行政関係

海外移住時に必要な役所での手続きは?

海外に移住するときに必要な役所での手続き。意外とどのようにすべきかわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、渡航前に済ませておくべき、住民票・国民健康保険・年金・各種税金の4つの手続きについて詳しくお伝えします

住民票:海外転出届を提出しよう

1年以上、海外に生活の拠点を移す場合には、住民登録窓口に海外転出届を提出しなければなりません。転出する日(出国日)の14日前から申請ができますが、自治体によってはそれより前から受け付けている場合もあります。海外での滞在先が確定しない場合でも、国名(都市名)だけ記入すれば、手続きが可能です。

手続きに必要なものは、運転免許証・パスポートなどの本人確認書類と認印のみ。また、海外転出に伴い非居住者扱いとなり、マイナンバーカードの返納を求められるので、忘れずに持参しましょう。もしカードを返納しなかった場合も、転出日以降は失効となるので注意してください。

なお転出届を提出せずに出国した場合は、国内居住者として保険料や各種税金の支払い義務が生じます。届け出をせずに出国した場合は、必要書類を郵送したり、日本にいる同世帯(親・兄弟など)の人が代理申請したりすることもできるので、各市区町村に問い合わせてみましょう。

国民健康保険:脱退届と税額の更正が必要

海外転出の届け出に伴い、国民健康保険の資格も喪失します。転出届を提出後、保険年金係にて脱退の届け出を行いましょう。届け出には、世帯主と海外転出する人のマイナンバーと、申請者の本人確認ができるものが必要です。

また、年度途中で脱退した場合には、資格を喪失する日を基準に保険料が再計算されます。保険料は12か月分を10回もしくは6回に分けて支払っているため、転出する月の分を納付したとしても、必要な保険料を満たしていない場合があります。

出国後に税額更正通知書が届く場合もあるので、手続きの際に確認しておきましょう。出国までに通知の受け取りや納税が難しい場合は、納税管理人を選定しておくと安心です。

国民年金:任意加入でき、海外居住でも受給可能

海外に転出して非居住者となった場合、自動的に強制加入の対象者ではなくなるため、年金を納める必要はありません。年金手帳と本人確認書類を持参し、窓口にて脱退の手続きを行いましょう。すでに納付してしまった分がある場合は、保険料を戻してもらうことも可能です。

しかし、海外滞在中でも年金保険料の納付を希望する場合は、20歳以上65歳未満の間は任意加入ができます。保険料は日本にある銀行の預貯金口座からの引き落とし、もしくは国内にいる家族などに代わりに納めてもらう方法の2通りです。

また、年金受給の対象年齢となったときに海外に居住していても、年金請求することで受給可能です。海外に居住していることを証明する現況届などの必要書類を提出すれば、海外の口座にも振り込んでもらえます。

各種税金:転出後も前年度収入分の税金納付は必須

海外転出の届け出を行えば、住民税の支払い義務はなくなります。ただし、海外転出する年の1月1日に日本に住民票があった場合は、前年度の収入に応じて住民税を納めなければなりません

通常は6月に納税通知書が届き、6月・8月・10月・翌年の1月の年4回に分けて納税します。海外転出により受領・納税できない場合は、健康保険同様に納税管理人に代行してもらいましょう。すでに納付書が届いている場合には一括して支払いを済ませておくか、口座振替を申し込んでおくと便利です。

まとめ

海外転出により非居住者となった場合、社会保険料や税金の支払い義務はなくなりますが、同時に各種サービスも受けられなくなります。マイナンバーが必要な手続きなどが行えなくなり、一時帰国した場合も、原則として健康保険の再加入ができません。海外に生活の拠点を移しつつ、日本を行き来する場合などはよく考えてから手続きを進めましょう。