょう。

「在留届」を出すタイミング

移住の計画が具体化し、滞在先の住所が決まり次第、できるだけ日本出発前に在留届を提出しておくのが理想的です。オンライン申請を活用すれば、渡航準備中でもスムーズに手続きを完了できます。やむを得ず出発後に提出する場合も、現地に到着してから速やかに届け出ましょう。

「在留届」の提出に必要な情報

「在留届」では、氏名・生年月日・パスポート番号・現地の住所・連絡先に加え、職業欄なども記入します。家族とともに移住する場合は、同居する家族全員分の情報も必要です。

ワーキングホリデー後に現地での就労を目指している場合など、今後の予定が未定なら「在留期間」に予定の日付(ビザの期限など)を記入します。現地での住所が決まっていない場合は、宿泊先のホテルを一時滞在先として登録可能です。住所未定、もしくは一時滞在先を登録した場合は、現地の住所が定まった時点で速やかに登録内容を変更しましょう。

迷いやすい項目記入例
滞在期間長期滞在:未定の場合は予定を記入
永住:記入不要
在留地の住所現地のアパートなど
在留地の緊急連絡先現地に住む家族、親族
現地の勤務先・学校、現地の友人・知人など
日本国内の連絡先国内の家族、親戚、友人・知人など

「在留届」提出時の注意点

長期滞在もしくは移住する場合、定期的な情報更新が求められます。引越しや世帯構成の変化があった場合は、その都度変更届を忘れずに提出しましょう。滞在先を未定とした場合は、到着日から3か月以内に現地住所の登録が必要です。

予定の滞在期間を登録した場合には、滞在終了日の前に更新する必要もあります。滞在終了予定日から1年以上経過しても更新されない場合、転出扱いになることがあるので注意してください。

在留届の提出に関する注意事項

在留届は提出して終わりではありません。住所変更や帰国時には、適切な手続きが必要です。最新情報を届け出ておけば、いざというときの安心につながります。

変更届の提出が必要なケース

在留中に住所や連絡先、同居家族の構成などが変更された場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。外務省の「ORRネット」からオンラインで手続きできるほか、在外公館に出向いて書面での申請も可能です。

とくに長期滞在の場合、引っ越しや携帯番号の変更も起こりやすいため、情報を常に最新に保つ意識が重要です。万が一、災害や事件などが発生した際に、外務省や在外公館からの連絡が正しく届かなくなるリスクもあるため注意しましょう。

帰国・転出届が必要なケース

帰国時や他国への転出が決まった際には「帰国・転出届」の提出が必要です。一時的な帰国であっても、1年以上日本に滞在する場合には、原則として「帰国届」の提出が求められます。届出を怠ると、在外選挙人名簿などの登録情報にも影響する場合があるので注意してください。

「帰国・転出届」も「ORRネット」または在外公館で手続きができます。帰国後にトラブルを避けるためにも、出発前や帰国直後には必ず手続きを済ませておきましょう。特に家族での帰国時は、全員分の情報を正しく申告することが大切です。

帰国届の提出を忘れた場合の対応方法

帰国後に外務省の「ORRネット」や在外公館を通じて、遅れてでも帰国届を提出すれば問題ありません。ただし、提出しないまま放置すると、今後の在外選挙人登録やパスポート申請などで不備となる場合があります。提出することで在留記録が整理され、次回の渡航時にもスムーズな対応が期待できます。

在留届の提出に関してよくある質問(Q&A)

在留届の提出に関してよくある質問をまとめました。

Q
Q1.在留届を出していないとどうなりますか

在留届を提出していないと、災害や事件・事故発生時に外務省や大使館からの支援や安否確認が受けられない可能性があります。選挙人登録やパスポート更新など、ほかの手続きに支障が出る恐れもあるでしょう。万一のためにも「在留届」は忘れずに提出してください。

Q
Q2.滞在期間が3か月未満なら在留届の提出は不要ですか

原則として、滞在が3か月未満であれば在留届の提出義務はありません。3か月未満の場合は「たびレジ」への登録が推奨されています。ただし、長めの滞在予定や予期せぬ延長が見込まれる場合は、提出しておくと安心です。現地で予想外のトラブルに巻き込まれた際にも、支援を受けやすくなります。

Q
Q3.在留地の緊急連絡先が分からないときはどうしたら良いですか

緊急時の連絡に備えるためにも、可能な限り現地の勤務先や学校など、連絡がつきやすい第三者の情報を記載しましょう。在留地の連絡先は、現地の友人・知人でも構いません。難しい場合は、後日わかり次第、情報を追加・変更してください。

Q
Q4.長期間、一時帰国するときには申請が必要ですか

日本での滞在期間が1年未満の場合、転入の届出(住民票の異動)が不要のため、基本的に「帰国届」を提出する必要はありません。ただし、一時帰国が3か月を超える場合や、在留国を一時的に離れる場合は、念のため大使館に報告するのが望ましいでしょう。情報を更新しておけば、何らかの連絡があった際に在留確認ができず、転出扱いになるのを防げます。

Q
Q5.在留届を出すデメリットはありますか

「在留届」の提出後、住所や連絡先が変更になった場合の手続きが手間だと感じる方はいるでしょう。しかし、「在留届」自体には特段のデメリットはなく、個人情報も厳重に管理されます。むしろ、緊急時の支援や安否確認のためには「在留届」の提出が不可欠です。登録しておけば、安心して海外生活を送れるでしょう。

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