海外在住者が知っておきたい日本の親の介護と持ち家問題
海外で暮らしていると、日本にいる親の暮らしが見えにくく「いつか介護が必要になったらどうしよう」と不安になることがあるでしょう。特に親が高齢になると、住み慣れた実家での生活が難しくなり、認知症や身体機能の低下など新たな悩みが生まれやすくなります。
この記事では、日本に住む高齢の親と実家の問題をどう考えるべきか、実際の事例をもとに分かりやすく解説します。海外在住だからこそ知っておきたいポイントを把握しておきましょう。
- 海外在住でも避けられない「親の介護問題」
- 日本では高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増加
- 海外在住者にとって、日本にいる親の生活や健康は把握しづらい
- 実家での生活が難しくなる前に、親の将来の住まいについて考えておく
- 親の認知症が住み替え・施設入居の転機になることもある
- 火の不始末や金銭管理など、認知症の初期サインは日常の中に現れやすい
- 小さな変化をきっかけに、住み替えや施設入居を検討するケースが多い
- 実家の売却・施設入居を同時進行する場合は、計画的に行うことが重要
- 親の介護問題は、家族だけで抱え込まず専門家に相談
- 介護保険の申請や施設探しなど、日本の介護制度は複雑
- 海外在住者の場合、距離があることで悩みや不安が大きくなりやすい
- 専門家の力を活用することで、親に合った選択肢を見つけやすくなる
※本記事は、海外在住者の老後・介護をサポートする一般社団法人Hearth(ハース)代表・よこばたけあやみ氏が、日刊サンで連載中のコラムに基づき、再構成したものです。
親の高齢化で浮き彫りになる「持ち家」の問題
日本では高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増えています。その中で問題になりやすいのが、長年住み続けてきた「持ち家」での生活です。家族の思い出が詰まった家であっても、年齢とともに暮らしにくさが出てくることがあります。

例えば、戸建て住宅では階段の上り下りが負担になったり、買い物帰りに重い荷物を持って坂道を歩くことが難しくなったりするものです。若い頃には当たり前だった日常の動作も、少しずつ身体に負担がかかるようになります。
海外在住の家族(子ども)にとっても、日本にいる親の生活環境は気になるポイントです。遠く離れているため、ちょっとした転倒や体調不良が大きな事故につながるのではないかと心配になる方も少なくありません。
日本では、高齢になるにつれて持ち家での生活に不安を感じ、自宅を離れてマンションに住み替えたり、介護サービスが利用できる施設に入居したりするケースが増えています。親の暮らし方を見直すことは、将来の介護を考えるうえでも大切な第一歩といえるでしょう。
認知症をきっかけに住まいを見直すことも多い

高齢の親が実家で一人暮らしを続けていると、認知症の初期症状がきっかけとなり、住まいの見直しが必要になることがあります。
例えば、火の消し忘れや戸締まりの不安、お金の管理が難しくなるなど、日常生活の中での小さな変化は、海外在住の家族(子ども)にとって見逃せないサインです。
実際に、持ち家で長く一人暮らしをしていた高齢の女性が、認知症の症状が見え始めたことをきっかけに、家を売却して老人ホームに入居したケースがあります。
人気の施設は空室が出るまで待つことも多く、その間に実家の売却や介護保険の申請などを同時に進めなければなりません。施設入居から実家の売却までの準備は時間がかかるため、認知症が進行する前から少しずつ動き出すことが重要です。
施設入居から実家の売却までの流れ

実家の売却と介護保険の認定、施設への入居準備を同時進行する場合、全体の流れをしっかり把握することがポイントです。
実家の売却の場合、査定から売却・引き渡しまで約2~3か月、長ければ1年以上かかることもあります。高齢の親にとって「帰る家がない」という状況は精神的な負担が大きいため、施設での暮らしに慣れてから実家の売却を進めるのが一般的です。
介護保険の申請からサービス開始までは約1か月~1か月半、施設への入居申し込みから実際に入居するまでは短くても約1~2か月は必要です。これらの手続きを効率的に進めるには、全体の流れを俯瞰し、計画的に行うことがカギになります。
親の介護で家族が担う役割とは
親が高齢になると、持病での通院や服薬管理、病気や転倒事故による入院、認知症などにより、介護が必要になるケースが増えていきます。その際、日本の介護制度では、専門職のサポートを受けられますが、家族の役割も決して小さくありません。
例えば、次のような手続きや判断は家族が中心となって進めるのが一般的です。

これらをすべて一人で抱え込むと、大きな負担になってしまいます。特に海外在住の場合、日本の兄弟や親族との連携がうまくいかず、悩みを抱えるケースも少なくありません。
大切なのは「誰が何を担当するのか」を家族の間で事前に話し合っておくことです。役割分担を決めておくことで、急な出来事が起きても冷静に対応しやすくなります。
親の介護は短期間で終わるものではありません。認知症や病気などの状況を見ながら、長期的な視点で支える体制を作ることが必要です。
海外在住であっても、情報収集や意思決定など、できることは多くあります。距離があるからこそ、家族全体で支える仕組みを整えることが重要です。
海外在住だからこそ早めの準備が大切

海外で暮らしていると、日本の親の生活はどうしても見えにくくなります。そのため、親が元気なうちから住まいや介護について話し合うことがとても大切です。
特に、日本では高齢化が急速に進んでおり、介護施設の入居待ちや住宅問題など、準備不足が大きな悩みにつながることもあります。「まだ大丈夫」と思っていても、ある日突然、入院や認知症などの問題が起こることもあるでしょう。
いざというときに慌てないためにも「親の希望する暮らし方」「実家の今後」「介護が必要になった場合の選択肢」などについて、家族で共有しておくことが重要です。
海外在住だからこそ、日本の制度や介護の情報を早めに知り、準備を進めておくことで、将来の不安を軽減できます。海外在住の場合、一時帰国のタイミングを活用して施設見学や家族会議を行うなど、計画的に進めることが大切です。
親の介護問題は一人で抱えず専門家に相談を
海外在住の方からは「日本の親の介護をどう進めればいいのかわからない」「遠距離で何ができるのか悩んでいる」といった相談が多く寄せられます。
日本の介護制度や施設探し、実家の整理などは、専門家の支援を受けるとスムーズです。家族だけでは時間ばかりかかり、ゴールが分からず右往左往してしまうため、時間的・精神的・経済的に大きな損失になります。家族だけで抱え込まず、第三者の視点を取り入れることが非常に重要です。
海外在住者の親の介護や、日本での暮らしの準備について相談したい方は、ぜひ一度「サロンドハース」の個別相談をご活用ください。経験豊富な専門家が、日本にいる親の介護や住まいの問題について一緒に最善策を探し、解決へとサポートします。
※この記事のオリジナル版は、日刊サン連載『日本の介護最新情報 Vol.53』に掲載されました。
※執筆:海外暮らしINFO/監修:一般社団法人Hearth(ハース)代表 よこばたけあやみ氏






