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海外在住者が親の死に直面したら?まずすべきことと葬儀の流れを解説

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海外在住中に親が危篤になったり、逝去したりすると、緊急帰国の判断や葬儀の準備、親族との連絡・役割分担など、短期間で多くの対応が必要になります。日本国内に住んでいる場合とは異なり、時差や距離、現地の仕事、家族の事情など、海外在住者ならではの課題も少なくありません。

この記事では、海外在住者が親の死に直面した際にまずすべきことから、日本の葬儀の流れや費用の相場、事前に備えておきたいポイントまで詳しく解説します。

この記事のポイント
  • 海外在住者は親の訃報後、短期間で多くの判断が必要になる
  • 死亡届は7日以内に提出が必要。子以外に親族・同居人・家主も提出可
  • 日本に緊急帰国する際は、航空券や必要書類を早めに確認する
  • 葬儀は宗教・スタイル・費用の違いを理解して選ぶことが大切
  • 時差や距離を考え、親族との役割分担を事前に決めておく
  • 頼れる親族がいない場合は、生前から死後事務委任契約も検討する

※ 本記事は海外在住者が親の死に直面した際の一般的な手続きや葬儀に関する情報をまとめたものであり、個別の状況や最新の制度内容を保証するものではありません。また、法令や行政手続き、各種制度は変更される場合があります。最新情報は、各自治体、外務省、厚生労働省、利用する葬儀会社などの公式情報をご確認ください。

親の危篤・逝去の知らせを受けたらまずすべきこと

海外在住中に日本の親が危篤や逝去したという知らせを受けると、限られた時間の中で多くの判断を迫られます。

特に、海外在住者は時差や距離、帰国準備など日本在住者にはない課題があります。まずは慌てず、現地と日本で役割分担をしながら優先順位を整理することが大切です。

日本国内にいる身内・協力者との連携

海外からすべての手続きを進めることは、現実的ではありません。まずは日本にいる家族・親族・病院関係者などと連絡を取り、誰が何を担当するかを早めに決めましょう。

特に病院への対応や遺体の搬送、役所への届出、葬儀社との打ち合わせなどは、日本国内で動ける人が担当したほうが円滑です。海外在住者は全体の意思決定や費用負担、親族との調整役を担うなど、それぞれの状況に応じて役割を分担することで混乱を防げます。

死亡日時と状況の確認

まず確認すべきなのは、親が亡くなった日時、場所、死因の概要、現在どこに安置されているかなどの基本情報です。亡くなった場所が病院か自宅か、また死亡状況によって、その後の手続きや警察による確認の有無が異なる場合があります。

海外とのやり取りでは、時差により連絡がつきにくかったり、情報が断片的になったりしやすくなります。連絡漏れや情報の重複を防ぐには、電話だけでなく、メールやメッセージアプリを併用してテキストで記録を残すのが確実です。

死亡診断書の受け取りと死亡届の提出

死亡届は、医師が発行する「死亡診断書(または死体検案書)」と一体になっています。親の逝去後、医師が作成した書類を受け取り、遺族が左側の死亡届欄に必要事項を記入して、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場へ提出しなければなりません。

死亡届は、親族のほか、同居人や家主、後見人などが届出人になれますが、実際の手続きは葬儀社のスタッフが代行することがほとんどです。死亡届が役所に受理されると「火葬許可証」が交付され、火葬や葬儀の手続きを進められるようになります。

なお、死亡診断書の原本は役所に提出すると戻ってきません。その後の保険金請求や年金、銀行口座の解約など各種手続きで提出を求められるため、原本を提出する前に必ず複数枚(5〜10枚程度)コピーを取っておくことが重要です。

葬儀の形式・日程の相談

死亡確認後は速やかに葬儀社を決め、遺体の搬送や安置、通夜・葬儀の日程を相談します。

通夜・告別式の日程は、火葬場の空き状況や僧侶など宗教者の都合にも左右されるため、日本側の親族と葬儀社の三者ですり合わせる必要があります。海外在住者がすぐ帰国できない場合は、日本への到着予定日を踏まえ、日程調整ができるか確認しましょう。

また、宗教(仏式・神道・キリスト教など)や葬儀のスタイル(一般葬、家族葬、一日葬、直葬など)によって準備内容や費用は大きく変わります。故人の遺志や家族の希望を尊重しつつ、参列者の規模や自身の帰国スケジュールを考慮して決定することが大切です。

参考:戸籍法「第八十六条・第八十七条」,生命保険文化センター「あらかじめ知っておきたい死亡時の手続き

日本への緊急帰国の判断と航空券の確保

海外在住者にとって最も悩ましいのが、帰国の判断です。航空券の手配状況やフライト時間、現地の仕事、家族の事情によっては、葬儀の日程に間に合わないこともあります。

まずは日本にいる親族と連絡を取り、到着可能な日時を共有しながら、できるだけ早く決断して準備を始めましょう。

居住国への再入国条件や日本入国に必要な手続きの確認

日本への緊急帰国を決めたら、まずは自身のパスポートの有効期限と、現在居住している国での在留資格(ビザ)を確認してください。

  • 居住国への再入国リスク: 日本国籍を持つ方でも、居住国の在留資格(グリーンカードや就労ビザなど)の種類によっては、長期不在にすることで再入国時に条件や制限が生じる場合があります(例:事前に再入国許可の申請が必要な場合など)。
  • 同行する家族のビザ: 日本国籍を持たない現地の家族(配偶者や子供など)が同行する場合、日本への入国査証(ビザ)が必要な国籍・地域があります。

    また、過去に外国の市民権を取得して日本国籍を喪失している方が、日本に長期間(90日以上)滞在する場合も同様に手続きが必要です。

帰国後に元の居住国へ戻れなくなるといったトラブルを避けるためにも、事前に現地の入管当局や、雇用先の法務部・人事部などに確認することをおすすめします。

緊急帰国割引とフレキシブルチケットの検討

特に危篤の段階では、日本への帰国日や滞在期間を正確に決めることが難しいケースが多々あります。そのため、価格の安さだけで航空券を選ぶのではなく、程変更が可能かどうか、また変更手数料の条件はどうなっているかを確認しておくことが非常に大切です。

現在「忌引運賃(Bereavement Fare)」に対応している航空会社は限られています。忌引割引の有無だけに頼らず、復路の日程を柔軟に変更できる「フレキシブル航空券(flexible ticket)」を選択肢に入れることも検討しましょう。

忌引対応の航空会社

※2026年7月時点。利用時は各航空会社の最新情報をご確認ください。

領事館・大使館で必要書類を取得(状況に応じて)

日本に住民票のない海外在住者(非居住者)は、日本での相続手続きや不動産の売却・名義変更を行う際、日本の印鑑証明書や住民票に代わるものとして、在留証明書」や「署名(サイン)証明書」が必要になります。

優先順位の注意点: 親の危篤や葬儀への対応を最優先する場合は、必ずしも日本への出発前にこれらを取得する必要はありません。

現地出発までに時間に余裕がある場合や、葬儀後の手続きを見据えてあらかじめ準備しておきたい場合にのみ、取得を検討するとよいでしょう。事前に取得しておくと、手続きのためだけに居住国と日本を往復せずに済む場合があります。

なお、居住国によっては、外務省の「オンライン在留届(ORRネット)」を利用して、在留証明書をオンライン申請できるシステムも導入されています。在外公館によっては最短即日で交付される場合もあるため、事前に確認しておくと便利です。

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参考:外務省「在外公館における証明

海外在住者が迷いやすい「葬儀」の執り行い方

海外で暮らしていると、日本の葬儀に参列する機会が少なくなり、葬儀の形式や流れに馴染みがないという方も少なくありません。特に親の葬儀では、限られた時間の中で多くの判断が必要になるため、日本の代表的な葬儀の種類や進行の流れを整理しておくと安心です。

葬儀の形式:宗教・宗派に基づく儀式の違い(仏式・神道・キリスト教など)
葬儀のスタイル:葬儀の規模や進め方(一般葬・家族葬・直葬など)の違い

ただし、葬儀の形式や日程に正解はありません。海外在住者は、帰国日程や親族の状況も踏まえながら、故人の希望を尊重して無理のない形を選ぶことが大切です。

葬儀の形式

葬儀の「形式」は、故人や家の信仰する宗教によって決まります。日本の葬儀の多くは仏式ですが、神道やキリスト教式、宗教者を招かない無宗教葬を選ぶ家庭も増えています。

宗教によって儀式の流れや供花、香典、お布施などが異なるため、分からない場合は葬儀社へ相談すると安心です。

仏式

日本で最も多く行われている葬儀形式です。故人が仏となる、あるいは極楽浄土へ往生するといった考えに基づき、僧侶による読経や、参列者による焼香が行われます。

宗派によって焼香の回数や読経の内容、お布施の考え方などが異なりますが、多くは葬儀社や寺院が案内してくれます。先祖代々のお墓があるお寺(菩提寺)がある場合は、事前に宗派を確認しておきましょう。

神道

神道の葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」と呼ばれ、故人を祖先の神として祀る考え方に基づいています。僧侶ではなく、神職(斎主)が祝詞(のりと)を奏上し、焼香の代わりに榊の枝を捧げる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行うのが基本です。

香典にあたる金封は「御玉串料」や「御神前」などと表書きし、蓮の花の絵柄がない不祝儀袋(結び切りの水引)を使う点も仏式との大きな違いです。日本全体では仏式ほど多くありませんが、古くからの習わしを大切にする家庭で選ばれています。

キリスト教

キリスト教の葬儀は、カトリックとプロテスタントで儀式の内容が異なりますが、どちらも故人が神に召されるという考え方が基本です。儀式は主に教会で行われ、聖書朗読や賛美歌(聖歌)、祈りが中心となります。

焼香の代わりに白いカーネーションなどを捧げる「献花(けんか)」を行い、香典の表書きは、両派共通で使える「御花料」とするのが一般的です。カトリックの場合は「御ミサ料」、プロテスタントの場合は「忌慰料(きいりょう)」という表書きも使われます。

無宗教(自由葬)

宗教者を呼ばず、遺族や故人の希望に沿って自由な形式で執り行う葬儀です。読経や焼香といった宗教儀式がない分、お布施が不要(僧侶へ読経のみ依頼する場合などは必要)で費用を抑えやすい一方、音楽葬や献花など、進行内容をすべて自分たちで決めなければなりません。

ただし、先祖代々の菩提寺がある場合、無断で無宗教葬にすると納骨を断られるなどのトラブルに発展することがあります。事前に必ずお寺側へ確認・相談しておくことが重要です。

葬儀のスタイル

近年は家族構成や価値観の変化により、葬儀のスタイルも多様化しています。海外在住者の場合は、帰国日程や参列できる家族の人数なども考慮して選ぶ必要があります。費用面だけでなく、故人や家族の希望、日本にいる親族との話し合いも踏まえて決定しましょう。

項目一般葬家族葬一日葬直葬・火葬式
通夜××
告別式×
火葬
参列者制限なし親族・親しい人親族中心親族のみ
所要日数約2日約2日約1日半日~1日
費用高い中程度やや安い最も安い

一般葬(従来型の標準的なスタイル)

訃報を広く知らせ、参列者を限定しない伝統的な葬儀です。通夜と告別式を2日間かけて行い、多くの参列者の方に最後のお別れをしていただけます。

一方で、参列者への案内や受付、返礼品の準備などに追われるため、遺族の精神的・体力的負担は比較的大きくなります。交友関係が広かった親や、地域社会・親族とのつながりが深い家庭で選ばれることが多いスタイルです。

家族葬(近年の主流・身内中心のスタイル)

家族や親族、ごく親しい友人など、喪主が参列者を限定して執り行う葬儀です。通夜・告別式の基本的な流れは一般葬と同様ですが、気心の知れた身内だけで、落ち着いて故人を見送ることができます。

近年最も選ばれているスタイルですが、葬儀後に訃報を知った方々が、後日自宅へ弔問に訪れ、その対応に追われるケースもあります。滞在期間が限られる海外在住者の場合は、事前に親族間で「香典や後日の弔問を辞退するかどうか」などの方針を共有しておきましょう。

一日葬(日程を短縮したスタイル)

通夜を行わず、告別式と火葬を1日で終える葬儀です。通夜振る舞いにかかる費用などを抑えられ、遠方から参列する親族や知人の宿泊や交通の負担を軽減できるメリットがあります。

ただし、お通夜がない分、海外からの飛行機の手配がタイトなスケジュールになる可能性もあります。また、菩提寺や宗派によっては「通夜を省くこと」に難色を示す場合があるため、必ず事前の確認が必要です。

直葬:火葬式(最も簡素なスタイル)

通夜や告別式などの儀式を一切行わず、火葬のみを行うスタイルです。費用を抑えやすく、非常に短期間で執り行えます。

一方、親族から「きちんとした葬儀をすべきだ」と理解を得られない場合や、十分なお別れの時間が取れずに後悔が残ることもあります。故人の事前の希望や、家族の事情を十分に話し合った上で選択することが大切です。

近年の葬儀の実態

株式会社鎌倉新書(「いい葬儀」運営会社)が実施した「お葬式に関する全国調査(2026年)によると、行った葬儀の種類は以下の通りです。

  • 家族葬:47.0%
  • 一般葬:30.2%
  • 一日葬:11.9%
  • 直葬・火葬式:10.8%
  • その他:0.1%

これまでは「一般葬」が主流でしたが、コロナ禍以降は、身内だけで執り行う「家族葬」を選ぶケースが増えています。

参考:株式会社鎌倉新書「お葬式に関する全国調査(2026年)

葬儀の流れ

葬儀の流れ

最も一般的な仏式の葬儀の流れは、「葬儀前」「通夜・葬儀」「葬儀後」の3つのフェーズに分けて整理すると全体のスケジュールを把握しやすくなります。細かな進行は葬儀社が先導して案内してくれるため、まずは全体像を理解しておきましょう。

葬儀前(ご逝去から準備まで)

親が亡くなると、医師による死亡確認の後、葬儀社が遺体を安置施設や自宅へと搬送します。その後、遺族は葬儀社と具体的な打ち合わせを行い、通夜・告別式の日程、会場、宗教形式、参列者への訃報連絡などを決定します。

海外在住者のポイン

海外在住者は、この短い期間に帰国の可否を判断し、フライトの手配を進めることになります。日本側の親族と密に連絡を取り、決定事項をリアルタイムで共有してもらうことが重要です。

帰国予定日が早めに分かれば、火葬場や式場の空き状況にもよりますが、可能な範囲で日程を調整してもらえる場合があります。

通夜・葬儀(当日の進行)

一般的には、1日目の夕方に「通夜」を行い、2日目の昼前後に「葬儀・告別式」を執り行います。

通夜(1日目)

供花の配置や席次、焼香順の最終確認、僧侶への挨拶(お布施の用意)を経て、通夜が始まります。読経と焼香を行い、閉式後は故人と最後の夜を過ごす「通夜振る舞い(会食)」の席が設けられます。

葬儀・告別式(2日目)

翌日、改めて葬儀・告別式が執り行われます。僧侶による読経、参列者の焼香、弔辞・弔電の紹介が行われ、最後に喪主が挨拶を述べて閉式となり、火葬場へと出棺します。

受付の設営や返礼品の管理、お布施を渡すタイミングなどは葬儀社がサポートしてくれます。海外在住者は、日本側の親族と事前に当日の役割分担(だれが受付を統括するかなど)を決めておくと、当日の負担を大きく減らせます。

葬儀後(火葬から法要まで)

告別式の終了後は火葬場へ移動し、火葬と収骨(骨上げ)を行います。現代の日本の葬儀では、この火葬の前後(精進落としの直前など)に、本来は死亡後7日目に行う「初七日法要」を繰り上げて一緒に済ませてしまうケースも増えています。

その後、遺骨は自宅の後飾り祭壇などに持ち帰って安置し、お亡くなりになってから四十九日(あるいは四十九日より前)に「四十九日法要」を執り行い、お墓へ納骨するのが一般的です。

スケジュールに関するアドバイス

法要や納骨の日程は、日本側の親族や菩提寺(ぼだいじ)と相談して決定します。海外在住者の場合、葬儀の後に一度現地へ戻り、四十九日法要のタイミングで再度日本へ帰国するケースが多く見られます。

ただし、仕事や費用の事情で何度も往復することが難しい場合は、葬儀から数日中に法要を前倒しして行うなど、柔軟に対応してもらえる場合もあります。個々の事情に合わせて、事前に家族とスケジュールをすり合わせておきましょう。

参考:全日本葬祭業協同組合連合会「お葬式をされる方:ご喪家のお手続きの流れ

海外在住者が知っておきたい日本の葬儀事情

海外在住者にとって、日本の葬儀費用や葬儀会社の仕組みは分かりにくく、不安を感じる人も多いでしょう。葬儀は短期間で契約や支払いを行うことが多いため、費用の内訳や葬儀会社の違いを理解しておくことが大切です。

葬儀費用

葬儀費用は、葬儀のスタイルや参列者数、地域によって大きく異なります。海外在住者は、「自身の帰国費用(航空券代など)」や「日本での滞在・宿泊費」なども別途必要なため、日本国内に住む遺族よりも経済的な負担が大きくなりがちです。

葬儀費用の内訳

総額としての葬儀費用は、葬儀社に支払う費用だけではありません。大きく分けると、以下の3つの項目で構成されています。

葬儀一式費用
(葬儀社へ支払う)
祭壇、棺、骨壺、遺影写真、霊柩車、スタッフ人件費など
※火葬料(火葬場へ支払う費用。見積書に含まない場合がある)
飲食・返礼費
(葬儀社または専門業者へ支払う)
通夜振る舞い(通夜の会食)、精進落とし(火葬後の会食)、会葬返礼品、香典返しなど
宗教者への御礼
(僧侶などへ直接支払う)
僧侶へのお布施、戒名(かいみょう)料、お車代、御膳料など

葬儀社の見積書に含まれるのは、基本的に「葬儀一式費用」と「飲食・返礼品の一部」までです。「宗教者への謝礼」は、喪主が直接現金で手渡しするため、葬儀社の見積書には記載されません。 謝礼は通夜や葬儀の当日に「現金」で包むのが一般的です。

見積書チェックの注意点

葬儀社から提示される見積書を確認する際は、基本料金だけでなく「追加費用(会葬者の増減による変動など)」も含めて確認し、後から予想外の請求が発生しないよう注意しましょう。

可能であれば、最初から複数の葬儀社にコンタクトを取り、相見積もり(複数社からの見積もり)を取って比較検討することをおすすめします。

葬儀費用の相場(2026年最新データ)

葬儀費用は、葬儀の規模や地域によって大きく異なります。一般的に、一日葬や直葬(火葬式)は費用を抑えやすく、一般葬は参列者が多い分、総額が高くなる傾向があります。

前述した「お葬式に関する全国調査」によると、日本の葬儀にかかる全体の平均総額は 96.73万円です(※宗教者への謝礼を除く)。それぞれの費用の内訳と、スタイル別の相場は以下の通りです。

【費用の内訳(平均)】

項目平均費用
基本料金(一式費用) 約72万円
飲食費 約12万円
返礼品費約13万円
総額平均約97万円

【葬儀スタイル別の費用相場】

葬儀スタイル平均費用
一般葬儀 約122万円
家族葬 約96万円
一日葬約74万円
直葬・火葬式約50万円

※実際の費用は、公営火葬場(費用が安い)か民間火葬場か、また地域や参列人数によっても変動します。

参考:
全日本葬祭業協同組合連合会「葬儀の費用を徹底解説
株式会社鎌倉新書「お葬式に関する全国調査(2026年)葬儀費用の平均相場はいくら?

葬儀会社の種類と選び方

日本の葬儀会社にはさまざまな種類があり、サービス内容や料金体系も大きく異なります。万が一、親が急逝された場合は、非常に短い時間で依頼先を決めなければなりません。事前にそれぞれの特徴を知っておくと、いざというときに冷静に判断できるようになります。

葬儀会社の種類

葬儀社は主に「葬儀専門業者」「互助会」「協同組合系(JA・生協)」の3種類に大別され、それぞれ費用や対応範囲が異なります。近年は「葬儀仲介サービス」を通して、葬儀社を選ぶ遺族も増えています。

種類メリット注意点
一般葬儀社
(大手・地域密着型)
・大手は24時間対応や豊富なプランがあり安心感がある
・地域密着型は地域の風習や火葬場事情に詳しく、柔軟な対応が期待できる
・大手はプランによって費用が高くなる場合がある
・地域密着型は対応エリアが限られることがある
互助会・会員向けの割引や特典が利用できる
・毎月積み立てるため、葬儀費用の準備がしやすい
・積立金だけでは費用を賄えない場合がある
・オプション追加で費用が高くなることがある
JA・生協などの
協同組合
・料金体系が比較的明確で利用しやすい
・地域密着型のサポートを受けられる
・利用条件やサービス内容は地域によって異なる
・組合員資格が必要な場合がある
葬儀仲介サービス・複数の葬儀社を比較しやすい
・希望する地域や予算に合った葬儀社を探しやすい
・実際に葬儀を行うのは提携先の葬儀社
・契約内容や追加料金を事前に確認する必要がある

葬儀会社の選び方

海外在住者は、日本への帰国まで時間がかかるため、日本に頼れる親族がいない場合、現地から電話やメールなどだけで葬儀会社を探さなければならない可能性もあります。葬儀会社を選ぶときは、主に以下のような点をチェックしたうえで検討しましょう。

  • 希望する規模(家族葬や一日葬など)に合うプランがあるか
  • 見積書の内訳が明確か(基本セットに含まれるものと、オプションになるものが区別されているか)
  • 「どういう場合に追加料金が発生するか」の事前説明があるか
  • 電話やメールでの担当者の対応が迅速かつ親切か
  • インターネット等で実績や実際の利用者の口コミを確認できるか

葬儀会社は、料金の安さだけで選ぶのではなく「メール等で迅速に見積もりをくれるか」「説明が分かりやすいか」といったサポート体制を重視することが大切です。

知っておきたい日本の葬儀社の実態

現在、日本では葬儀社を開業するために特別な国家資格や許可制度は設けられていません。開業届を出せば誰でも「葬儀社」を名乗ることができるため、信頼できる業者を遺族自身の目で見極めることが極めて重要になります。

参考:全日本葬祭業協同組合連合会「葬儀社選び

葬儀プランとオプションの注意点

葬儀費用は、基本プランの料金に加え、病院からの搬送距離、祭壇・棺・遺影・骨壺のグレードなどによって細かく変動します。

一般的な基本プランには棺や祭壇、遺影、骨壺などが含まれていますが、「搬送距離の延長」「火葬までの安置日数の延長」「ドライアイスの追加」「供花(くげ)」「会食代」「返礼品」などは基本的に別料金(オプション)となります。

また、火葬場には公営と民間があり、利用料金や予約の取りやすさに差があります。契約前に必ず「プラン外で追加料金が発生する条件」を葬儀社に確認しておきましょう。

葬儀費用の補助制度

故人が日本で加入していた公的医療保険に応じて、葬祭費や埋葬料などが支給され、葬儀費用の一部に充てることができます。

制度名支給額の目安対象となる方
(故人の加入保険)
申請期限
葬祭費 概ね3万~7万円程度
(自治体による)
国民健康保険、後期高齢者医療制度の加入者被保険者(本人)が亡くなってから2年以内
埋葬料(費)
家族埋葬料
一律5万円
(条件による※)
健康保険(社会保険)の被保険者(本人)またはその被扶養者葬儀が終わってから2年以内
葬祭扶助火葬等にかかる最低限の実費生活保護受給者など、経済的に困窮している世帯故人の葬儀を行う前
※健康保険の種類や状況によって支給要件が異なります。

葬祭費や埋葬料の申請を親族に代理依頼する場合、自治体や健康保険組合によって必要書類が異なりますが、葬儀の領収書や会葬礼状などの提出を求められる場合があります。

あらかじめ委任状の書き方などを自治体や健康保険組合のウェブサイトで確認し、早めに手続きを進められるよう準備しておくと安心です。

参考:協会けんぽ「埋葬料・埋葬費」,終活協議会「葬儀費用の補助に使える公的な制度

海外在住者が親の万が一に備える方法

親の危篤や訃報を受けてからすべての準備を始めようとすると、海外在住者は時間や物理的な距離の制約から、十分に対応できないことが多々あります。

だからこそ、親がまだ健康で元気なうちに家族で話し合い、役割分担や支援体制を整えておくことが大切です。事前に備えておけば、万が一の事態が起きた際の遺族の精神的・経済的な負担を大きく軽減できます。

親の希望(葬儀や遺言)を確認しておく

親が元気なうちに、葬儀や供養方法の希望を確認しておくことが重要です。希望する宗教、葬儀の規模(家族葬など)、菩提寺(ぼだいじ)との付き合いの有無、納骨先などを事前に共有しておけば、遺族が短期間で多くの判断を迫られる負担を最小限に抑えられます。

意思や希望を書き残す手段として「エンディングノート」の活用は非常に有効です。延命治療の希望や葬儀のスタイル、遺品整理の方針などを整理しやすくなります。

エンディングノートに関する注意点

エンディングノートには法律上の効力がありません。そのため、財産の具体的な分け方や遺産相続の指定など、法的な効力を持たせたい重要な事項については、生前に「遺言書」を作成してもらうこともあわせて検討しましょう。

きょうだい・親族に相談しておく

親の体調が安定しているうちに、きょうだいや親族と万が一の対応について話し合っておきましょう。誰が病院へ向かうのか、誰が葬儀社と連絡を取るのか、誰が海外に住む家族へ連絡するのかなど、役割を決めておくだけでも混乱を防げます。

親の近くにきょうだいがいない場合は、近隣に住む親族や信頼できる知人に協力をお願いできるか相談しておくと安心です。連絡先(電話番号・メールアドレス・LINEなど)を一覧にまとめ、緊急時にすぐ連絡できる体制を整えておくとよいでしょう。

国内代理人の選定(死後事務委任契約の検討)

日本国内に頼れる親族がいない、あるいは親族が高齢で動けないといった場合は、民間の身元保証会社や弁護士・司法書士などの専門家を「国内代理人」として選び、日本国内での実務手続きを支援してもらう方法があります。

特に、親に万が一のことがあった際、すぐに日本へ帰国して動くことが難しい場合に有効なのが「死後事務委任契約」です。

これは、お亡くなりになった後の諸手続き(遺体の引取り・安置、葬儀・火葬の手配、役所への届出など)を第三者に委任する契約ですが、必ず親の生前に締結しておく必要があります。

1.身元保証会社

死後事務委任契約の内容に応じて、病院からの遺体の搬送、葬儀の手配、死亡届の提出手続きの支援など、葬儀に関する各種手続きを幅広くサポートしてくれる民間サービスです。

対応できる範囲やプラン、預託金・保証料などの費用体系は事業者ごとに大きく異なるため、契約前に複数社を比較することが重要です。法律にかかわる手続きの支援は、弁護士や司法書士などの士業と連携しましょう。

参考:厚生労働省「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン

2.士業(弁護士・行政書士・司法書士・税理士)

法律や相続、不動産、税務など、専門的・法的な手続きの支援は各専門家(士業)に依頼するのが基本です。それぞれの士業ごとに法律で定められた専門領域があるため、目的に応じて適切な依頼先を選びましょう。

弁護士 遺言書の作成、相続人間でのトラブル解決(遺産分割協議の調停、遺留分請求など)
行政書士 死後事務委任契約の起案・作成、各種行政手続き、遺産分割協議書の作成、戸籍の収集
司法書士 不動産の相続登記(名義変更手続き)、死後事務委任契約の引き受け
税理士 相続税の試算、相続税・贈与税の申告

海外在住者こそ早めの準備を

遠く離れた海外で暮らしながら、日本の親の「そのとき」を迎えることは、誰にとっても大きな不安を伴うものです。

しかし、日本の葬儀事情や帰国時の注意点をあらかじめ知っておき、元気なうちに対策を立てておくことで、いざというときに慌てず、大切な親との最後の時間をしっかりと見送ることができます。

親の死は突然訪れることも少なくありません。海外在住だからこそ「まだ早い」と考えず、親の希望の確認、親族との役割分担、緊急帰国や葬儀への備えなど、できることから少しずつ準備を始めておきましょう。

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監修者
海外暮らしINFO
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海外在住歴20年以上の運営者が、実体験や海外在住者の声、公的機関の情報をもとに、海外からでも具体的に行動できる情報をわかりやすく解説しています。
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