海外在住者にマイナンバーカードは必要?メリットとデメリットを解説
海外在住者にとって、マイナンバーカードは必ずしも必要なものではありません。一方、日本の行政・税務手続きや一時帰国時の本人確認などで役立つ場面もあります。
この記事では、海外在住者がマイナンバーカードを持つメリット・デメリット、利用できるサービス、取得・更新の手続きや注意点について詳しく解説します。マイナンバーとの違いも理解し、自分に必要かどうかを判断する参考にしてください。
- マイナンバーカードが必要かどうかの判断するポイント
- マイナンバーとマイナンバーカードの違い
- 国外転出者向けマイナンバーカードの制度概要
- 一時帰国時や行政手続きで役立つ具体的な活用シーン
- 更新・再交付にかかる手間や利用できないサービス
※ 本記事は海外在住者のマイナンバーカードに関する一般的な情報をまとめたものであり、個別の手続きや取得の可否を保証するものではありません。マイナンバー制度は改正が続いているため、最新情報はデジタル庁・マイナポータル・在外公館などの公式サイトでご確認ください。
海外在住者にマイナンバーカードは必要?

海外在住者にとって、マイナンバーカードは必ずしも全員に必要なものではありません。ただし、日本の行政手続きや税務手続き、一時帰国時の本人確認などで利用する機会がある人には便利です。まずは、マイナンバーとマイナンバーカードの違いを理解しておきましょう。
日本との関わりが少ない海外在住者は必須ではない
海外に生活の基盤があり、日本で行政手続きなどを行う機会が少ない場合、マイナンバーカードの必要性は高くありません。日本での各種手続きや本人確認を行う予定がほぼない方であれば、無理に取得・保持しなくても支障はないでしょう。
ただし、海外に永住権があることだけを理由に「不要」と判断することはできません。日本との関わり方や今後の手続きの有無によって必要性は変わります。
日本の行政手続きをする海外在住者には便利
一方で、年金の現況届、税の申告、戸籍関連の手続きなど、日本の行政サービスを継続的に利用する海外在住者にとっては、マイナンバーカードを持つ実用的なメリットがあります。
たとえば、一時帰国中の本人確認、マイナポータルの利用、税務手続きなどで、マイナンバーカードがあるとスムーズです。
そのため、「必要か不要か」を一律に決めるのではなく「日本でどのような手続きをする予定があるか」を基準に判断するとよいでしょう。
マイナンバーとマイナンバーカードを区別して考える
海外在住者がマイナンバーカードの必要性を考える際は、「マイナンバー(番号)」と「マイナンバーカード(ICカード)」を分けて捉えることが重要です。「マイナンバーの提示を求められること」と「マイナンバーカードを提示・利用すること」は同じではありません。
- マイナンバー:個人に割り当てられる12桁の固有番号
- マイナンバーカード:12桁の番号が記載された顔写真付きのICカード
金融機関や国際送金サービスなどからマイナンバーの提出を求められた場合でも、必ずしもマイナンバーカードそのものが必要になるとは限りません。
マイナンバーの申告と、顔写真付きの本人確認書類としてのカード利用は別の手続きです。マイナンバーの提出を求められた場合でも、カードそのものが必要とは限りません。提出先が求める書類や確認方法を事前に確認しましょう。
参考:
デジタル庁「マイナンバー(個人番号)制度・マイナンバーカード」
マイナンバーカード総合サイト「マイナンバーカードを国外で利用する」
国税庁「番号制度概要に関するFAQ」
海外在住者がマイナンバーカードを持つ主なメリット

海外在住者がマイナンバーカードを持っていると、一時帰国時の本人確認や日本の税務手続き、戸籍関連の手続きなどで活用できる場面があります。現在では国外転出後も利用できる制度が整備されているため、日本との関わりが多い人ほどメリットを感じやすいでしょう。
- 一時帰国中の本人確認書類として使える
- マイナポータルで日本の行政情報を確認できる
- 一時帰国時の免税手続きの確認書類として利用できる
- 戸籍電子証明書提供用識別符号を取得できる
- 日本の税務手続きでe-Taxに活用できる場合がある
- 一時帰国中にコンビニで証明書を取得できる
- 一時帰国中にマイナ保険証として使える場合がある
- 日本に帰国した後も継続して利用できる
一時帰国中の本人確認書類として使える
マイナンバーカードは、顔写真とICチップが搭載された公的な本人確認書類です。一時帰国時の役所での手続きや金融機関の窓口など、本人確認を求められる場面で利用できます。
日本の運転免許証を持っていない海外在住者にとって、公的な顔写真付き本人確認書類として活用できる点は大きなメリットです。
ただし、国外転出者向けマイナンバーカードの住所欄には「国外転出」と記載されるため、日本国内の住所を証明する書類としては利用できません。また、求められる書類は手続き先によって異なるため、「本人確認」と「住所確認」の違いを理解して準備しましょう。
日本郵便では、2027年4月1日から本人限定受取郵便の本人確認方法を「ICチップ付きの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・在留カード・特別永住者証明書)に限定し、パスポートは対象外とする予定です。
このようにICチップ搭載書類での確認を求めるサービスが増えているため、利用前に最新の案内を確認することをおすすめします。
参考:日本郵便「本人限定受取郵便のサービスの見直し」
マイナポータルで日本の行政情報を確認できる
国外転出者向けマイナンバーカードを利用すると、海外からでも「マイナポータル(日本の行政手続きのオンライン窓口)」を通じて、行政機関が保有する自分の情報を確認したり、オンライン手続きを行ったりできます。
海外にいながら日本の年金や税金などの情報を確認できるのは非常に便利です。ただし、国内居住者向けと完全に同じ機能が使えるわけではないため、目的の手続きに対応しているか事前に確認しておきましょう。
参考:マイナポータル「主なサービスと機能」
一時帰国時の免税手続きの確認書類として利用できる
2026年11月1日より、消費税免税制度が「リファンド方式」へ移行します。日本国籍の一時帰国者が免税を受ける場合、海外居住条件を満たした上で、パスポートに加え「戸籍の附票の写し」「在留証明」「マイナンバーカード」などの確認書類が必要となります。
対象となるのは「国外転出」の記載があるカードに限られ、スマートフォンに搭載されたマイナンバーカードも利用可能です。一時帰国のたびに「戸籍の附票」や「在留証明」を取り寄せる手間とコストを削減できる点は、実用的なメリットといえます。
参考:観光庁「【旅行者向け】新制度(リファンド方式)に関する情報」
戸籍電子証明書提供用識別符号を取得できる
「戸籍電子証明書提供用識別符号(通称「電子戸籍パス」)」は、行政機関が電子戸籍の内容を確認するための16桁の番号です。マイナポータルや市区町村窓口で取得できます。
現在では在外公館での証明申請などでも広く導入されており、紙の戸籍謄本の提出を省略できる手続きが増えています。国外転出向けのマイナンバーカードがあれば、海外からこの識別符号をオンライン取得できるため大変便利です。
一部の手続きで戸籍謄本の提出を省略できる
戸籍謄本が必要な手続きにおいて、提出先が電子戸籍に対応している場合、16桁の「識別符号」を提出することで戸籍謄本(原本)の提出を省略できます。
海外から紙の戸籍謄本を取り寄せる時間・費用の負担を軽減でき、書類が届くまで手続きを待つ必要もないことは大きなメリットです。
※識別符号の有効期間は発行から3か月と定められているため、手続きを行う直前に取得することをおすすめします。
在留証明などのオンライン申請に活用できる
在外公館で申請する在留証明などについて、電子化した「e-証明書」をオンライン受領する仕組みも運用されています。対応する手続きでは「識別符号」を利用して戸籍情報を提出できるため、非常に便利です。
ただし、すべての証明・申請に対応しているわけではなく、提出先によっては紙の証明書が求められる場合もあります。事前に要件を確認の上で手配しましょう。
パスポート申請で戸籍謄本の提出を省略できる場合がある
パスポートの新規申請・失効後の再発行・記載事項変更の際、「戸籍電子証明書提供用識別符号」を利用すれば、戸籍謄本の原本提出を省略できます。
なお、マイナポータル経由で本人が直接オンライン申請を行う場合や、有効期間内の切替発給申請(更新)の場合は、事前に識別符号を個別に取得・入力する必要はありません。
参考:マイナポータル「よくあるご質問」
法務省「行政手続における電子戸籍の利用について」
外務省「在外公館で証明を申請する際に必要な戸籍謄(抄)本の取扱いについて」
在アメリカ合衆国日本国大使館「戸籍謄本または戸籍電子パスの提出方法について」
日本の税務手続きでe-Taxに活用できる

マイナンバーカードは、e-Taxの「マイナンバーカード方式」によるログインや申告データの送信に利用できます。国外転出者向けカードでも、対応する電子証明書を用いてオンラインでの申告が可能です。
ただし、実際の確定申告では「非居住者」としての課税関係や「納税管理人」の届出の有無など、個別の税務条件を精査する必要があります。具体的な申告内容については、管轄の税務署に確認しましょう。
参考:
国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」「相続税申告の作成・提出についてよくある質問」
一時帰国中にコンビニで証明書を取得できる
利用者証明用電子証明書を搭載したカードであれば、対応している自治体のコンビニ交付サービスを利用し、戸籍証明書などを取得できる場合があります。本籍地の自治体窓口まで直接出向かずに手続きを行えるのは魅力的です。
ただし、取得できるのは本籍地に紐づく証明書に限られ、住民票に基づく証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書、課税証明書など)は国外転出者向けカードでは発行できません。また、自治体によっては事前登録申請が必要なケースもあります。
一時帰国中にマイナ保険証として使える場合がある
日本の公的医療保険の資格を維持している海外在住者(海外赴任中も日本の健康保険に加入し続けているケースなど)は、条件を満たせば一時帰国中にマイナンバーカードを健康保険証として利用できます。
ただし、カードを所持しているだけで自動的に医療機関を受診できるわけではなく、医療保険の資格維持と事前の利用登録、有効な利用者証明用電子証明書が必要です。帰国前に電子証明書の有効期限が切れていないか確認しておきましょう。
参考:
厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」
LIXIL健康保険組合「海外赴任者などの国外転出予定者および国外在住者の方へ」
日本に帰国した後も継続して利用できる
国外転出者向けマイナンバーカードは、日本へ本帰国した際も継続利用の手続きを行うことで、そのまま同じカードを使えます。帰国後に一から作り直す必要がないため、住民登録後の行政手続きをスムーズに進められて便利です。
※国内向けカードへの切り替えにあたっては、帰国時の市区町村窓口でマイナンバーカードの更新・変更手続きが必要です。
参考:目黒区「マイナンバーカードの継続利用」
海外在住者がマイナンバーカードを持つデメリット

国外転出者向けマイナンバーカードには多くのメリットがある一方、海外在住ならではの負担や制約が生じます。メリットとあわせて、注意点も把握しておきましょう。
- カードの再交付・更新に手間と時間がかかる
- 国内居住者向けより利用できるサービスが限定される
- 銀行口座との紐付けに関する不安・疑問がある
カードの再交付・更新に手間と時間がかかる
国外転出者向けマイナンバーカードの紛失・破損時や有効期限更新の手続きは、国内居住者と比べて負担が大きくなります。在外公館を経由して手続きを行う場合、カードの受け取りまでに一定の期間を要します。
紛失・盗難時の再交付手続き
国外でマイナンバーカードを紛失、盗難に遭った場合、まずはカードの一時停止手続きを行い、カードが見つからない場合は再交付を申請します。再交付には現地警察が発行する遺失届などの証明書類(外国語の場合は日本語訳も添付)が必要です。
一時停止後にカードが発見された場合も、電話等だけでは解除できず「一時停止解除届」の提出が必要となります。また電子証明書も再発行となるため、手元に戻り再び利用できるようになるまで一定の時間を要します。
カードと電子証明書の更新
マイナンバーカードの有効期限は、発行から10回目の誕生日まで(18歳以上)、電子証明書は年齢に関わらず発行から5回目の誕生日までです。国外転出者向けカードは有効期限の1年前から更新申請ができ、本籍地の市区町村窓口で手続きすればその場で完了します。
しかし、在外公館や本籍地以外の自治体で申請・受取を行う場合、旧カードの返納と引き換え処理が必要となり、新しいカードが届くまで日数がかかります。利用できない空白期間が発生しないよう、余裕をもって更新を行いましょう。
参考:マイナンバーカード総合サイト「国外転出者向けマイナンバーカードの手続き」「更新手続きについて」
国内居住者向けより利用できるサービスが限られる
国外転出者向けカードは、国内居住者向けカードと全く同じように使えるわけではありません。国外転出者向けと国内居住者向けを分けて確認する必要があります。
マイナポータルの一部サービスは対象外
マイナポータルで提供されている機能のうち、国内の住所・住民票を前提とする一部サービスは、国外転出者向けカードでは利用できません。
- 申請用プロフィールの設定
- 引越し手続き
- 国家資格の登録・各種申請
- 医療等分野の電子署名利用申請
- 国民年金に関する手続きの一部
- 資格取得(種別変更)届・付加保険料納付申出書の手続き以外は利用可
*制度・システムは随時更新されているため、最新の対応状況はマイナポータルの公式案内でご確認ください。
住所確認書類としては利用できない
国外転出者向けカードの追記欄・情報には「国外転出」と記載されるため、日本国内の住所を証明する書類としては使用できません。
そのため、携帯電話の契約や民間サービスの申し込みなど、日本国内の住所確認を必須とする手続きでは、マイナンバーカード以外の証明書類を求められることがあります。
参考:マイナポータル「よくあるご質問」
銀行口座との紐付けに関する不安・疑問がある
「マイナンバーカードを取得すると、銀行口座と自動的に紐付けられるのでは」と不安に感じる人もいます。しかし、カードを取得しただけで口座情報が自動でマイナンバーに統合されることはありません。
「預貯金口座付番制度」は、金融機関へ任意で届け出を行うことで口座にマイナンバーを関連付ける仕組みです。相続時や災害時の口座特定を円滑にする目的で運用されており、国が預金残高を監視するためのものではありません。利用するかどうかは個人の判断に委ねられています。
参考:デジタル庁「預貯金口座付番制度等の拡充について」「よくある質問」
海外在住者は日本との関わり方で必要性を判断しよう
海外在住者にとって、マイナンバーカードの取得は義務ではなく選択肢の一つです。
日本の行政・税務手続きを行う予定がある方、一時帰国時の本人確認や戸籍関連の手続きを効率化したい方にとっては大きな利便性があります。一方で、海外生活が中心で日本での手続きがほぼ不要な方にとっては、更新・管理の手間が上回る場合もあります。
ご自身の日本との関わり方や今後の予定を整理し、必要に応じて取得や更新をご検討ください。
- 海外在住者全員にマイナンバーカードが必要なわけではない
- マイナンバー(12桁番号)とマイナンバーカード(ICカード)は別物
- 一時帰国時の本人確認やオンラインでの各種行政手続きに活用できる
- 国外転出者向けカードは一部利用制限があるため事前確認が必要
- 紛失・更新時には海外在住者ならではの手間や期間がかかる






