一時帰国

海外在住者が免許更新を前倒しする場合の必要書類と手続き方法を解説

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海外在住者にとって、日本の運転免許の更新は大きな悩みの種となります。一時帰国のタイミングと免許更新の時期が合わない場合は、期間前に前倒しで更新をするのも一つの方法です。

この記事では、海外在住者が前倒しで免許を更新する方法や必要書類、期限前更新時の有効期限についてまとめました。免許が失効した場合に再取得するための手続きも詳しく解説します。

海外在住者が前倒しで免許を更新するには

海外に長期滞在している方にとって、日本の運転免許の更新は計画的に行う必要があります。通常の更新期間に帰国できない場合でも、一定の条件を満たせば前倒しでの更新が可能です。前倒し更新の具体的な条件や手続きについて確認しましょう。

運転免許の前倒し更新とは

運転免許の前倒し更新とは、本来の更新期間(誕生日の1か月前から誕生日後の1か月以内)より前に手続きを行い、有効期間を延長することです。海外在住者は、一時帰国のタイミングに合わせて更新時期を前倒しできる特例が設けられています。

免許更新のためだけに一時帰国する必要がなく、事前に準備して手続きができるため、海外在住者にとっては非常に便利です。日本を離れる前に更新することで、現地滞在中に免許が失効するのを防げます。

参考:海外滞在中で日本の免許をお持ちの方

前倒しでの免許更新に必要な条件

前倒しで更新するには、いくつかの条件を満たす必要があります。対象者や更新可能な期間について正確に把握しておきましょう。

対象者:通常の更新期間に出国している人

前倒し更新の対象となるのは、通常の更新期間に出国していて日本にいないことが予想できる人です。主に以下のような人が該当します。

  • 海外赴任している会社員とその家族
  • 外交官や海外駐在員とその家族
  • 外国の教育機関に長期留学している学生
  • 国際結婚などで海外に居住している人
  • 海外に長期滞在(3か月以上)していることが証明できる人

前倒し更新の条件として重要なのは「やむを得ない事情がある」ことです。公的文書などにより、やむを得ない事情であることが客観的に認められなければなりません。自身が該当するかどうかを確認したい場合は、事前に所轄の免許センターに問い合わせましょう。

更新受付期間:有効期間内ならいつでも可能

通常、免許更新は誕生日の前後1か月以内に行います。しかし、海外在住で期間内の手続きが難しい場合、運転免許の有効期間内であれば、いつでも前倒しで更新が可能です。一時帰国のタイミングに合わせて任意の時期に更新できます。

留学や海外赴任などにより、通常の更新期間に日本にいないことが予想される場合も、渡航前に更新が可能です。ただし、地域によって判断が異なる場合があるため、事前に運転免許センターや警察署に確認することをおすすめします。

免許更新を前倒しした場合の有効期限

免許証の有効期限は「免許保有者の誕生日」を基準とします。運転免許の更新期間は誕生日の前後1か月のため、通常更新の場合、免許区分ごとの有効期間(3年~5年)+誕生日から1か月後が有効期限です。

しかし、通常の更新期間前に手続きをした場合、1回目の誕生日を迎えた時点で1年を経過したものとみなされるため、通常の更新よりも有効期間が短くなります。運転者区分ごとの有効期間は以下のとおりです。

区分期間前更新時の有効期限
優良運転者・一般運転者(~70歳)更新手続き日から5回目の誕生日+1か月
違反運転者・初回更新者(年齢問わず)更新手続き日から3回目の誕生日+1か月

たとえば、免許保有者の誕生日が11月10日、免許の有効期限が2025年12月10日だとします。通常の更新期間である2025年10月10日~12月10日に更新した場合と、前倒しで2025年6月10日に更新した場合の有効期限は以下のとおりです。

区分通常更新時の有効期限
(2025/10/10~12/10更新)
期間前更新時の有効期限
(2025/6/10更新)
優良運転者
一般運転者
2030年12月10日
(有効期間5年)
2029年12月10日
(有効期間4年6か月)
違反運転者
初回更新者
2028年12月10日
(有効期間3年)
2027年12月10日
(有効期間2年6か月)

前倒しでの更新は帰国のタイミングに合わせられるというメリットがある一方で、有効期間が短くなるというデメリットがあります。可能な限り、更新期間に一時帰国して手続きをするのがおすすめです。

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前倒しで免許更新をする具体的な手続き

前倒しで免許を更新するには、通常の更新手続きに加えて海外在住を証明する書類などが必要です。前倒しでの更新時に必要な書類や更新の流れ、注意点について詳しく解説します。

必要書類

前倒しでスムーズに手続きを進めるには、必要な書類をしっかり準備することが重要です。海外在住者が期間前更新をするときに必要な書類と、注意点を確認しておきましょう。

有効な運転免許証

更新手続きには、現在所持している有効な運転免許証が必須です。紛失している場合は、まず再発行の手続きを済ませる必要があります。免許証は本人確認および更新対象の確認に使用されるため、原本を持参しなければなりません。有効期限内であることが前提のため、失効している場合は更新ではなく再取得手続きが必要です。

やむを得ない理由を証明する書類

前倒し更新には、やむを得ない事情を証明する書類が必要です。パスポート以外に、渡航予定が近いことを証明する航空券の写しや、海外勤務命令書、入学許可証などが補足資料として求められる場合もあります。

海外在住者が一時帰国して更新する場合は、パスポートに帰国のスタンプをもらっておくと安心です。海外在住であることの証明として、在外公館が交付する「在留証明書」が必要になる場合もあるので、管轄の運転免許センターに確認しておきましょう。

一時帰国証明書(滞在証明書)

日本に住民票がなく、運転免許に記載の住所と滞在先が異なる場合は「一時帰国証明書(滞在証明書)」が必要です。

滞在証明書
出典:警視庁

「一時帰国証明書(滞在証明書)」とは、海外在住者が一時的に日本に滞在していることを証明する書類であり、以下の項目を記載する必要があります。

滞在証明書に記載する項目
  • 一時帰国者の氏名、生年月日
  • 一時帰国時の滞在先住所
  • 一時帰国時の滞在期間(上記住所に滞在する期間)
  • 一時帰国者と滞在証明をする人の関係(続柄)
  • 滞在証明をする人の氏名、住所
  • 滞在証明書の作成年月日

都道府県によっては、以下の情報も必要になる場合があります。

  • 一時帰国者の居住国および居住開始日
  • 滞在を証明する人の連絡先(電話番号)

「一時帰国証明書」の提出時は、滞在を証明する人の氏名・住所がわかる身分証明書のコピーも必要です。滞在先が家族や知人宅の場合、証明をする人は世帯主でなければなりません。場合によっては、更新手続き時に同行が必要な場合もあります。

「一時帰国証明書」の用紙は、警察庁または各都道府県警察のホームページからもダウンロードが可能です。滞在先の都道府県警察ホームページで確認してください。

免許更新の流れ

前倒し更新の基本的な手続きの流れは次のとおりです。

事前予約

一部の運転免許センターでは予約制を導入しています。とくに海外在住者の前倒し更新は特例のため、事前に電話で確認または予約をするのが確実です。地域によっては、特定の運転免許センターでのみ前倒し更新を受け付けている場合があるため、必ず確認してから訪問しましょう。

運転免許センターへの来所・受付

必要書類を持参し、運転免許センターの窓口で「海外渡航による前倒し更新」を希望する旨を伝えましょう。やむを得ない事情であることが認められ、書類に不備がないことが確認できれば、更新手続きを進められます。

申請書の記入

窓口で配布される更新申請書に必要事項を記入します。更新申請書のほかに、一定の病気の有無などを確認する「質問票」の提出も必要です。申請書とあわせて作成しましょう。

証紙の購入

更新手数料として申請書に貼付する「収入証紙」を購入します。更新手数料は、優良・一般などの講習区分や運転免許の種類(運転免許証、マイナ免許証)によって異なるため、よく確認しましょう。多くの場合、申請書の提出時に案内されますが、わからない場合は窓口の係員に確認してください。

適性検査

更新時には視力検査があります。普通第一種免許の場合、両眼で視力0.7以上または片目で0.3以上ない場合は、眼鏡やコンタクトレンズの装用が必要です。条件付きの免許証を更新する場合は、必ずメガネやコンタクトレンズを持参しましょう。

写真撮影

一部の運転免許センターでは、新しい免許証用の写真撮影を行います。写真撮影が実施されない運転免許センターで更新する場合は、6か月以内に撮影された証明写真(縦3cm×横2.4cm)が必要です。

更新時講習の受講

免許証の区分に応じた講習を受講します。講習時間は優良運転者30分、一般運転者1時間、初回更新者・違反運転者は2時間が目安です。講習開始時間があらかじめ決まっている場合もあるため、事前にスケジュールを確認し、余裕を持って来所しましょう。

免許証交付

講習終了後に新しい免許証が交付されます。運転免許証の記載内容に間違いがなければ、手続きは完了です。旧免許証は講習前後に返納します。

免許更新時の注意点

前倒し更新では、申請理由が適切でない場合や書類に不備がある場合、手続きが認められない可能性があります。前倒し更新の具体的な手続きは、各都道府県の公安委員会によって対応が異なる場合もあるため、事前に確認することが重要です。

書類の不備や混雑状況によっては、当日に手続きが完了しない場合があります。出国直前に手続きをすると、新しい免許の交付に間に合わない可能性もあるため、余裕を持って計画的に更新手続きを行うことが大切です。

免許失効後に再取得する具体的な手続き

運転免許の更新期間に一時帰国できず、免許が失効してしまった場合でも、一定の条件下であれば再取得が可能です。失効後の経過期間によって条件が異なるため、それぞれのケースに分けて解説します。

免許失効後6か月以内の場合

運転免許の有効期限が切れてから6か月以内であれば、簡単な手続きで再取得が可能です。通常の更新よりは書類の準備に手間がかかりますが、学科試験や技能試験は免除されます。

再取得の条件

免許の失効後6か月以内に更新できるのは、失効理由が「やむを得ない事情」である場合のみです。海外在住者の場合、通常の更新期間中に一時帰国できず、海外に滞在していたことを証明する必要があります。再取得できる条件は以下のとおりです。

  • 有効期限切れから6か月以内であること
  • 失効した運転免許証を保持していること
  • 海外在住の理由で更新できなかったことを証明できること

上記の条件を満たしていれば、講習の受講と適性検査(視力検査など)のみで再取得できます。しかし、証明が不十分な場合は、運転試験の一部または全部を再度受けなければならないこともあるため注意が必要です。

必要書類

運転免許の失効後6か月以内に更新する場合の必要書類は、以下のとおりです。

必要書類
  • 更新申請書(一定の病気に関する質問票を含む)
  • 旧免許証
  • 6か月以内に撮影した証明写真(免許センターで撮影する場合は不要)
  • やむを得ない理由(海外滞在等)の事実を証明する書類
  • パスポート(一時帰国での更新時は、出入国のスタンプが押されたもの)
  • 一時帰国証明書(証明者の身分証明書のコピーも必要)
    • 住民票の除票、戸籍の附票等が求められる場合もあり

やむを得ない理由が海外滞在の場合、事実を証明できる書類は、パスポートの出入国スタンプ、在留証明書、駐在証明書、搭乗券の半券などが該当します。

入国時に顔認証ゲートを通過し、パスポートにスタンプを押印されなかった場合は、出入国管理庁に「出入国(帰国)記録」の開示請求を行い、証明書類を発行してもらうことも可能です。都道府県によって必要書類が異なる場合もあるため、必ず所轄の免許センターに確認しましょう。

再取得手続きの流れ

手続きは通常の免許更新と同様、運転免許センターにて行います。窓口で失効の理由を説明し、必要書類を提出して再取得が認められれば、手続きが可能です。視力などの適性検査を受けたのち、講習を受講すれば、再交付された免許証を受け取れます。

手続きは通常、当日中に完了しますが、混雑状況や講習のスケジュールによっては、交付が翌日以降になる場合もあります。事前予約が必要な地域もあるため注意が必要です。

免許失効後6か月経過、3年以内の場合

運転免許の失効から6か月を過ぎていても、3年以内であれば再取得が可能です。ただし、学科・技能試験の免除対象には条件があります。

再取得の条件

免許の失効後6か月を過ぎて再取得を希望する場合は、やむを得ない事情がなくなってから1か月以内に手続きが必要です。海外滞在により更新できなかった場合、一時帰国をしたときが、やむを得ない事情がなくなったときとみなされます。免許失効後6か月〜3年以内に再取得できる条件は以下のとおりです。

  • 有効期限切れから3年以内であること
  • 一時帰国した日(入国日)から1か月以内であること
  • 失効した運転免許証を保持していること
  • 海外在住の理由で更新できなかったことを証明できること

失効の理由が海外滞在などのやむを得ない事情であり、一時帰国後1か月以内であれば、学科試験・技能試験は免除されます。1か月を過ぎると通常の「新規取得」扱いになり、試験を受ける必要があるので注意しましょう。

必要書類

運転免許の失効後6か月〜3年以内の再取得に必要な書類は、以下のとおりです。

必要書類
  • 更新申請書(一定の病気に関する質問票を含む)
  • 旧免許証
  • 6か月以内に撮影した証明写真(免許センターで撮影する場合は不要)
  • やむを得ない理由(海外滞在等)の事実を証明する書類
  • パスポート(一時帰国での更新時は、出入国のスタンプが押されたもの)
  • 一時帰国証明書(証明者の身分証明書のコピーも必要)
    • 住民票の除票、戸籍の附票等が求められる場合もあり

免許の失効後3年以内の手続きに必要な書類は、失効6か月以内に申請する場合と同様です。ただし、出入国管理庁に「出入国(帰国)記録」の開示請求をすると時間がかかり、更新期間(入国日から1か月以内)を過ぎてしまう可能性があります。入国時には必ずスタンプを押印してもらいましょう。

再取得手続きの流れ

運転免許の失効3年以内に再取得を申請した場合も、手続きの流れが通常の更新と変わりありません。再取得は「特例更新」として処理されるため、受付時に「やむを得ない事情」で更新できなかったことを証明する書類を提出してください。

やむを得ない事情が認められ、適性検査と特定失効者に対する講習を終えれば、免許証が再交付されます。海外滞在していた事実の確認手続きなどに時間がかかることもあるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

参考:警察庁「有効期間の満了により免許が失効した場合

海外在住者の免許更新に関してよくある質問(Q&A)

海外在住者の免許更新に関してよくある質問をまとめました。

Q
Q1.代理人による免許の前倒し更新はできますか

原則として、運転免許の更新は本人による申請が必要です。代理申請は認められていません。本人確認や適性検査、講習の受講が求められるためです。一時帰国が難しいなど、やむを得ない事情がある場合は、事前に所轄の免許センターに相談してみましょう。

Q
Q2.免許記載の住所地以外で前倒し更新はできますか

基本的には、免許証に記載されている住所地を管轄する運転免許センターでの手続きが原則です。ただし、一定の条件を満たす場合に限り、例外的に他の都道府県の公安委員会を経由して手続きできる場合があります。経由更新の場合、追加書類や手数料に加え、事前予約も必要なことがあるため、管轄の警察または免許センターに確認しましょう。 

Q
Q3.免許失効後3年を経過した場合は再取得できますか

免許を失効して3年以上経過した場合は、再取得ではなく新規取得扱いとなります。つまり、学科試験・技能試験・適性検査をすべて受け直さなければなりません。ただし、特例として一時帰国した日から1か月以内であれば、技能試験が免除される場合もあります。失効後に再取得を希望する場合は、管轄の警察署か運転免許センターに相談してみましょう。

Q
Q4.免許の有効期間が1年以上あっても前倒し更新できますか

海外滞在などのやむを得ない事情がある場合、有効期限が1年以上残っていても前倒しで更新が可能です。ビザや在留証明書など、海外滞在を証明できる書類を提出すれば、特例として認められます。ただし、通常の更新期間に手続きした場合に比べ、有効期間が大幅に短くなることは理解しておきましょう。

Q
Q5.日本の免許が失効した場合、海外の免許から切り替えられますか

免許を取得後、3か月以上の滞在実績があれば、海外の有効な運転免許を日本の免許に切り替えられます。一部の国の免許であれば、学科や技能試験が免除され、免許更新時の講習を受ける必要もありません。詳細は各都道府県の運転免許センターに確認しましょう。

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