本帰国
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海外から本帰国する際にやることは?時系列で必要な手続きを紹介

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海外生活を終えて日本へ本帰国する際には「やること」がたくさんあります。行政手続きから引越し、金融機関の解約、お子さんの学校手続きまで、多岐にわたる準備が必要です。

この記事では、本帰国前の2~3か月前から帰国後まで、時系列に沿って必要な手続きと注意点を詳しく解説します。日本での新生活をスムーズにスタートできるよう、計画的に準備を進めましょう。

この記事でわかること
  • 本帰国の2~3か月前にやること(渡航手続き、引越し準備など)
  • 本帰国の前日~1か月前にやること(行政手続き、金融関係の手続きなど)
  • 本帰国後に日本ですぐにやること(行政手続き、新生活の準備など)
  • 本帰国後に順次やること(確定申告、保険・運転免許の手続きなど)
  • 本帰国をスムーズに進めるためのポイント

※ 本記事は海外在住者の本帰国に関する一般的な情報をまとめたものであり、各種手続きや条件を保証するものではありません。実際の対応内容はお住まいの自治体や関係機関により異なります。最新情報は各自治体・関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

本帰国前は「やること」の把握と早めの準備が重要

海外から日本へ本帰国する際には、想像以上に多くの手続きや準備が必要です。現地での退去手続き、行政関連の届出、金融機関の解約、引越し準備に加え、日本での住まい探しや役所の手続き、子どもがいる場合は学校の手続きなども同時進行で進めなければなりません。

本帰国の直前になって慌てて準備を始めると、書類の不備や期限切れなどのトラブルが発生しやすくなります。本帰国を成功させる鍵は、やるべきことを時系列で整理し、2~3か月前から計画的に準備を始めることです。チェックリストなどを活用してスケジュール管理を行い、余裕を持って早めに準備を進めましょう。

本帰国の2~3か月前にやること

本帰国の2〜3か月前は、航空券や住まい、子どもの学校、引越しなどの主要な準備を始める時期です。早めの行動がスムーズな帰国のカギとなります。

本帰国の2~3か月前にやること

  • 航空券・渡航・帰国手続きの準備
  • 住まい(住居・賃貸)の退去・選定手続き
  • 子どもの教育関連の手続き・入学準備
  • 仕事の退職申出・引き継ぎ
  • 引越しの準備
  • メイド・ハウスキーパーへの連絡

航空券・渡航・帰国手続きの準備

帰国日程が決まったら、まず航空券の予約やパスポートの確認を行いましょう。日本の入国制限や乗継便の最新情報も確認が必要です。

航空券の手配

帰国日が決まったら、できるだけ早く航空券を手配しましょう。早期予約することで料金を抑えられるだけでなく、希望の便や座席を確保しやすくなります。ピーク時は早い段階で満席になりやすいので、少なくとも2か月前には予約しておくのが理想です。

本帰国の場合、大量の荷物を運ぶ必要があるため、受託手荷物の許容量も確認しておきましょう。預け荷物の重量制限は航空会社や路線によって異なります。予期せぬ事情で帰国の日程が変更になることも考慮し、変更・キャンセル規定にも必ず目を通しておきましょう。

パスポートの有効期限を確認

パスポートの有効期限が帰国日まで残っているか、必ずチェックしてください。特に子どものパスポートは5年有効のため、海外滞在中に期限が切れているケースが少なくありません。

有効期限が切れている場合や6か月未満の場合は、現地の日本大使館または総領事館で更新手続きを行いましょう。パスポートの更新には通常1~2週間程度かかるため、早めの対応が必要です。

参考:外務省「海外渡航・滞在 パスポート(旅券)

滞在ホテルの予約

本帰国の前後に宿泊が必要な場合は、早めに予約しておきましょう。現地で住居の退去日と出国日にずれがある場合や、日本で新居への入居まで日数がある場合などに、宿泊が必要になることがあります。

長期宿泊が必要な場合は、ロングステイプランのあるホテルやウィークリーマンションが便利です。帰国後に利用するホテル選びでは、交通機関や役所へのアクセス、荷物を保管できるスペースの有無、宅配便の受け取り可否なども確認しておきましょう。

住まい(住居・賃貸)の退去・選定手続き

現地の住まいの退去手続きと日本での新居探しは、本帰国を準備する中で特に時間がかかります。必要な手続きをよく確認し、計画的に進めましょう。

現地の住まいの退去手続き

現地の住まいを退去する際は、賃貸契約書に記載された退去通知期限を厳守しましょう。多くの国では、1~3か月前までの通知が義務付けられています。保証金(デポジット)の精算条件や退去立会いの日程を確認し、重要事項は書面に残しておくと安心です。

退去時に物件の原状回復が求められ、クリーニングや修繕費用が差し引かれる可能性があることも考慮しなければなりません。持ち家を売却する場合は、不動産エージェントへの依頼から契約完了まで数か月かかることもあるため、早期の準備が必要です。

日本の住まい探し・契約手続き

日本での新居探しは、帰国の2~3か月前から始めることをおすすめします。海外からの物件探しでは、オンライン内見サービスや動画での物件紹介を活用しましょう。希望エリアは、子どもの学区、職場へのアクセス、生活の利便性などを考慮して決定することが重要です。

海外在住者の場合、住民票や収入証明の提出が難しいため、審査が厳しくなる傾向があります。不動産会社に説明し、帰国証明書や内定通知書で代替できるか相談しましょう。事前に賃貸契約を済ませておくと帰国後すぐに入居でき、スムーズに新生活をスタートできます。

子どもの教育関連の手続き・入学準備

子どもがいる家庭では、現地の学校への退学手続きと日本での入学・転入準備が必要です。早期の情報収集と書類準備がスムーズな移行の鍵となります。

現地の学校や幼稚園への連絡

現地の学校や幼稚園には、できるだけ早く帰国の予定を伝えましょう。子どもの年齢や学年によって必要な手続きが異なるため、個別の状況に応じて準備しなければなりません。

日本の学校への転入時は、成績証明書や在学証明書、健康診断書などの提出が求められることがあります。帰国予定地の教育委員会や学校に問い合わせ、現地の学校に必要な書類の発行を依頼しておきましょう。書類によっては公的な翻訳を手配する必要もあります。

塾・習い事への連絡

子どもが通っている塾や習い事(スポーツクラブ、音楽教室、語学教室など)にも、早めに退会を伝えましょう。月謝制の場合は、いつまで支払いが必要か、日割り計算が可能かなどを確認してください。自動引き落としをしている場合は、停止手続きが必要です。

子どもが楽しみにしていた活動を終える際には、最後の発表会などに参加できるよう日程を調整すると良い思い出になります。ピアノや武道など、日本でも続けたい習い事は、現在の進度や使用教材、取得した級などを記録しておくと、教室探しがスムーズになるでしょう。

日本の学校や幼稚園への入学・転入手続き

日本での入学・転入先には、できるだけ早い段階で相談しましょう。公立学校の場合は、住民登録を行う市区町村の教育委員会に連絡し、校区や転入手続きの流れを確認します。

私立学校やインターナショナルスクールへの入学を検討する場合は、各学校に直接問い合わせ、出願資格や選考方法、必要書類を確認してください。受験を検討する場合は、出願期間や試験日程を早急に把握し、帰国時期との調整を行う必要があります。

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参考:海外子女教育振興財団「帰国が決まったら

仕事の退職申出・引き継ぎ

現地企業に勤務している場合、本帰国が決まったら速やかに退職の意向を上司や人事部に伝えましょう。就業規則に従って手続きを進め、退職日までに業務の引き継ぎを完了させます。有給休暇の消化や退職金の精算については、人事部への確認が必要です。

一方、日本企業からの海外赴任者の場合は、赴任期間満了による帰任となるため、会社の指示に従って帰国準備を進めます。帰任する場合も、現地スタッフへの引き継ぎは丁寧に行いましょう。 

引越しの準備

本帰国に伴う引越しには時間と費用がかかるため、早めの業者選定と計画的な荷物整理が不可欠です。船便・航空便を使い分けて効率的に準備しましょう。

引越し業者の手配

海外引越しを専門とする業者から複数の見積もりを取得し、サービス内容と料金を比較検討しましょう。見積もりには、梱包資材の提供、荷造り・荷解きサービス、保険、通関手続き代行などが含まれているか確認してください。引越し業者によっては、不用品の買取や処分サービスも提供している場合があります。

契約前には、補償内容や荷物の追跡システムの有無、日本到着後の配送スケジュールも確認が必要です。繁忙期(春先や夏休み、年末年始)は予約が取りにくいため、できるだけ早めに手配しましょう。口コミも参考にしながら、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

船便・航空便・手荷物の仕分け

引越しの荷物は、船便、航空便、手荷物の3つに仕分けるのがポイントです。「帰国時に持って行くもの」「帰国後すぐ必要なもの」「後から届いてよいもの」で分けてリストを作り、効率的に荷造りを進めましょう。それぞれの特徴を以下にまとめます。

  • 船便:1~3か月所要、費用が安い
    • すぐに使わないものや季節外の衣類、書籍など
  • 航空便:1~2週間所要、費用が高い
    • 帰国後すぐに必要な衣類や日用品など
  • 手荷物:帰国時に持参
    • パスポート、現金、貴重品、重要書類、すぐに必要な着替えなど

電化製品は日本と電圧が異なる場合があるため、持ち帰るか現地で処分するか慎重に判断する必要があります。液体物や危険物は航空便や手荷物として送れないため、事前に業者に確認してください。

参考:NX日本通運「海外引越サービス

メイド・ハウスキーパーへの連絡(雇用している場合)

東南アジアや中東など、メイドやハウスキーパーの雇用が一般的な地域に住んでいる場合は、帰国に伴う解雇手続きが必要です。雇用契約や現地の労働法に基づいた解雇予告期間(通常1か月以上前)を守り、できるだけ早い段階で帰国の予定を伝えましょう。

解雇補償金や未消化の有給休暇の精算も契約内容を確認し、適切に支払いを行うことが重要です。長年勤めてくれた人には、感謝の気持ちを込めた退職金やボーナスの上乗せも検討しましょう。知人に紹介するなど、次の雇用先探しもサポートしてあげてください。

本帰国の前日~1か月前にやること

帰国の1か月前から前日までは、各種解約手続きや行政手続きが本格化します。「チェックリスト」を活用し、漏れのないよう一つずつ確実に進めていきましょう。

本帰国の前日~1か月前にやること

  • 各種行政手続き
  • 金融関係の手続き
  • 各種インフラ・サービスの解約
  • 引越し・車の売却
  • おみやげの購入

各種行政手続き

現地での行政手続きは、出国前に必ず完了させる必要があります。役所、移民局、在外公館それぞれで必要な手続きを確認しましょう。

現地の役所での手続き

本帰国前に現地の税務署や役所で、住民税や固定資産税などの精算手続きを行います。出国日までの税金を正確に計算し、未納分があれば支払いを完了させましょう。過払いがある場合は還付手続きを行い、出国後の還付金受取方法について確認します。

健康保険や社会保険に加入している場合は、解約手続きとともに保険料の精算も行います。パスポートや航空券の予約確認書など、手続きに必要な書類を事前に準備しておくと、スムーズに進められるでしょう。手続き完了後は、受領した書類を大切に保管してください。

移民局・出入国管理所での出国手続き

滞在国の移民局または出入国管理所では、在留資格に関する手続きを行います。本帰国後、一定期間居住国に戻る予定がなければ、在留カードや外国人登録証は返納が必要です。返納しなければ税務上の居住者扱いとなり、税金の申告義務が生じるので注意してください。

将来的に再入国する可能性がある場合は、再入国許可を申請する必要があります。就労ビザや配偶者ビザで滞在していた場合は、ビザのキャンセル手続きを行いましょう。

ただし、国や滞在資格によって必要な手続きが異なります。手続きに時間を要する場合もあるため、余裕を持って進めることが重要です。

帰国届の提出(在留届の取り下げ)

日本大使館または領事館に提出している「在留届」は、帰国時に取り下げる必要があります。本帰国が決まったら、オンライン(在留届電子届出システム・ORRnet)または、窓口で「帰国届」を提出しましょう。

帰国届を提出しないと、緊急時の安否確認に支障が生じ、各種案内も引き続き送られてくる可能性があります。オンライン提出の場合は、事前に登録した情報を更新するだけで完了するので便利です。

金融関係の手続き

現地の銀行口座やクレジットカードを放置すると、年会費の無駄な支払いや不正利用による金銭的被害のリスクが残ります。資金移動も計画的に進め、日本での生活資金をスムーズに受け取れるようにしましょう。

現地の銀行口座・クレジットカードの解約

現地の銀行口座は、すべての自動引き落としや定期支払いを停止してから解約しましょう。口座から引き落とされているものをすべてリストアップし、必要に応じて別の支払い方法に変更します。残高はすべて引き出すか、日本の口座に送金してから解約してください。

帰国後に使用しない現地発行のクレジットカードは、未払い残高がないことを確認してから解約手続きを行います。カード会社によっては帰国後に本人確認が難しくなるため、解約証明書をもらって保管しておきましょう。

現地の口座からの資金移動

海外から日本へ資金を移動する方法は、主に3つあります。

  • 銀行の国際送金サービス
    • 信頼性が高く、送金上限や対応通貨の制限が少ない
    • 複数の手数料がかかり、送金コストが高くなりやすい
  • オンライン送金サービス(Wise、PayPalなど)
    • 手数料が安く、一部サービスは為替レートも有利な場合がある
    • 送金上限額や対応通貨、送金先に制限があり、大口送金には不向き
  • 現地の送金業者の利用
    • 地域によっては、便利でコストも抑えられる場合がある
    • 銀行に比べると信頼性に欠け、セキュリティや詐欺のリスクがある

送金方法によっては数日から1週間程度かかるため、出国日に余裕を持って手続きを開始しましょう。大きな金額を送金する場合は、マネーロンダリング対策として送金理由や資金源の証明が求められることもあります。為替レートの変動にも注意し、有利なタイミングを見計らうことも検討してください。

参考:日本資金決済業協会「新しい資金移動サービスご利用のご案内

各種インフラ・サービスの解約

電気・ガス・水道、インターネット、スマートフォンなど、生活に必要なサービスは出国直前まで必要です。解約するタイミングを明確にし、現地業者への連絡を早めに済ませておきましょう。

電気・ガス・水道などのインフラの解約

電気・ガス・水道などの公共インフラは、退去日に合わせて停止手続きを行います。退去日当日または前日にメーター検針が行われ、最終使用量に基づいて料金が計算されるのが一般的です。立ち会いが必要な場合もあるため、事前にスケジュールを調整しましょう。

解約完了後も料金明細が届くことがあるので、事業者と納付方法を相談することが大切です。前払いしていたデポジットや過払い分がある場合は、返金手続きの方法を確認しておきましょう。解約証明書を発行してもらえば、デポジット精算の証明にも利用できます。

インターネット・テレビサービスなどの解約

インターネットやケーブルテレビ、ストリーミングサービスなどの解約手続きも必要です。契約期間の途中で解約すると違約金が発生することがあるため、規定を確認してください。

レンタルしていたルーターやセットトップボックスなどの機器は、返却する必要があります。返却方法や返却期限を確認し、遅延による追加料金が発生しないよう注意してください。各種サービスは自動更新になっている場合が多いため、確実に停止しておきましょう。

スマートフォンの解約・契約変更

スマートフォンの契約は、完全に解約するか、国際ローミングプランに変更するか選択できます。完全に解約する場合は、契約期間や端末の分割払いが残っていないか確認してください。未払いの残額がある場合は、一括精算が必要になることもあります。

電話番号を維持したい場合や、海外と日本を行き来する可能性がある場合は、最低料金のプランに変更する方法もあります。SIMロックがかかっていない端末であれば、日本でも継続して使用可能です。現地のSIMカードのみ解約し、端末は持ち帰ることも検討しましょう。

引越し・車の売却

引越し荷物の引き渡しと車の売却は、出国直前の重要な手続きです。税関申告書の準備も忘れずに行いましょう。

引越し業者への引き渡し(船便・航空便)

引越し業者への荷物の引き渡しは、出国の1~2週間前に行われるのが一般的です。船便は日本到着まで1~3か月かかるため、先に送り出します。航空便は出国の数日前に引き渡すことが多いでしょう。引き渡す際に、破損や紛失時の補償について再確認しておくと安心です。

日本入国時には税関で「携行品・別送品申告書」を提出する必要があります。本帰国に伴う引越しは、入国後6か月以内に輸入する品物に限り免税の対象です。引越し業者に依頼、もしくはサポートを得ながら適切に作成しましょう。

参考:
税関「別送品手続(渡航先から荷物を送る)」「引越荷物の輸出入手続
クロネコヤマトの海外引越「日本ご到着後の手続きについて

不用品の処分・譲渡

日本へ持ち帰らない不用品は、現地で処分する必要があります。まだ使用できる家具や家電は、リサイクルショップや中古買取業者に査定を依頼しましょう。日用品や子ども用品は、友人に譲ったり、現地のフリマアプリやSNSグループで売却するのも一つの方法です。

買い手が見つからない場合は、現地の廃棄ルールに従って処分してください。大型家具や家電の処分には費用がかかる場合もあります。電化製品は電圧の違いから日本で使用できないこともあるため、持ち帰るかどうか慎重に判断しましょう。

賃貸契約デポジットの精算

賃貸契約時に支払ったデポジット(保証金)は、退去立ち会い後に精算されます。物件に損傷がなければ、全額または大部分が返金されるでしょう。ただし、目立った損傷、清掃不足などがある場合は、修繕費やクリーニング費用が差し引かれます。

デポジットの返金には退去後1~2か月かかることもあるため、返金先の銀行口座を維持するか、家主や管理会社と相談して別の受取方法を決めておきましょう。返金額に納得できない場合は契約書の条項を確認し、必要に応じて交渉することも可能です。

車の売却

車を売却する場合は、早めにディーラーや中古車業者に見積りを依頼し、買取額を比較しましょう。個人売買のほうが高く売れることもありますが、名義変更などの手続きが煩雑になることもあります。売却時には、車両登録証、保険証書、整備記録などの書類が必要です。

売却後は、自動車保険の解約、ナンバープレートの返納、名義変更の確認などを忘れずに行ってください。ローンが残っている場合、一般的に完済後でなければ売却できません。出国直前まで車が必要な場合は、買取業者に引き渡しのタイミングを相談しましょう。

おみやげの購入

本帰国に際して、日本の家族や友人、お世話になった方々へのおみやげを準備しましょう。滞在国の人気商品や、日本では手に入りにくいものの中で「軽くて壊れにくい」「日持ちする」ものが理想です。オンラインで日本への直送を利用する方法もあります。

おみやげは空港でも購入できますが、市中のほうが選択肢が多く、余裕を持って探せるでしょう。重量制限に注意し、超過料金が発生しないよう計画的に購入してください。

参考:税関「海外旅行者の免税範囲」

本帰国後に日本ですぐにやること

本帰国後は、行政・金融・医療など、生活基盤を整えるための手続きを行う必要があります。帰国後1〜2週間を目安に、優先度の高い手続きから計画的に進めましょう。

本帰国後に日本ですぐにやること

  • 市区町村役所での各種手続き
  • 税務署・年金事務所での手続き
  • 銀行口座・クレジットカードの登録手続き
  • スマートフォン・通信環境の整備
  • 子どもの学校・幼稚園の入学・編入準備
  • 新生活の準備

市区町村役所での各種手続き

日本へ帰国してから最優先で行わなければならないのは、転入届の提出と社会保険関連の手続きです。住民登録を済ませることで、健康保険や年金、税金など他の行政手続きもスムーズに進められます。

転入届の提出と住民登録

海外転出届を提出していた場合、帰国後14日以内に居住地の市区町村役場で「転入届」を提出しましょう。住民登録されると、日本国内での行政サービスを受けられるようになります。手続きには、パスポートと印鑑、戸籍謄本または戸籍の附票(本籍地以外への転入時)が必要です。家族で転入する場合は、世帯主がまとめて手続きできます。

参考:中央区役所「転入届:国外から中央区へ住所を変更したとき

健康保険・年金への加入手続き

日本に住民登録をすると、健康保険と年金への加入が義務付けられます。無職または自営業の人は、転入届の提出時に「国民健康保険」と「国民年金」への加入手続きを行いましょう。国民年金に任意加入していた場合は、そのまま継続できます。海外赴任していた人は、勤務先を通じて「健康保険」と「厚生年金」の手続きが行われるのが一般的です。

国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算されますが、海外在住期間が長く所得がない場合は減額される可能性があるため、窓口で相談してください。住民登録されると住民税の課税対象にもなるので、帰国後の所得見込みを含めて確認しておくとよいでしょう。

参考:
日本年金機構「海外への転出/海外からの転入
厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について

国内向けマイナンバーカードの発行

マイナンバーカードは、転入届の提出時に申請が可能です。通常はカードの発行まで1か月程度かかります。しかし、海外から転入した人が帰国後30日以内に申請した場合は、特急発行・交付制度により原則1週間以内にカードの受け取りが可能です。マイナ保険証として利用したい場合は、カードの発行後、マイナポータルや医療機関で登録手続きを行いましょう。

国外転出者向けマイナンバーカードを所持している場合、国内ではそのまま利用できません。転入届の届出日から90日以内に記載事項の変更手続きが必要です。手続きをすることでコンビニでの住民票の取得や、各種行政サービスの電子申請が可能になります。

参考:マイナンバーカード総合サイト「特急発行・交付制度による申請方法

在外選挙人登録証の返納

海外在住中に「在外選挙人登録」をしていた場合は、帰国後に「在外選挙人証」を返納しましょう。転入届を提出してから一定期間が過ぎると、自動的に在外選挙人名簿から抹消されますが、次回の選挙で混乱を避けるためにも返納するのが原則です。

ただし、国内の選挙人名簿に登録されるまで3~4か月かかります。登録されるまでの間に国内で選挙が行われる場合、在外選挙人として登録されている市区町村での投票が可能です。帰国後まもなく選挙の予定がある場合は、選挙後に返納するのが望ましいでしょう。

参考:総務省「在外投票制度

銀行口座・クレジットカードの登録手続き

本帰国後の生活費管理や給与受け取りのために、日本の銀行口座とクレジットカードは欠かせません。海外移住にあたって口座を解約した人は早めに対応しましょう。

銀行口座の開設

日本での生活を再開するには、銀行口座の開設が不可欠です。海外移住時に口座を解約した場合は、できるだけ早く銀行口座の開設手続きを行いましょう。最近ではオンラインで新規の口座を開設できる銀行も増えています。海外の住所で口座を維持していた場合は、住所変更の届け出を行ってください。

国内発行クレジットカードの申請

国内発行のクレジットカードがない場合は、新規発行の申請を行いましょう。国外発行のカードでは利用制限がかかるケースが少なくありません。ただし、日本での信用情報がない場合、審査に時間がかかったり、限度額が低く設定されたりする可能性があります。まずは銀行系のクレジットカードから申請すると、口座保有者として審査が通りやすいでしょう。

参考:全国銀行協会「銀行で口座開設をしよう!

スマートフォン・通信環境の整備

帰国後すぐに必要な通信手段を確保しましょう。一時的なeSIMやプリペイドSIMから始めて、じっくり通信プランを選ぶこともできます。通信契約は本人確認書類と住所登録が必要になるため、転入後に手続きを進めてください。

スマートフォンの契約

帰国後の生活には、スマートフォンが必須です。すぐに携帯電話番号が必要な場合、渡航前に日本向けのプリペイドSIMやeSIMを準備しておけば、到着後すぐに使用できます。

日本の住所への転入手続きが完了したら、大手キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)または格安SIM(MVNO)で正式な契約を結びましょう。契約には、本人確認書類とクレジットカードまたは銀行口座の情報が必要です。海外で使用していたスマートフォンがSIMフリーであれば、日本でもそのまま使用できます。

参考:総務省「携帯電話ポータルサイト

(自宅の)インターネット環境の整備

新しい住まいを契約したら、光回線やWi-Fiルーターなどのインターネット契約も早めに進めましょう。開通まで数週間~1か月かかるケースもあるため、引越し日が決まり次第、手配するのが理想です。すぐにインターネットが必要な場合は、一時的に工事不要のホームルーターやモバイルWi-Fiを活用する方法もあります。

賃貸物件の場合、すでに光回線が導入されていることもあるため、管理会社への確認が必要です。テレワークやオンライン会議が多い場合は、安定した光回線を利用できる環境が望ましいでしょう。Wi-Fi環境が整っていると、スマホのデータ通信料も節約できます。

参考:NTT西日本「インターネット回線申し込みから開通までの5ステップ

子どもの学校・幼稚園の入学・編入準備

子どもがいる場合は、学校や幼稚園への入学・編入手続きを優先的に行いましょう。入学・編入手続きは時期や自治体によって異なるため、必要書類や手続きの流れを事前に把握しておくことが重要です。

学校・幼稚園への入学・編入手続き

公立学校への入学・編入を希望する場合は、住民登録後に教育委員会または学校に連絡し、必要書類を提出します。手続きには、転入学通知書(教育委員会発行)、在学証明書(現地校または日本人学校発行)などが必要です。学期途中でも受け入れてもらえることが多いので、相談の上で編入日を決定しましょう。

私立学校の場合は、空き状況や入学・編入条件、試験の日程などを事前に確認し、学校の指示に従って対応します。幼稚園(一部、認定こども園)も同様に、空きがあれば入園できるでしょう。

認可保育園(一部、認定こども園)は自治体によって申込み条件が異なり、就労証明書などの書類が必要です。空き状況や申込み条件によってはすぐに入園できないこともあるため、入国前から情報を集めておきましょう。

参考:
こども家庭庁「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』
文部科学省「外国から帰国した学齢児童生徒の就学手続について

学用品の準備

日本の学校では、学用品や制服、体育着などが必要になります。学校から指定された学用品のリストに基づいて、必要なものを準備しましょう。制服や体操着、上履き、ランドセルなどは、指定されている場合があります。文房具類は、キャラクターものを禁止している学校もあるため、事前に確認してください。

公立校の場合、教科書は学校から無償で配布されますが、帰国時期によっては自分で用意しなければならない場合もあります。海外の日本人学校で使用していた教科書と同じ場合は、そのまま使用できるので、編入手続き時に確認しておきましょう。

新生活の準備

本帰国後の生活をスムーズに始めるためには、住まい・家具・インフラなどの生活基盤を早期に整えることが重要です。特に家探しや荷物の受け取りは時期によって混み合うため、事前のスケジュール管理が欠かせません。

新しい住まいへの入居

帰国前に賃貸契約を完了していない場合は、まず物件探しから始めます。不動産会社に希望条件(エリア、家賃、間取りなど)を伝え、物件を紹介してもらいましょう。内見して気に入った物件が見つかったら、入居申し込みを行います。

入居審査・申込み時には、住民票、収入証明書、身分証明書、印鑑証明書などが必要なので、帰国後の手続きと並行して進めましょう。契約するには、連帯保証人または保証会社の利用も求められます。審査通過後、賃貸契約を締結して初期費用(敷金、礼金、仲介手数料など)を支払い、鍵の受け渡しが完了すれば入居が可能です。

参考:SUUMO「賃貸の契約手続きに必要なものは?

引越し荷物の受け取り・整理

海外から送った船便や航空便の荷物は、日本到着後に引越し業者から連絡が入ります。到着予定日がわかり次第、配送業者と連絡を取り、受け取り日に立ち会えるよう調整しましょう。荷物の受け取り時には、破損や紛失がないか、荷物リストと照合しながら確認します。

万が一破損や紛失があった場合は、すぐに引越し業者に伝え、保険適用の手続きを行ってください。荷物を整理する作業は時間がかかるため、優先順位を決めて進めるのがコツです。

すぐに使うものから開封し、使用頻度の低いものは後回しにすることで、生活をスムーズに始められます。開封する順番を考えて荷造りしておくと、効率よく進められるでしょう。

家具・家電の購入

住まいが決まったら、生活必需品である家具・家電を揃えます。生活に必須の冷蔵庫、洗濯機、エアコン、照明器具などから購入しましょう。大型家電は、家電量販店の配送・設置サービスを利用すると便利です。

コストを抑えたければ、大型量販店でのセット購入すると割引が適用される場合があります。家電のレンタルサービスを利用して、初期費用を抑えるのも有効です。購入・レンタル時には、部屋のサイズや搬入経路を事前に測定し、適切なサイズの製品を選んでください。

各種インフラの新規手続き

新居への入居が決まったら、電気・ガス・水道などのインフラの開栓手続きを行います。電気と水道は、電話またはオンラインで申し込めば、立ち会い不要で開栓されるのが一般的です。入居日に合わせて使用開始日を指定しましょう。

ガスは開栓時に作業員の立ち会いが必要なため、入居日に合わせて予約が必要です。各インフラ料金の支払い方法は、口座振替、クレジットカード、コンビニ払いなど多様なので、あらかじめ決めておくとスムーズに手続きできるでしょう。

参考:SUUMO「電気・水道・ガスの引っ越し手続き

本帰国後1~3か月以内を目安にやること

生活が落ち着いてきたら、税金の手続き、再就職活動、保険の切り替え、運転免許証の更新などを必要に応じて進めていきます。手続きによっては、対応が遅れると不利益につながることもあるため、予定に組み込んで確実に行うことが重要です。

本帰国後1~3か月以内を目安にやること

  • 税金関連の手続き
  • 仕事探し・再就職活動の開始
  • 保険の加入手続きや切り替え・見直し
  • 運転免許証の切り替え

税金関連の手続き

海外在住中に所得があった場合や、日本国内の不動産収入などがある場合は、確定申告(毎年2月16日から3月15日まで)が必要になる場合があります。日本では1月1日時点で日本に住所のある人が、前年の所得について申告する仕組みです。年の途中で帰国した場合、帰国後の日本国内での所得に加え、海外での所得も確定申告の対象となる場合があります。

税金の仕組みがわからない場合は、税務署の公式サイトなどを参考に、帰国後1年目の課税対象を確認しておきましょう。海外で税金の支払い歴がある場合は「外国税額控除」の対象となることもあるため、管轄の税務署や税理士に相談することをおすすめします。

参考:国税庁「税について調べる

仕事探し・再就職活動の開始

本帰国後に新たに就職先を探す必要がある方は、ハローワークや転職サイト、人材紹介会社を活用して求職活動を開始しましょう。ハローワークでは、求人検索だけでなく、職業相談や職業訓練の情報も提供しています。

転職サイトや転職エージェントは、業界や職種に特化したサービスもあるため、自分のキャリアに合ったものを選びましょう。海外での就業経験は、グローバル企業や外資系企業、貿易関連企業などで高く評価されることがあります。履歴書や職務経歴書には、海外での業務内容や成果を具体的に記載し、語学力や適応力などをアピールするのが有効です。

参考:ハローワークインターネットサービス「仕事をお探しの方へのサービスのご案内

保険の加入手続きや切り替え・見直し

本帰国後は、日本国内で有効な民間保険への加入または切り替え・見直しを検討しましょう。新たに保険に加入する場合は、国民健康保険でカバーされない医療費や将来の老後資金、万が一の際の家族の生活保障などを考慮して、適切な保険商品を選びます。生命保険、医療保険、がん保険、個人年金保険など、複数の保険を組み合わせることも可能です。

住宅を購入する場合は、火災保険・地震保険への加入も検討する必要があります。保険の加入・見直しは、ファイナンシャルプランナーに相談すると、ライフステージや生活スタイルに合った適切なプランを提案してもらえるでしょう。

参考:日本FP協会「FP相談

運転免許証の切り替え

本帰国後に運転を再開するには、運転免許証の有効期限や失効手続きの確認が必要です。海外滞在中に期限が切れていても、パスポートや戸籍謄本などの書類を提出すれば、特例として失効後3年以内の再交付が認められるケースがあります。

海外の運転免許証がある場合は、日本の運転免許証への切り替え手続きが可能です。切り替えが認められる国の免許証であれば、学科試験や実技試験が一部または全部免除されます。過去に日本の運転免許を取得したことがある場合、失効した免許証があれば、適性検査だけで再取得できる場合もあります。住所地を管轄する運転免許センターに確認しましょう。

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参考:警視庁「外国免許・国外運転免許証関係」「海外滞在中で日本の免許をお持ちの方

本帰国をスムーズに進めるための4つのポイント

本帰国の準備から新生活の立ち上げまでは、多くの手続きや段取りが必要です。帰国直前になって慌てないためには、スケジュール管理と情報整理が欠かせません。帰国をスムーズに進めるための実践的なポイントを押さえておきましょう。

本帰国をスムーズに進めるための4つのポイント

  • 時系列に計画を立てて行動する
  • 手続きに必要な書類を一覧でまとめて準備しておく
  • 行政・金融機関・学校などの連絡先をまとめておく
  • 一人で抱え込まず、専門家や経験者に相談する

1.時系列に計画を立てて行動する

本帰国をスムーズに進めるには「いつ」「何を」行うのかを明確にすることが重要です。3か月前・1か月前・帰国直後など、時系列でやるべきことを整理しましょう。「期限がある手続き」から優先順位を設定していくと、効率的に準備が進みます。

計画を立てる際には、予期せぬトラブルに対応できるよう、各タスクに余裕を持たせることもポイントです。タスクごとに締切日を設定し、チェックリストを作成して完了したものを消し込んでいくと、進捗状況が一目でわかり、やり忘れを防げるでしょう。

2.手続きに必要な書類をまとめて準備しておく

各種手続きには多くの書類が必要になるため、事前に一覧表を作成しておくと便利です。主な必要書類には、パスポート、戸籍謄本、住民票、印鑑証明、在留証明、在学証明書(子どもの場合)などがあります。手続きに使う書類は複数の場面で使用することが多いため、必要部数を事前に確認し、まとめて取得しておきましょう。

書類によっては取得に1~2週間要する場合もあるため、早めの手配が必要です。有効期限がある書類は、取得のタイミングも考慮する必要があるでしょう。手続きに使う書類はファイルにまとめて保管し、必要なときにすぐ取り出せるようにしておくことをおすすめします。

3.行政・金融機関・学校などの連絡先をまとめておく

手続きをスムーズに進めるために、関係各所の連絡先を事前に確認し、リスト化しておきましょう。日本の市区町村役所、教育委員会、学校、銀行、保険会社、引越し業者など、各機関の電話番号、メールアドレス、Webサイト、営業時間をまとめておくと便利です。

海外から日本の機関に問い合わせる場合、時差があるため連絡可能な時間帯が限られます。メールでの問い合わせが可能な場合は、返信までの時間も考慮してスケジュールを組みましょう。現地の日本大使館・総領事館、移民局、税務署、銀行などの連絡先も確認しておくこと、帰国直前のトラブルにも迅速に対応できます。

4.一人で抱え込まず、専門家や経験者に相談する

本帰国の準備は想像以上に煩雑で、精神的な負担も大きいものです。一人ですべてを抱え込まず、行政窓口や専門家のサポートを受けながら進めましょう。特に税金や法律に関する問題は、税理士や行政書士、社会保険労務士などの専門家に相談するのがおすすめです。

また、本帰国を経験した友人や知人からのアドバイスも役に立つでしょう。日本人コミュニティやSNSで、同じように帰国した人の体験談を見るのも参考になります。様々なサポートを利用して負担を軽減し、前向きに準備を進めることが大切です。

本帰国はやることを整理して計画的に進めよう

海外生活を終えて日本に本帰国する際は、やることが非常に多く、何から手を付けるべきか迷う人も少なくありません。出国前・帰国直後・生活再開後の各段階で必要な手続きを整理し、一つずつ確実に進めることがスムーズな再スタートの鍵となります。

本帰国は新しい生活を始める第一歩。焦らず計画的に準備を進め、安心して日本での暮らしをスタートさせましょう。

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